夜勤中、入院患者さんから「お腹が痛い」と訴えがあった。「便かなぁ」「ガスかなぁ」と様子見したくなる――でも本当は、その時すでに致死的疾患が始まっているかもしれません。腹痛は疾患数が多すぎて、看護師が一つひとつ鑑別するのは現実的ではない。だからこそ、「症状で気づく」のが看護師の強み。
さらに怖いのは「楽になっても致死的疾患は隠れる」こと。腹部大動脈瘤破裂は被包性破裂の段階で痛みが落ち着くことがあり、腸管虚血は初期に痛みと所見が乖離する。痛みが楽になった=安心ではない。本記事は、症状別 急変対応マニュアル⑥として、看護師が病棟で「これは危険」と気づくための5パターン(Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱)と、所見ベースの報告のしかたを解説します。
30秒で結論
腹痛は疾患を当てるな。症状で気づけ。
危険な腹痛5パターン:Sudden発症 / 腹痛+ショック / 痛みと所見の乖離 / 腹膜刺激徴候 / 腹痛+黄疸・発熱。「楽になっても致死的疾患は隠れる」のが腹痛の怖さ。看護師はOPQRST+バイタル+腹部所見で気づき、診断名ではなく所見で報告する。
危険5パターン
Sudden発症
腹痛+ショック
痛みと所見の乖離
腹膜刺激徴候
腹痛+黄疸/発熱
腹痛+ショック
痛みと所見の乖離
腹膜刺激徴候
腹痛+黄疸/発熱
必須チェック
発症様式(突然/急性)
バイタル+ショック徴候
腹膜刺激徴候
既往(高血圧・AF・NSAIDs)
バイタル+ショック徴候
腹膜刺激徴候
既往(高血圧・AF・NSAIDs)
気づいたら動く
応援要請
ABCDE+ライン2本
絶飲食・体位
モニター連続
ABCDE+ライン2本
絶飲食・体位
モニター連続
楽になった罠
痛み軽快≠安心
穿孔後の鎮静期
高齢者の非典型
「便かな」で済ませない
穿孔後の鎮静期
高齢者の非典型
「便かな」で済ませない
📖 急変対応の全体像を先に押さえたい方は、急変対応マニュアル|4ステップで読み解く保存版ガイド(察知→情報統合→判断/報告→介入)から読むのがおすすめです。
本記事は症状別 急変対応マニュアル⑥。①意識障害「静かに死ぬ」、②呼吸困難、③ショック「組織灌流不全」、④胸痛「5 killer chest pain」、⑤心電図モニター・不整脈に続くシリーズ第6回。
目次
Contents
1. 腹痛の本質|疾患を当てるな、症状で気づけ
腹痛の原因疾患は数十以上あります。虫垂炎・胆石・胃炎・腸閉塞・尿路結石・憩室炎・膵炎・腹膜炎・婦人科疾患…看護師が一つひとつを鑑別するのは現実的ではない。でも、看護師の役目は鑑別じゃない。「危険を見抜いて動く」こと。そのために「症状で気づく」のが看護師の強みです。
💡 本記事の核心メッセージ
1. 腹痛は疾患を当てるな、症状で気づけ。
虫垂炎か胆石か膵炎か――の鑑別は医師の仕事。看護師は「この腹痛は危険」と気づくのが役目。
2. 楽になっても致死的疾患は隠れる。
腹部大動脈瘤は痛みが波打つ。消化管穿孔は穿孔直後に痛みが軽快する「鎮静期」がある。腸管虚血は初期に痛みと所見が乖離する。「楽になった=安心」ではない。
3. 看護師が気づく5パターン。
Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱。この5パターンを頭に置けば、致死的疾患の早期発見につながる場面が大きく増えます。ただし5つに該当しなくても致死的疾患はあり得るので、「いつもと違う・経過が悪化する」場合は躊躇なく報告を。
虫垂炎か胆石か膵炎か――の鑑別は医師の仕事。看護師は「この腹痛は危険」と気づくのが役目。
2. 楽になっても致死的疾患は隠れる。
腹部大動脈瘤は痛みが波打つ。消化管穿孔は穿孔直後に痛みが軽快する「鎮静期」がある。腸管虚血は初期に痛みと所見が乖離する。「楽になった=安心」ではない。
3. 看護師が気づく5パターン。
Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱。この5パターンを頭に置けば、致死的疾患の早期発見につながる場面が大きく増えます。ただし5つに該当しなくても致死的疾患はあり得るので、「いつもと違う・経過が悪化する」場合は躊躇なく報告を。
1-1. 「症状で気づく」危険な腹痛5パターン|早見表
看護師が病棟で「これは危険」と気づくための5つの症状パターン。詳細はセクション4で解説します。
① Sudden発症
気づき:発症時刻が明確に特定できる激痛(「○時頃突然」「○○していた時」と答えられる)
背景疾患:腹部大動脈瘤破裂・消化管穿孔・腸管虚血(塞栓)
背景疾患:腹部大動脈瘤破裂・消化管穿孔・腸管虚血(塞栓)
② 腹痛+ショック
気づき:冷汗・蒼白・頻脈・血圧低下・尿量低下
背景疾患:腹腔内出血(AAA破裂)・敗血症性ショック(胆管炎)・腸管虚血進行
背景疾患:腹腔内出血(AAA破裂)・敗血症性ショック(胆管炎)・腸管虚血進行
③ 痛みと所見の乖離
気づき:激痛なのに腹部所見軽微、痛みの強さに腹部触診所見が見合わない
背景疾患:腸間膜動脈閉塞(腸管虚血)初期
背景疾患:腸間膜動脈閉塞(腸管虚血)初期
④ 腹膜刺激徴候
気づき:筋性防御・反跳痛・板状硬・体動時の痛み増悪
背景疾患:消化管穿孔・腹膜炎・進行した虫垂炎
背景疾患:消化管穿孔・腹膜炎・進行した虫垂炎
⑤ 腹痛+黄疸・発熱
気づき:右上腹部痛+黄疸+発熱(Charcot三徴)、進行で意識障害+血圧低下(Reynolds五徴)
背景疾患:急性胆管炎・重症急性膵炎
背景疾患:急性胆管炎・重症急性膵炎
1-2. 「楽になった罠」|痛み軽快≠安心
腹痛で最も看護師が陥りやすい罠が「痛みが軽快した=安心」と判断すること。致死的腹痛の多くは痛みが波打つ・一旦軽快することがあります。
痛みが軽快しても安心しない場面
腹部大動脈瘤破裂:瘤壁が破れた直後の激痛。初期は周囲組織(後腹膜)で出血が一時的に抑えられる段階(contained rupture/被包性破裂)で痛みが落ち着くこともあるが、自由穿破(free rupture)に進行すれば致命的な出血性ショックになる。
消化管穿孔:穿孔の瞬間は激痛だが、その後一時的に「鎮静期」(数時間)があり、痛みが軽快することがある。その間に汎発性腹膜炎へ進行する。
腸管虚血(初期):激痛なのに腹部所見が乏しい初期段階で、痛みが波打つ。「痛みが楽になった」=改善ではなく、内臓痛から腹膜炎へ移行する過程で一時的に痛みが落ち着く時期(silent phase)のことがある。その後は腹膜刺激徴候の出現と全身状態悪化に進む。
急性胆管炎:抗菌薬が効き始めて一時的に解熱・痛み軽快しても、胆道閉塞が解除されないと敗血症性ショックに進行する。
消化管穿孔:穿孔の瞬間は激痛だが、その後一時的に「鎮静期」(数時間)があり、痛みが軽快することがある。その間に汎発性腹膜炎へ進行する。
腸管虚血(初期):激痛なのに腹部所見が乏しい初期段階で、痛みが波打つ。「痛みが楽になった」=改善ではなく、内臓痛から腹膜炎へ移行する過程で一時的に痛みが落ち着く時期(silent phase)のことがある。その後は腹膜刺激徴候の出現と全身状態悪化に進む。
急性胆管炎:抗菌薬が効き始めて一時的に解熱・痛み軽快しても、胆道閉塞が解除されないと敗血症性ショックに進行する。
実装|痛みが楽になった時の確認3点
1. NRS/VASで経時記録(0-10で記録、楽になっても記録継続)
2. バイタル経時観察(発熱・頻脈・血圧低下・SpO2)
3. 腹部所見を再評価(腹膜刺激徴候・腸蠕動音・腹部膨満)
「痛み軽快=経過観察」ではなく、「痛み軽快=注意して観察継続」が安全側の判断。
2. バイタル経時観察(発熱・頻脈・血圧低下・SpO2)
3. 腹部所見を再評価(腹膜刺激徴候・腸蠕動音・腹部膨満)
「痛み軽快=経過観察」ではなく、「痛み軽快=注意して観察継続」が安全側の判断。
SECTION 1 まとめ
腹痛は疾患を当てるな、症状で気づけ。看護師が頭に置く5パターン:Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱。「楽になった=安心」ではないのが腹痛の怖さ。次のセクション2では、看護師が気づくためのOPQRST+バイタル+腹部所見を整理します。
2. 看護師が気づく観察ポイント|OPQRST+バイタル+腹部所見
腹痛の観察はOPQRST(問診の枠組み)+バイタル+腹部所見(視診・聴診・触診)がセット。組み合わせで5パターンに当てはまるかを判断します。
2-1. OPQRST|腹痛の問診6つの軸
腹痛の問診の枠組みOPQRST。Onset(発症)・Provocation/Palliation(増悪/軽快)・Quality(性状)・Region/Radiation(部位/放散)・Severity(強度)・Time(時間経過)の6軸。
腹痛のOPQRST
O - Onset(発症様式)※5パターン①の鍵
いつから?突然?徐々に?何をしている時?
→ Sudden(発症時刻が特定できる)=消化管穿孔・大動脈破裂・腸管虚血
→ Acute(数時間)=胆管炎・膵炎
→ Gradual(数日)=虫垂炎・憩室炎・腸炎
P - Provocation / Palliation(増悪因子・軽快因子)
何で悪化?何で楽になる?
→ 体動で増悪・前屈位で軽快=膵炎(前屈で腹圧が下がり、膵周囲・後腹膜への張力が軽減する典型的な体位効果)
→ 体動で激しく増悪=腹膜刺激徴候(歩行・咳・振動で悪化)
→ 食事で増悪=胆道系・潰瘍
→ 痛みが波打つ=疝痛(胆石・尿路結石・腸閉塞)
→ 持続性=炎症・虚血・穿孔
Q - Quality(性状)
どんな痛み?
→ 引き裂かれる・突き刺さる=大動脈解離・破裂
→ 持続する激痛=穿孔・腸管虚血
→ 絞られる(疝痛)=胆石・尿路結石・腸閉塞
→ 焼ける=胃酸関連・潰瘍
→ 鈍痛=炎症(虫垂炎初期・憩室炎)
R - Region / Radiation(部位・放散)
どこが痛い?どこに広がる?
→ 心窩部→右下腹部移動=虫垂炎の典型
→ 心窩部→背部放散=膵炎・大動脈解離
→ 右肩・右肩甲骨放散=胆道系
→ 陰嚢・大腿放散=尿路結石・鼠径ヘルニア
→ 下腹部+月経関連=婦人科疾患
S - Severity(強度)
NRS(0-10)で?今までで一番強い痛み?
→ 「人生で一番」「死にそうな痛み」=大動脈破裂・穿孔・腸管虚血
→ 痛みの強さに腹部所見が見合わない=5パターン③(腸管虚血)
T - Time(時間経過)
どう変化している?
→ 突然始まり持続=穿孔・破裂・塞栓
→ 波打つ(疝痛)=胆石・尿管結石
→ 増悪・進行=虫垂炎・憩室炎・腹膜炎
→ 一旦軽快後の再燃=穿孔の鎮静期・解離進展
いつから?突然?徐々に?何をしている時?
→ Sudden(発症時刻が特定できる)=消化管穿孔・大動脈破裂・腸管虚血
→ Acute(数時間)=胆管炎・膵炎
→ Gradual(数日)=虫垂炎・憩室炎・腸炎
P - Provocation / Palliation(増悪因子・軽快因子)
何で悪化?何で楽になる?
→ 体動で増悪・前屈位で軽快=膵炎(前屈で腹圧が下がり、膵周囲・後腹膜への張力が軽減する典型的な体位効果)
→ 体動で激しく増悪=腹膜刺激徴候(歩行・咳・振動で悪化)
→ 食事で増悪=胆道系・潰瘍
→ 痛みが波打つ=疝痛(胆石・尿路結石・腸閉塞)
→ 持続性=炎症・虚血・穿孔
Q - Quality(性状)
どんな痛み?
→ 引き裂かれる・突き刺さる=大動脈解離・破裂
→ 持続する激痛=穿孔・腸管虚血
→ 絞られる(疝痛)=胆石・尿路結石・腸閉塞
→ 焼ける=胃酸関連・潰瘍
→ 鈍痛=炎症(虫垂炎初期・憩室炎)
R - Region / Radiation(部位・放散)
どこが痛い?どこに広がる?
→ 心窩部→右下腹部移動=虫垂炎の典型
→ 心窩部→背部放散=膵炎・大動脈解離
→ 右肩・右肩甲骨放散=胆道系
→ 陰嚢・大腿放散=尿路結石・鼠径ヘルニア
→ 下腹部+月経関連=婦人科疾患
S - Severity(強度)
NRS(0-10)で?今までで一番強い痛み?
→ 「人生で一番」「死にそうな痛み」=大動脈破裂・穿孔・腸管虚血
→ 痛みの強さに腹部所見が見合わない=5パターン③(腸管虚血)
T - Time(時間経過)
どう変化している?
→ 突然始まり持続=穿孔・破裂・塞栓
→ 波打つ(疝痛)=胆石・尿管結石
→ 増悪・進行=虫垂炎・憩室炎・腹膜炎
→ 一旦軽快後の再燃=穿孔の鎮静期・解離進展
💡 OPQRSTの詳細とSAMPLE(既往歴聴取)はOPQRST/SAMPLE完全ガイドを参照。
2-2. SAMPLE|既往歴・誘因の聴取
OPQRSTに加えて、既往歴・服薬・誘因を聴取するのがSAMPLE。腹痛の5パターン絞り込みに直結します。
5パターンを絞り込むSAMPLEのキーワード
① Sudden発症:高血圧未治療・大動脈疾患既往(AAA破裂)・心房細動・抗凝固薬中断(腸管虚血塞栓)・NSAIDs使用・潰瘍既往(穿孔)
② 腹痛+ショック:高血圧・大動脈疾患・抗凝固薬・敗血症進行中(感染源不明熱)・腹部手術既往
③ 痛みと所見の乖離:心房細動・人工弁・抗凝固薬中断(腸管虚血塞栓)・動脈硬化高度の高齢者・血液凝固異常
④ 腹膜刺激徴候:NSAIDs使用・ステロイド使用・潰瘍既往・腹部手術既往(穿孔)
⑤ 腹痛+黄疸/発熱:胆石症既往・胆管ステント留置・ERCP後・飲酒・脂質異常(膵炎)
② 腹痛+ショック:高血圧・大動脈疾患・抗凝固薬・敗血症進行中(感染源不明熱)・腹部手術既往
③ 痛みと所見の乖離:心房細動・人工弁・抗凝固薬中断(腸管虚血塞栓)・動脈硬化高度の高齢者・血液凝固異常
④ 腹膜刺激徴候:NSAIDs使用・ステロイド使用・潰瘍既往・腹部手術既往(穿孔)
⑤ 腹痛+黄疸/発熱:胆石症既往・胆管ステント留置・ERCP後・飲酒・脂質異常(膵炎)
2-3. バイタル+腹部所見|5パターンに当てはめる
OPQRST+SAMPLEで疾患を絞ったら、客観所見で裏付けるのが看護師の観察。バイタルと腹部所見を組み合わせます。
バイタル所見(ショック・敗血症の気づき)
収縮期血圧低下(出血・敗血症・脱水)
頻脈(代償性ショック早期サイン・敗血症)
頻呼吸(代謝性アシドーシス・敗血症)
発熱(感染源・腹膜炎・胆管炎)or 低体温(高齢者敗血症)
SpO2低下(敗血症性ARDS・腹部膨満による横隔膜挙上で換気障害・誤嚥・痛みによる呼吸抑制)
意識変容(ショック進行・敗血症・Reynolds五徴)
※ ショック評価の詳細は③ショック対応を参照
頻脈(代償性ショック早期サイン・敗血症)
頻呼吸(代謝性アシドーシス・敗血症)
発熱(感染源・腹膜炎・胆管炎)or 低体温(高齢者敗血症)
SpO2低下(敗血症性ARDS・腹部膨満による横隔膜挙上で換気障害・誤嚥・痛みによる呼吸抑制)
意識変容(ショック進行・敗血症・Reynolds五徴)
※ ショック評価の詳細は③ショック対応を参照
腹部所見(視診・聴診・触診の順)
視診:
・腹部膨満(腸閉塞・腹水・腹腔内出血)
・拍動性腫瘤(腹部大動脈瘤)
・手術瘢痕(術後癒着・腸閉塞のリスク)
・皮下出血(Cullen徴候=臍周囲・Grey-Turner徴候=側腹部)→ 重症膵炎・腹腔内出血
聴診:
・腸蠕動音消失(腹膜炎・麻痺性イレウス)
・金属音・亢進(腸閉塞)
・血管雑音(大動脈瘤)
触診:
・筋性防御(guarding)=腹膜刺激徴候
・反跳痛(rebound)=腹膜刺激徴候
・板状硬(board-like)=汎発性腹膜炎(穿孔後)
・拍動性腫瘤=大動脈瘤(ただし触診の感度は約40-50%。肥満や腹腔内出血で触れない場合も多く、触診のみで除外しない)
・限局性圧痛(虫垂炎McBurney点・胆嚢Murphy徴候)
・腹部膨満(腸閉塞・腹水・腹腔内出血)
・拍動性腫瘤(腹部大動脈瘤)
・手術瘢痕(術後癒着・腸閉塞のリスク)
・皮下出血(Cullen徴候=臍周囲・Grey-Turner徴候=側腹部)→ 重症膵炎・腹腔内出血
聴診:
・腸蠕動音消失(腹膜炎・麻痺性イレウス)
・金属音・亢進(腸閉塞)
・血管雑音(大動脈瘤)
触診:
・筋性防御(guarding)=腹膜刺激徴候
・反跳痛(rebound)=腹膜刺激徴候
・板状硬(board-like)=汎発性腹膜炎(穿孔後)
・拍動性腫瘤=大動脈瘤(ただし触診の感度は約40-50%。肥満や腹腔内出血で触れない場合も多く、触診のみで除外しない)
・限局性圧痛(虫垂炎McBurney点・胆嚢Murphy徴候)
腹部触診の注意点
腹部触診は「優しく・痛い所は最後に」が原則。最初から強く押すと、患者が緊張して所見が分からなくなる。顔色・表情を見ながら触る。意識ある患者なら「咳をしてもらう」(咳で響くか=腹膜刺激徴候)も有用。
SECTION 2 まとめ
腹痛の観察はOPQRST(問診6軸)+SAMPLE(既往・誘因)+バイタル+腹部所見(視診・聴診・触診)のセット。組み合わせで5パターンに当てはめる。看護師が確定診断する必要はないが、組み合わせを観察する習慣を持つと医師との会話が早い。次のセクション3では、「危険」と疑った時の初動(ABCDE+応援+ライン)を整理します。
3. 「これは危険」と思ったら|ABCDE+応援+ライン
「これは危険」と疑った時点で看護師が動くべきは「鑑別を絞ること」ではなく「治せる異常を先に潰すこと」。腹痛特有の動きとして「絶飲食」「体位調整」も加えた4ステップ同時並行が現場の鉄則です。
💡 「危険」段階で動く4原則
1. 鑑別を絞る前にABCDE+応援。「穿孔?膵炎?」を考える前に、まずバイタル評価と応援要請。
2. 絶飲食を維持。緊急手術の可能性があるため、自己判断で水・氷を与えない。
3. ライン確保(20G以上を目標2本)+採血+モニター。出血性ショック・敗血症性ショックに進展する可能性あり。大量輸液想定時は18Gを医師相談で。
4. 1人で完璧にやろうとしない。応援を呼び、役割分担。バイタル測定・ライン確保・採血・記録・物品準備・医師コール。
2. 絶飲食を維持。緊急手術の可能性があるため、自己判断で水・氷を与えない。
3. ライン確保(20G以上を目標2本)+採血+モニター。出血性ショック・敗血症性ショックに進展する可能性あり。大量輸液想定時は18Gを医師相談で。
4. 1人で完璧にやろうとしない。応援を呼び、役割分担。バイタル測定・ライン確保・採血・記録・物品準備・医師コール。
3-1. 腹痛「危険」段階の4ステップ同時並行
腹痛で「危険」段階の動き
STEP 1
応援要請
「腹痛で気になっているので、来てください」と一言。先輩・リーダーをすぐ呼ぶ。原因が絞れていなくてもよい。RRT基準を満たすならRRS起動も視野に。
↓ 並行
STEP 2
ABCDE評価+モニター連続
A気道→B呼吸(頻呼吸=代謝性アシドーシス)→C循環(血圧低下・頻脈・冷汗)→D意識(意識変容=ショック進行・Reynolds五徴)→E全身観察(腹部所見・皮下出血・黄疸)。明らかな異常があれば手を止めて介入。
↓ 並行
STEP 3
ライン確保+採血
末梢ライン20G以上を2本を目標。大量輸液・輸血が必要そうな場合は18Gも検討(技術的に難しければ確保できる太さで開始し、医師が中心静脈や太いラインを判断)。採血(血算・凝固・電解質・腎機能・肝胆道系・膵酵素・乳酸・血液ガス・血液型・クロスマッチ)。血液培養2セット(発熱・敗血症疑い時)。
↓ 並行
STEP 4
絶飲食+体位調整
「危険」と疑う場合は絶飲食を維持(緊急手術の可能性・嘔吐誤嚥リスク)。医師指示・施設プロトコルに従う。口渇に対しては医師に確認の上、口腔ケア(口唇湿潤など)で対応。体位は本人が楽な姿勢(膵炎は前屈位・腹膜炎は仰臥位+膝屈曲)。意識低下時は側臥位。
鎮痛薬|早めに医師指示を仰ぐ(現代的急性腹症診療)
かつては「鎮痛すると腹部所見がマスキングされて診断が遅れる」と言われ、看護師が鎮痛を躊躇する文化がありました。しかし現代の急性腹症診療ガイドライン2015や複数のRCT・Cochrane Reviewでは、「早期鎮痛は診断精度を低下させない」「痛みのコントロールは治療の一部」と整理されています。
看護師の役目:
1. 痛みのNRSを経時記録(0-10で記録、変化を見る)
2. 腹部所見・バイタルも経時記録(鎮痛しても所見の変化は分かる)
3. 強い痛みは医師に早く伝え、鎮痛指示を仰ぐ(我慢させない)
4. 病棟運用上は医師の指示に従って投与(看護師の独自判断ではない)
注意:鎮痛薬を投与しても、所見・バイタルの経時観察は継続。改善・悪化のサインを見逃さない。
看護師の役目:
1. 痛みのNRSを経時記録(0-10で記録、変化を見る)
2. 腹部所見・バイタルも経時記録(鎮痛しても所見の変化は分かる)
3. 強い痛みは医師に早く伝え、鎮痛指示を仰ぐ(我慢させない)
4. 病棟運用上は医師の指示に従って投与(看護師の独自判断ではない)
注意:鎮痛薬を投与しても、所見・バイタルの経時観察は継続。改善・悪化のサインを見逃さない。
SECTION 3 まとめ
「これは危険」と疑ったら応援要請+ABCDE+ライン確保+絶飲食/体位調整を4ステップ同時並行。原因鑑別は後回しでよい。強い痛みは早めに医師に伝え、鎮痛指示を仰ぐ(現代的急性腹症診療では早期鎮痛は推奨)。次のセクション4では、現場で必ず気づくべき危険な腹痛5パターンを整理します。
4. 症状で気づく危険な腹痛5パターン
看護師が病棟で見逃さないための5つの症状パターン。それぞれ場面・特徴的所見・想起される疾患・初期対応が異なります。疾患を当てるより、パターンに気づくことが役目。
💡 5パターンの覚え方
語呂より場面と紐づけて覚える方が想起しやすい。
・Sudden発症 → 「秒〜分で始まった」→ 穿孔・破裂・塞栓
・腹痛+ショック → 「冷汗・蒼白・血圧低下」→ 出血・敗血症進行
・痛みと所見の乖離 → 「激痛なのに腹部所見が乏しい」→ 腸管虚血
・腹膜刺激徴候 → 「筋性防御・反跳痛・板状硬」→ 穿孔・腹膜炎
・腹痛+黄疸/発熱 → 「Charcot三徴」→ 胆管炎・膵炎進行
・Sudden発症 → 「秒〜分で始まった」→ 穿孔・破裂・塞栓
・腹痛+ショック → 「冷汗・蒼白・血圧低下」→ 出血・敗血症進行
・痛みと所見の乖離 → 「激痛なのに腹部所見が乏しい」→ 腸管虚血
・腹膜刺激徴候 → 「筋性防御・反跳痛・板状硬」→ 穿孔・腹膜炎
・腹痛+黄疸/発熱 → 「Charcot三徴」→ 胆管炎・膵炎進行
4-1. Sudden発症|発症時刻が特定できる激痛
発症時刻を明確に答えられる激痛。患者は「○時○分に突然」「○○していた時」と覚えている(数秒〜数十分で痛みが完成するケースを含む)。これは「何かが破れた・詰まった瞬間」を意味する重要なサイン。
想起される疾患
腹部大動脈瘤破裂(AAA rupture)
消化管穿孔(胃十二指腸潰瘍穿孔・S状結腸穿孔)
腸管虚血(腸間膜動脈塞栓)
異所性妊娠破裂(妊娠可能年齢の女性)
尿管結石(完全閉塞時の疝痛)
※ 胸痛として現れるが腹部に放散:大動脈解離・心筋梗塞(下壁)も忘れない
消化管穿孔(胃十二指腸潰瘍穿孔・S状結腸穿孔)
腸管虚血(腸間膜動脈塞栓)
異所性妊娠破裂(妊娠可能年齢の女性)
尿管結石(完全閉塞時の疝痛)
※ 胸痛として現れるが腹部に放散:大動脈解離・心筋梗塞(下壁)も忘れない
解剖生理ポイント
「何かが破れた・詰まった瞬間」の症状。
・AAA破裂:腹部大動脈瘤外膜が裂け、後腹膜・腹腔内へ大量出血。瞬間的に出血性ショックへ進行
・消化管穿孔:潰瘍・腫瘍・憩室が破れ、消化液・腸内容物が腹腔内へ漏出。化学的腹膜炎→細菌性腹膜炎へ進行
・腸管虚血(塞栓):心房細動由来の血栓が腸間膜動脈に詰まり、腸管が瞬間的に虚血。痛みは強いが初期は所見軽微
・AAA破裂:腹部大動脈瘤外膜が裂け、後腹膜・腹腔内へ大量出血。瞬間的に出血性ショックへ進行
・消化管穿孔:潰瘍・腫瘍・憩室が破れ、消化液・腸内容物が腹腔内へ漏出。化学的腹膜炎→細菌性腹膜炎へ進行
・腸管虚血(塞栓):心房細動由来の血栓が腸間膜動脈に詰まり、腸管が瞬間的に虚血。痛みは強いが初期は所見軽微
想起される場面・既往
高血圧未治療・大動脈疾患既往(AAA破裂)
NSAIDs使用・ステロイド使用・潰瘍既往(穿孔)
心房細動・人工弁・抗凝固薬中断(腸管虚血)
妊娠可能年齢女性(異所性妊娠)
高齢者・動脈硬化高度
腹部手術既往(癒着・腸閉塞・穿孔リスク)
NSAIDs使用・ステロイド使用・潰瘍既往(穿孔)
心房細動・人工弁・抗凝固薬中断(腸管虚血)
妊娠可能年齢女性(異所性妊娠)
高齢者・動脈硬化高度
腹部手術既往(癒着・腸閉塞・穿孔リスク)
看護師の初期対応
1. 応援要請+医師コール(緊急性高)
2. ABCDE評価+モニター連続+血圧左右差確認(大動脈疾患疑い)
3. ライン確保(20G以上を2本。大量輸液想定時は18Gを医師相談)
4. 採血(血算・凝固・電解質・乳酸・βHCG女性。出血性ショック疑い時は血液型・クロスマッチ追加)
5. 絶飲食(緊急手術の可能性)
6. 痛みのNRS経時記録
7. 検査準備|バイタル安定なら造影CT。不安定ならベッドサイドエコー(FAST・AAAエコー)優先(stay and play)
8. 12誘導心電図(胸痛放散+心筋梗塞鑑別)
2. ABCDE評価+モニター連続+血圧左右差確認(大動脈疾患疑い)
3. ライン確保(20G以上を2本。大量輸液想定時は18Gを医師相談)
4. 採血(血算・凝固・電解質・乳酸・βHCG女性。出血性ショック疑い時は血液型・クロスマッチ追加)
5. 絶飲食(緊急手術の可能性)
6. 痛みのNRS経時記録
7. 検査準備|バイタル安定なら造影CT。不安定ならベッドサイドエコー(FAST・AAAエコー)優先(stay and play)
8. 12誘導心電図(胸痛放散+心筋梗塞鑑別)
⚠️ Sudden発症は速やかな対応が必要。「○時○分に突然」「○○していた時」と聞いたら、看護師の頭に「これは何かが破れた・詰まったかもしれない」と即座に浮かぶ習慣を。
4-2. 腹痛+ショック徴候|冷汗・蒼白・血圧低下
腹痛+「冷汗・蒼白・頻脈・血圧低下・尿量低下・末梢冷感」のショック徴候。腹腔内で何かが起きている=出血か敗血症進行。分単位で介入要。
想起される疾患
出血性ショック:AAA破裂・異所性妊娠破裂・脾破裂(外傷)・肝破裂
敗血症性ショック:急性胆管炎・腹膜炎・腸管虚血進行
閉塞性ショック:腸閉塞による脱水・電解質異常進行
分布性ショック:敗血症
敗血症性ショック:急性胆管炎・腹膜炎・腸管虚血進行
閉塞性ショック:腸閉塞による脱水・電解質異常進行
分布性ショック:敗血症
解剖生理ポイント
ショックの本質は「血圧低下」ではなく「組織灌流不全」(③ショック対応参照)。
・腹部の出血は後腹膜・腹腔内に蓄積し外から見えない
・代償期は頻脈+末梢冷感+尿量低下で気づく(血圧はまだ正常のことも)
・敗血症性ショックは循環病態が複雑(血管緊張低下・心機能低下・血管透過性亢進など)。初期は末梢が温かいことが多いが、高齢者や心機能低下例では初期から末梢冷感を呈することもある。「warm/cold」の単純分類だけで判断せず、皮膚・尿量・乳酸・意識・血圧を総合的に観察する
・腹部の出血は後腹膜・腹腔内に蓄積し外から見えない
・代償期は頻脈+末梢冷感+尿量低下で気づく(血圧はまだ正常のことも)
・敗血症性ショックは循環病態が複雑(血管緊張低下・心機能低下・血管透過性亢進など)。初期は末梢が温かいことが多いが、高齢者や心機能低下例では初期から末梢冷感を呈することもある。「warm/cold」の単純分類だけで判断せず、皮膚・尿量・乳酸・意識・血圧を総合的に観察する
想起される場面・既往
高血圧・大動脈疾患・抗凝固薬(腹腔内出血)
感染源不明熱・抗菌薬治療中の悪化(敗血症性ショック)
妊娠可能年齢女性(異所性妊娠破裂)
外傷後・転倒後(脾破裂・肝破裂)
腹部手術後3-5日目(縫合不全・腹腔内膿瘍)
胆石症既往・胆管ステント留置・ERCP後(胆管炎)
感染源不明熱・抗菌薬治療中の悪化(敗血症性ショック)
妊娠可能年齢女性(異所性妊娠破裂)
外傷後・転倒後(脾破裂・肝破裂)
腹部手術後3-5日目(縫合不全・腹腔内膿瘍)
胆石症既往・胆管ステント留置・ERCP後(胆管炎)
看護師の初期対応
1. 応援要請+医師コール(緊急性最高)
2. ABCDE評価+モニター連続
3. 体位調整(意識低下時は側臥位、安定時は仰臥位)
4. 高流量酸素投与(SpO2低下時)
5. ライン確保(20G以上を2本。大量輸液想定時は18Gを医師相談)+輸液(医師指示・初期は晶質液)
6. 採血(血算・凝固・乳酸・血液ガス・血液型・クロスマッチ・血液培養2セット)
7. 絶飲食
8. 検査準備|不安定なまま動かさない(stay and play)。ベッドサイドエコー(FAST・AAA・心エコー)で初期評価。バイタル安定後にCT検討
9. 経時バイタル(15分ごと)
2. ABCDE評価+モニター連続
3. 体位調整(意識低下時は側臥位、安定時は仰臥位)
4. 高流量酸素投与(SpO2低下時)
5. ライン確保(20G以上を2本。大量輸液想定時は18Gを医師相談)+輸液(医師指示・初期は晶質液)
6. 採血(血算・凝固・乳酸・血液ガス・血液型・クロスマッチ・血液培養2セット)
7. 絶飲食
8. 検査準備|不安定なまま動かさない(stay and play)。ベッドサイドエコー(FAST・AAA・心エコー)で初期評価。バイタル安定後にCT検討
9. 経時バイタル(15分ごと)
⚠️ 腹痛+ショック徴候=即コール。「血圧でだけ気づくな、皮膚と尿で気づける」が③ショックのメッセージ。代償期に気づくのが看護師の腕の見せ所。
4-3. 痛みと所見の乖離|激痛なのに腹部所見が乏しい
「人生で一番痛い」と訴えるのに、触っても腹部所見が乏しい(押しても痛がるが、筋性防御や反跳痛は明確ではない)。これが腸管虚血の最重要サイン。気づかないと数時間で腸管壊死→致命的になります。
想起される疾患
急性腸間膜動脈閉塞(SMA塞栓症)=最重要
非閉塞性腸管虚血(NOMI)
大動脈解離(初期・腹部に放散)
尿路結石(完全閉塞・疝痛)
心筋梗塞(下壁・心窩部痛として現れる)
非閉塞性腸管虚血(NOMI)
大動脈解離(初期・腹部に放散)
尿路結石(完全閉塞・疝痛)
心筋梗塞(下壁・心窩部痛として現れる)
解剖生理ポイント
腸管が虚血になると、初期は内臓痛(鈍痛・激痛)として強く出るが、腹膜にはまだ炎症が及んでいないため腹膜刺激徴候は出ない。「痛みと所見の乖離」こそ虚血のサイン。
時間経過で腸管壊死→腹膜炎に進行すると、ようやく腹膜刺激徴候が出るが、その時点ではすでに手遅れに近い。だから初期の乖離期で気づくことが救命の鍵。
時間経過で腸管壊死→腹膜炎に進行すると、ようやく腹膜刺激徴候が出るが、その時点ではすでに手遅れに近い。だから初期の乖離期で気づくことが救命の鍵。
想起される場面・既往
心房細動・人工弁・抗凝固薬中断(SMA塞栓症)=最重要既往
動脈硬化高度の高齢者(NOMI)
低心拍出・脱水・敗血症(NOMI誘因)
血液凝固異常・悪性腫瘍
大動脈解離既往
動脈硬化高度の高齢者(NOMI)
低心拍出・脱水・敗血症(NOMI誘因)
血液凝固異常・悪性腫瘍
大動脈解離既往
看護師の初期対応
1. 応援要請+医師コール(「激痛なのに所見軽微」を明示)
2. ABCDE評価+モニター連続
3. ライン確保(2本)+採血(血算・凝固・乳酸=虚血マーカー・電解質・腎機能)
4. 12誘導心電図(心房細動の確認・心筋梗塞鑑別)
5. 絶飲食
6. 痛みのNRSと腹部所見を経時記録(乖離が変化していないか)
7. 造影CT(腹部・骨盤)準備=最重要検査
2. ABCDE評価+モニター連続
3. ライン確保(2本)+採血(血算・凝固・乳酸=虚血マーカー・電解質・腎機能)
4. 12誘導心電図(心房細動の確認・心筋梗塞鑑別)
5. 絶飲食
6. 痛みのNRSと腹部所見を経時記録(乖離が変化していないか)
7. 造影CT(腹部・骨盤)準備=最重要検査
⚠️ 心房細動+激痛+所見軽微=SMA塞栓症を最強に疑う。看護師が「乖離」に気づけば数時間早く対応できる。乳酸値上昇は虚血の重要な所見。
4-4. 腹膜刺激徴候|筋性防御・反跳痛・板状硬
腹膜が炎症を起こしている状態。触ると硬い(筋性防御)・押して離した時に強く痛む(反跳痛)・お腹全体が板のように硬い(板状硬)。腹膜炎の徴候で、消化管穿孔や腹腔内感染の重要なサイン。
想起される疾患
消化管穿孔(胃十二指腸潰瘍・S状結腸憩室・大腸癌)
汎発性腹膜炎
進行した虫垂炎(穿孔・膿瘍形成)
胆嚢穿孔・胆嚢炎進行
術後縫合不全・腹腔内膿瘍
汎発性腹膜炎
進行した虫垂炎(穿孔・膿瘍形成)
胆嚢穿孔・胆嚢炎進行
術後縫合不全・腹腔内膿瘍
解剖生理ポイント
腹膜は体性神経支配のため、炎症があると位置が明確に分かる鋭い痛みとして感じる。これに対し、内臓は自律神経支配で、痛みは鈍く位置が曖昧。
消化管穿孔:消化液(胃酸・腸内容物)が腹腔内に漏出 → 化学的腹膜炎 → 細菌性腹膜炎 → 敗血症性ショック。穿孔直後は激痛、その後一時的に痛みが軽快する「鎮静期」がある(数時間)。鎮静期に「楽になった」と判断すると致命的。
消化管穿孔:消化液(胃酸・腸内容物)が腹腔内に漏出 → 化学的腹膜炎 → 細菌性腹膜炎 → 敗血症性ショック。穿孔直後は激痛、その後一時的に痛みが軽快する「鎮静期」がある(数時間)。鎮静期に「楽になった」と判断すると致命的。
想起される場面・既往
NSAIDs使用・ステロイド使用(潰瘍・穿孔リスク)
潰瘍既往
憩室症既往(S状結腸憩室穿孔)
大腸癌既往(腫瘍穿孔)
腹部手術後3-5日目(縫合不全)
長期臥床・絶食(ストレス性潰瘍)
潰瘍既往
憩室症既往(S状結腸憩室穿孔)
大腸癌既往(腫瘍穿孔)
腹部手術後3-5日目(縫合不全)
長期臥床・絶食(ストレス性潰瘍)
看護師の初期対応
1. 応援要請+医師コール
2. ABCDE評価+モニター連続(敗血症進行警戒)
3. ライン確保(2本)+採血(血算・CRP・凝固・電解質・乳酸・血液培養2セット)
4. 絶飲食
5. 体位:仰臥位+膝屈曲(腹筋緊張を緩める姿勢)
6. 胸部・腹部X線(立位 or 半坐位で遊離ガス確認)+CT造影準備
7. 抗菌薬準備(医師指示)
8. 外科コンサル準備
2. ABCDE評価+モニター連続(敗血症進行警戒)
3. ライン確保(2本)+採血(血算・CRP・凝固・電解質・乳酸・血液培養2セット)
4. 絶飲食
5. 体位:仰臥位+膝屈曲(腹筋緊張を緩める姿勢)
6. 胸部・腹部X線(立位 or 半坐位で遊離ガス確認)+CT造影準備
7. 抗菌薬準備(医師指示)
8. 外科コンサル準備
⚠️ 板状硬は緊急手術適応。穿孔の鎮静期に「楽になった」と判断しない。観察継続+早期報告。
4-5. 腹痛+黄疸・発熱|Charcot三徴・Reynolds五徴
右上腹部痛+黄疸+発熱(Charcot三徴)=急性胆管炎。さらに意識障害+ショックを加えたReynolds五徴になると敗血症性ショックへ進行=速やかな介入が必要。
想起される疾患
急性胆管炎(Charcot三徴・Reynolds五徴)
重症急性膵炎(背部放散+Cullen徴候・Grey-Turner徴候)
胆嚢炎(Murphy徴候)
肝膿瘍
※ 右上腹部痛+発熱でも、女性なら肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)も鑑別
重症急性膵炎(背部放散+Cullen徴候・Grey-Turner徴候)
胆嚢炎(Murphy徴候)
肝膿瘍
※ 右上腹部痛+発熱でも、女性なら肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)も鑑別
解剖生理ポイント
急性胆管炎:総胆管に胆石・腫瘍・狭窄で胆汁うっ滞 → 細菌増殖 → 胆道感染 → 全身性敗血症。抗菌薬・輸液で一時的に安定化することはあるが、胆道閉塞解除(ERCP・PTBD)が根本治療として必要なのが特徴。
Charcot三徴:右上腹部痛+発熱+黄疸
Reynolds五徴:Charcot三徴+意識障害+ショック → 速やかな介入が必要
重症急性膵炎:膵酵素の自己消化で腹腔・後腹膜に大量の出血・炎症。Cullen徴候(臍周囲皮下出血)・Grey-Turner徴候(側腹部皮下出血)は重症の指標(ただし発症から24-48時間以降に出現することが多く、感度は低い。これらが出ないから安全とは判断しない)。
Charcot三徴:右上腹部痛+発熱+黄疸
Reynolds五徴:Charcot三徴+意識障害+ショック → 速やかな介入が必要
重症急性膵炎:膵酵素の自己消化で腹腔・後腹膜に大量の出血・炎症。Cullen徴候(臍周囲皮下出血)・Grey-Turner徴候(側腹部皮下出血)は重症の指標(ただし発症から24-48時間以降に出現することが多く、感度は低い。これらが出ないから安全とは判断しない)。
想起される場面・既往
胆石症既往(胆管炎)
胆管ステント留置中・ERCP後(胆管炎)
飲酒・脂質異常・高Ca血症(膵炎)
胆石(胆石性膵炎)
ステロイド使用・自己免疫疾患
胆管腫瘍・膵頭部癌
胆管ステント留置中・ERCP後(胆管炎)
飲酒・脂質異常・高Ca血症(膵炎)
胆石(胆石性膵炎)
ステロイド使用・自己免疫疾患
胆管腫瘍・膵頭部癌
看護師の初期対応
1. 応援要請+医師コール
2. ABCDE評価+モニター連続(Reynolds五徴=即コール)
3. ライン確保(20G以上を2本。大量輸液想定時は18Gを医師相談)+輸液
4. 採血(血算・CRP・凝固・肝胆道系・膵酵素・乳酸・血液ガス・血液培養2セット)
5. 絶飲食
6. 抗菌薬準備(医師指示・広域)
7. 体位:本人が楽な姿勢(膵炎は前屈位で楽になる=腹圧低下による典型的な体位効果)
8. CT造影準備+腹部エコー準備
9. ERCP・胆道ドレナージ準備(胆管炎の場合)
2. ABCDE評価+モニター連続(Reynolds五徴=即コール)
3. ライン確保(20G以上を2本。大量輸液想定時は18Gを医師相談)+輸液
4. 採血(血算・CRP・凝固・肝胆道系・膵酵素・乳酸・血液ガス・血液培養2セット)
5. 絶飲食
6. 抗菌薬準備(医師指示・広域)
7. 体位:本人が楽な姿勢(膵炎は前屈位で楽になる=腹圧低下による典型的な体位効果)
8. CT造影準備+腹部エコー準備
9. ERCP・胆道ドレナージ準備(胆管炎の場合)
⚠️ Reynolds五徴は速やかな介入が必要。胆道閉塞の解除(ERCP・PTBD)が根本治療として必要。NEWS2・qSOFA併用で重症度評価。
4-6. 5パターン鑑別早見表|看護師の気づき
① Sudden発症
気づき:秒〜分で発症
場面:高血圧・AF・抗凝固薬・NSAIDs
疾患:AAA破裂・穿孔・腸管虚血
対応:緊急コール+CT
場面:高血圧・AF・抗凝固薬・NSAIDs
疾患:AAA破裂・穿孔・腸管虚血
対応:緊急コール+CT
② 腹痛+ショック
気づき:冷汗・血圧低下
場面:抗凝固薬・術後・感染源あり
疾患:腹腔内出血・敗血症性ショック
対応:即コール+輸液
場面:抗凝固薬・術後・感染源あり
疾患:腹腔内出血・敗血症性ショック
対応:即コール+輸液
③ 痛みと所見の乖離
気づき:激痛+所見軽微
場面:AF・抗凝固薬中断
疾患:腸管虚血(SMA塞栓症)
対応:緊急造影CT+乳酸値
場面:AF・抗凝固薬中断
疾患:腸管虚血(SMA塞栓症)
対応:緊急造影CT+乳酸値
④ 腹膜刺激徴候
気づき:筋性防御・反跳痛・板状硬
場面:NSAIDs・潰瘍・術後
疾患:消化管穿孔・腹膜炎
対応:緊急手術+広域抗菌薬
場面:NSAIDs・潰瘍・術後
疾患:消化管穿孔・腹膜炎
対応:緊急手術+広域抗菌薬
⑤ 腹痛+黄疸・発熱
気づき:Charcot三徴/Reynolds五徴
場面:胆石症・ERCP後・飲酒
疾患:急性胆管炎・重症膵炎
対応:抗菌薬+ERCP/ドレナージ
場面:胆石症・ERCP後・飲酒
疾患:急性胆管炎・重症膵炎
対応:抗菌薬+ERCP/ドレナージ
SECTION 4 まとめ
腹痛で看護師が気づく5パターン:Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱。疾患を当てる必要はない。パターンに気づき、所見と既往をセットで医師に伝えるのが看護師の役目。次のセクション5では、医師に「危険」を伝える会話型の報告(診断名ではなく所見で伝える)を整理します。
5. 報告は診断名ではなく所見で伝える
腹痛を疑った看護師の次のミッションは、医師に「危険な腹痛」を伝えること。「腹膜炎です」「胆管炎です」「腸管虚血です」と診断名で報告しない。看護師が伝えるのは5パターンに当てはまる所見。痛みの発症様式・部位・所見・バイタル・既往をセットで伝える。
💡 腹痛報告の核心
1. 報告は文章ではなく会話である。医師の質問に答えながら情報を出す。最初の一言で温度感を伝えるだけでよい。
2. 診断名ではなく所見で伝える。「腸管虚血です」ではなく「心房細動の方が突然の激痛で、押しても所見が乏しいんです」。看護師の見たもの・触れたもの・聞いたものをそのまま言葉に。
3. 患者特定は疾患・治療段階で。「○号室の○○さん」では当直医に伝わらない。「心房細動の方」「術後3日目の方」「胆石症の方」「NSAIDs内服中の方」と特定する。
2. 診断名ではなく所見で伝える。「腸管虚血です」ではなく「心房細動の方が突然の激痛で、押しても所見が乏しいんです」。看護師の見たもの・触れたもの・聞いたものをそのまま言葉に。
3. 患者特定は疾患・治療段階で。「○号室の○○さん」では当直医に伝わらない。「心房細動の方」「術後3日目の方」「胆石症の方」「NSAIDs内服中の方」と特定する。
5-1. 入口フレーズ集|5パターン別+所見ベース
最初の一言は「患者特定(疾患・治療段階・既往)+主訴+依頼」を一息で。
🚨 緊急コール(分単位で介入要)|「すぐ来てほしい」型
パターン①+②:AAA破裂疑い
「先生、高血圧の方が突然の腹背部痛で、冷汗と血圧低下があります、すぐ来てほしいです」 パターン①+③:腸管虚血(SMA塞栓症)疑い
「先生、心房細動の方が突然の激痛で、押しても腹部所見が乏しいんです、すぐ来てほしいです」 パターン④:消化管穿孔疑い
「先生、NSAIDs内服中の方が突然の激痛で、お腹が板のように硬いんです、すぐ来てほしいです」 パターン⑤:急性胆管炎(Reynolds五徴)疑い
「先生、胆石症の方が右上腹部痛と発熱・黄疸で、意識ぼーっとして血圧も下がってます、すぐ来てほしいです」
「先生、高血圧の方が突然の腹背部痛で、冷汗と血圧低下があります、すぐ来てほしいです」 パターン①+③:腸管虚血(SMA塞栓症)疑い
「先生、心房細動の方が突然の激痛で、押しても腹部所見が乏しいんです、すぐ来てほしいです」 パターン④:消化管穿孔疑い
「先生、NSAIDs内服中の方が突然の激痛で、お腹が板のように硬いんです、すぐ来てほしいです」 パターン⑤:急性胆管炎(Reynolds五徴)疑い
「先生、胆石症の方が右上腹部痛と発熱・黄疸で、意識ぼーっとして血圧も下がってます、すぐ来てほしいです」
⚡ 早期報告(15-30分以内)|「診ていただきたい」型
緊急コール温度感ではないが、危険5パターンに該当するか様子を見たい場面。
術後の腹痛(縫合不全疑い)
「先生、大腸切除後3日目の方が腹痛と発熱、頻脈になってきていて、診ていただきたいです」 胆嚢炎・胆管炎初期
「先生、胆石症の方が右上腹部痛と発熱(38.5℃)で、診ていただきたいです。意識・血圧は問題ないですが」 NSAIDs使用中の腹痛
「先生、NSAIDs内服中の方が心窩部痛と嘔吐があって、診ていただきたいです」
「先生、大腸切除後3日目の方が腹痛と発熱、頻脈になってきていて、診ていただきたいです」 胆嚢炎・胆管炎初期
「先生、胆石症の方が右上腹部痛と発熱(38.5℃)で、診ていただきたいです。意識・血圧は問題ないですが」 NSAIDs使用中の腹痛
「先生、NSAIDs内服中の方が心窩部痛と嘔吐があって、診ていただきたいです」
📋 相談・経過報告|「相談してもいいですか?」型
「先生、腹痛の方がいて、便かガスかなと思うんですが、痛みが波打ってて気になるので、相談してもいいですか?」 「先生、腹痛が一旦楽になったんですが、これで様子見でいいですか? NSAIDs内服中で、念のため確認です」
使わない|看護師がやりがちなNG入口
❌「腹膜炎です」「胆管炎です」「腸管虚血です」
→ 診断名で報告しない。看護師は所見を伝える役割。鑑別は医師がCT・採血で進める。
❌「お腹痛いって言ってます」(所見ゼロ)
→ 主訴だけでは緊急性が伝わらない。発症様式・部位・バイタル・腹部所見を最低限セットで。
❌「○号室の○○さんが…」(部屋番号で患者特定)
→ 当直医は誰のことか分からない。「心房細動の方」「胆石症の方」「NSAIDs内服中の方」と疾患・治療段階で特定する。
❌「便かもしれないんですが」(様子見の前置き)
→ 看護師が判断を入れすぎると医師の判断が遅れる。所見をそのまま伝える。「便かガスか」と思った時点でリスクを過小評価している可能性。
→ 診断名で報告しない。看護師は所見を伝える役割。鑑別は医師がCT・採血で進める。
❌「お腹痛いって言ってます」(所見ゼロ)
→ 主訴だけでは緊急性が伝わらない。発症様式・部位・バイタル・腹部所見を最低限セットで。
❌「○号室の○○さんが…」(部屋番号で患者特定)
→ 当直医は誰のことか分からない。「心房細動の方」「胆石症の方」「NSAIDs内服中の方」と疾患・治療段階で特定する。
❌「便かもしれないんですが」(様子見の前置き)
→ 看護師が判断を入れすぎると医師の判断が遅れる。所見をそのまま伝える。「便かガスか」と思った時点でリスクを過小評価している可能性。
5-2. 会話シーン3例|医師の質問に答えながら情報を出す
🎭 シーン1|腸管虚血(痛みと所見の乖離・SMA塞栓症疑い)
📞 場面|心房細動・抗凝固薬中断中の78歳男性、突然の臍周囲激痛+嘔吐。触診で激痛訴えるが筋性防御明確でない
看護師:「先生、心房細動の方が突然の激痛で、押しても腹部所見が乏しいんです、すぐ来てほしいです」
— 入口の一文に患者特定(心房細動)+主訴(突然の激痛)+所見(腹部所見軽微)+依頼を埋め込む。医師は即座に「SMA塞栓症」を疑う。
医師:「抗凝固薬は?発症は突然?」
看護師:「3日前に消化管出血で抗凝固薬中断中です。30分前突然の激痛で、78歳男性、HR110、血圧130/80、SpO2 96。NRSで9です」
— 重要既往(抗凝固薬中断)+発症時刻+年齢・性別+バイタル+痛みの強度。
医師:「腹部所見は?嘔吐や下痢は?」
看護師:「押しても明らかな筋性防御や反跳痛はないんですが、患者さんは『お腹全体が激しく痛い、どこが痛いと言えないくらい』と訴えています。嘔吐2回、下痢はないです、便も普通でした」
医師:「すぐ造影CT。乳酸とDダイマー追加で。ライン2本+輸液開始」
看護師:「ライン2本確保中、乳酸・Dダイマー追加採血します。CT準備、消化器外科と血管外科コンサル準備します」
医師:「向かってる、絶飲食徹底して」
— 入口の一文に患者特定(心房細動)+主訴(突然の激痛)+所見(腹部所見軽微)+依頼を埋め込む。医師は即座に「SMA塞栓症」を疑う。
医師:「抗凝固薬は?発症は突然?」
看護師:「3日前に消化管出血で抗凝固薬中断中です。30分前突然の激痛で、78歳男性、HR110、血圧130/80、SpO2 96。NRSで9です」
— 重要既往(抗凝固薬中断)+発症時刻+年齢・性別+バイタル+痛みの強度。
医師:「腹部所見は?嘔吐や下痢は?」
看護師:「押しても明らかな筋性防御や反跳痛はないんですが、患者さんは『お腹全体が激しく痛い、どこが痛いと言えないくらい』と訴えています。嘔吐2回、下痢はないです、便も普通でした」
医師:「すぐ造影CT。乳酸とDダイマー追加で。ライン2本+輸液開始」
看護師:「ライン2本確保中、乳酸・Dダイマー追加採血します。CT準備、消化器外科と血管外科コンサル準備します」
医師:「向かってる、絶飲食徹底して」
※ 「SMA塞栓症です」と言わなくても、「心房細動+抗凝固薬中断+突然の激痛+所見軽微」の組み合わせで医師は即座に判断できる。看護師が「乖離」に気づくだけで救命の時間が稼げる。
🎭 シーン2|消化管穿孔(板状硬+発熱)
📞 場面|腰痛で長期NSAIDs内服中の65歳男性、突然の心窩部激痛、腹部は板のように硬い
看護師:「先生、NSAIDs内服中の方が突然の激痛で、お腹が板のように硬いんです、すぐ来てほしいです」
— 「板のように硬い」=板状硬という所見をシンプルな言葉で伝える。「腹膜炎です」と診断名で言わなくても、医師は穿孔を強く疑う。
医師:「いつから?発熱は?バイタルは?」
看護師:「1時間前突然心窩部から始まりました。発熱37.8℃、HR105、血圧145/85、SpO2 97。65歳男性、NSAIDsを3ヶ月間内服中です」
医師:「採血と立位X線。CT準備して。絶飲食、ライン入ってる?」
看護師:「ライン2本入っています。血算・凝固・電解質・乳酸・血液培養2セット採取、立位X線・CT準備、消化器外科コンサル準備します。絶飲食徹底」
医師:「向かう、痛みは強そうなら鎮痛指示出すから状態見てて」
— 「板のように硬い」=板状硬という所見をシンプルな言葉で伝える。「腹膜炎です」と診断名で言わなくても、医師は穿孔を強く疑う。
医師:「いつから?発熱は?バイタルは?」
看護師:「1時間前突然心窩部から始まりました。発熱37.8℃、HR105、血圧145/85、SpO2 97。65歳男性、NSAIDsを3ヶ月間内服中です」
医師:「採血と立位X線。CT準備して。絶飲食、ライン入ってる?」
看護師:「ライン2本入っています。血算・凝固・電解質・乳酸・血液培養2セット採取、立位X線・CT準備、消化器外科コンサル準備します。絶飲食徹底」
医師:「向かう、痛みは強そうなら鎮痛指示出すから状態見てて」
※ 「板状硬」「筋性防御」「反跳痛」など腹膜刺激徴候の表現は看護師同士でも医師にも通じる共通言語。専門用語より「板のように硬い」という直感的表現でも、医師は十分理解できる。
🎭 シーン3|急性胆管炎・Reynolds五徴疑い(緊急コール)
📞 場面|胆石症既往の82歳女性、夕方から右上腹部痛+発熱(39℃)+黄疸出現、夜間に意識朦朧+血圧低下
看護師:「先生、胆石症の方が右上腹部痛と発熱・黄疸で、意識ぼーっとして血圧も下がってます、すぐ来てほしいです」
— 「Reynolds五徴」と言わなくても、「胆石症+右上腹部痛+発熱+黄疸+意識低下+血圧低下」の組み合わせで医師は即座に急性胆管炎の敗血症性ショックと判断。
医師:「血圧と意識は?HRとSpO2は?」
看護師:「血圧82/55、HR125、SpO2 93、体温39.2℃、JCS II-10、黄疸+冷汗。82歳女性、胆石症既往あり、夕方から発症です」
医師:「敗血症性ショックだ。輸液開始、血液培養2セット取って、抗菌薬すぐ準備。乳酸・血液ガス・肝胆道系。CT準備、消化器内科にERCPコンサル」
看護師:「分かりました。ライン2本確保、輸液開始、血液培養2セット、抗菌薬準備します。CT準備、ERCPコンサル準備します」
医師:「向かってる、絶飲食徹底、SpO2下がるようなら酸素開始」
— 「Reynolds五徴」と言わなくても、「胆石症+右上腹部痛+発熱+黄疸+意識低下+血圧低下」の組み合わせで医師は即座に急性胆管炎の敗血症性ショックと判断。
医師:「血圧と意識は?HRとSpO2は?」
看護師:「血圧82/55、HR125、SpO2 93、体温39.2℃、JCS II-10、黄疸+冷汗。82歳女性、胆石症既往あり、夕方から発症です」
医師:「敗血症性ショックだ。輸液開始、血液培養2セット取って、抗菌薬すぐ準備。乳酸・血液ガス・肝胆道系。CT準備、消化器内科にERCPコンサル」
看護師:「分かりました。ライン2本確保、輸液開始、血液培養2セット、抗菌薬準備します。CT準備、ERCPコンサル準備します」
医師:「向かってる、絶飲食徹底、SpO2下がるようなら酸素開始」
※ Reynolds五徴は分単位で介入要。胆道閉塞解除しないと敗血症は止まらない。看護師は所見を素早く伝え、抗菌薬と検査の準備を先回りするのが救命に直結。
5-3. 報告3段階|温度感の使い分け
🚨 緊急コール
分単位で介入要
・Sudden発症の激痛
・腹痛+ショック
・痛みと所見の乖離
・板状硬・腹膜刺激徴候
・Reynolds五徴
入口:「すぐ来てほしいです」
・Sudden発症の激痛
・腹痛+ショック
・痛みと所見の乖離
・板状硬・腹膜刺激徴候
・Reynolds五徴
入口:「すぐ来てほしいです」
⚡ 早期報告
15-30分以内に介入要
・術後の腹痛(縫合不全疑い)
・胆嚢炎・胆管炎初期
・NSAIDs使用中の腹痛
・腹痛+発熱
入口:「診ていただきたいです」
・術後の腹痛(縫合不全疑い)
・胆嚢炎・胆管炎初期
・NSAIDs使用中の腹痛
・腹痛+発熱
入口:「診ていただきたいです」
📋 相談・経過報告
緊急ではないが気になる
・痛みが波打つ
・痛みが楽になった
・所見の変化
・対応後の経過
入口:「相談してもいいですか?」
・痛みが波打つ
・痛みが楽になった
・所見の変化
・対応後の経過
入口:「相談してもいいですか?」
💡 「○○先輩と相談した結果」を冒頭に添える
新人ひとりの判断ではなく、先輩・リーダー判断を経由したコールは過剰報告にならない。「○○先輩と相談した結果、医師に連絡しています」と一言添えると、医師の警戒も和らぎ、判断もしやすくなる。報告フレームの詳細はドクターコール完全ガイドを参照。
SECTION 5 まとめ
腹痛報告の核心は「診断名ではなく所見で伝える」。SMA塞栓症の中核入口は「心房細動の方が突然の激痛で、押しても腹部所見が乏しいんです、すぐ来てほしいです」。5パターンに当てはまる所見を入口の一文に埋め込むと医師の動きが早い。
6. ピットフォール|楽になった罠・高齢者非典型
腹痛対応で看護師が陥りやすい5つの罠を整理します。「楽になった」「便かなぁ」「お年寄りだから」「妊婦・若年女性」「心窩部痛=胃」――これらが見逃しの典型パターンです。
ピットフォール 1
楽になった罠|「痛みが消えたから経過観察でいい」
最大の罠。消化管穿孔は穿孔後の一時期に痛みが軽快(silent interval)することがあり、その間に汎発性腹膜炎が進行する。大動脈瘤破裂は被包性破裂(contained rupture)の段階で痛みが落ち着くことがあるが、自由穿破に進行すれば致命的。腸管虚血は内臓痛から腹膜炎へ移行する過程で一時的に痛みが落ち着く時期(silent phase)がある。「痛み軽快=モニター外して経過観察」ではなく「注意して観察継続」。
ピットフォール 2
「便かなぁ」「ガスかなぁ」で済ませる罠
病棟看護師が最もやりがちな罠。「便かもしれない」「ガスかも」で様子見すると、致死的疾患を見逃す。「便かなぁ」と思った時点で、危険5パターンに当てはまるかを必ずチェック。Sudden発症・ショック徴候・所見の乖離・腹膜刺激・黄疸/発熱――どれか1つでも当てはまれば、便やガスではない。
ピットフォール 3
高齢者の非典型|症状が乏しい・痛みを訴えない
高齢者は致死的疾患でも痛みが乏しいことがある。腹膜炎でも筋性防御が明確でない、敗血症でも発熱せず低体温、心筋梗塞が腹痛として現れる、認知症があると痛みの訴え自体が曖昧。「年齢のせい」「認知症だから」と片付けず、バイタル変化・食欲低下・意識変容を重視。NEWS2が役立つ。
ピットフォール 4
妊娠可能年齢女性|異所性妊娠破裂を忘れない
妊娠可能年齢の女性の突然の下腹部痛+ショックは異所性妊娠破裂を強く疑う。月経歴を聴取し、最終月経の確認は必須。「妊娠してないと思います」では否定できない。βHCG測定で確認。婦人科系疾患(卵巣茎捻転・骨盤内炎症性疾患)も常に頭に置く。
ピットフォール 5
心窩部痛=胃の罠|心筋梗塞・大動脈解離を忘れない
心窩部痛(みぞおちの痛み)は胃の疾患と思いがちだが、下壁心筋梗塞は心窩部痛で発症することが多い。冷汗・嘔気・意識変容を伴う心窩部痛は12誘導心電図必須。大動脈解離も心窩部・背部痛として現れる。「胃かなぁ」で胃薬を出す前に、Killer Chest Pain 5も鑑別に(④胸痛対応参照)。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 腹痛で何を観察すればいいですか?
OPQRST(問診6軸)+SAMPLE(既往・誘因)+バイタル+腹部所見(視診・聴診・触診)を組み合わせます。看護師が頭に置く5パターン(Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱)に当てはまるかを判断します。疾患を当てる必要はなく、パターンに気づいて所見ベースで報告するのが看護師の役目です。
Q2. 「便かガスかな」で様子見していい?
5パターンに当てはまるかを必ずチェックしてから判断します。Sudden発症・ショック徴候・所見の乖離・腹膜刺激・黄疸/発熱――どれか1つでも当てはまれば、便やガスではありません。特に高齢者や術後患者では非典型に出やすいので、バイタル変化・食欲低下・意識変容を重視。「便かもしれない」と思った時点でリスクを過小評価している可能性があります。
Q3. 腹痛のとき鎮痛薬を投与してもいい?
かつては「鎮痛で腹部所見がマスキングされる」と言われましたが、現代の急性腹症診療ガイドライン2015や複数のRCT・Cochrane Reviewでは「早期鎮痛は診断精度を低下させない」と整理されています。看護師は痛みのNRSを経時記録し、強い痛みは早めに医師に伝え、鎮痛指示を仰ぐのが役目。病棟運用上は医師の指示に従って投与(看護師独自判断ではない)。鎮痛後も所見・バイタルの経時観察は継続します。
Q4. 腹痛+ショックは何を疑う?
腹腔内出血(腹部大動脈瘤破裂・異所性妊娠破裂・脾破裂)、敗血症性ショック(急性胆管炎・腹膜炎・腸管虚血進行)、閉塞性ショック(腸閉塞による脱水)などを疑います。「血圧低下」だけでなく「冷汗・蒼白・頻脈・尿量低下・末梢冷感」など代償期に気づくのが看護師の腕の見せ所。③ショック対応も併せて参照してください。
Q5. 「激痛なのに腹部所見が乏しい」とき何を疑う?
腸管虚血(腸間膜動脈閉塞・SMA塞栓症)を最強に疑います。心房細動・人工弁・抗凝固薬中断中の高齢者で発症することが多い。初期は腹膜炎まで進行していないため筋性防御や反跳痛が乏しいのが特徴。痛みと所見の乖離に気づいて早期に造影CT・乳酸測定が救命の鍵です。気づかないと数時間で腸管壊死へ進行します。
Q6. 「腹膜炎です」と医師に伝えていい?
看護師は診断名で報告しないのが基本です。「腹膜炎です」ではなく「NSAIDs内服中の方が突然の激痛で、お腹が板のように硬いんです、すぐ来てほしいです」のように、患者特定+主訴+所見+依頼を所見ベースで伝えます。診断は医師の役割。所見を伝えれば医師は組み合わせから疾患を即座に想起できます。
Q7. 夜勤で腹痛を訴えられたら何をする?
まずバイタル測定とABCDE評価、OPQRSTで問診、腹部所見の確認。危険5パターンに当てはまるかをチェック。当てはまるなら先輩・リーダーに相談し、医師コール。当てはまらなくても、楽になっても観察を継続(楽になった罠)。「便かなぁ」で済ませない。NRS経時記録と再評価で変化を捉えるのが重要です。
8. 関連記事|併せて読みたい
急変対応マニュアル|4ステップで読み解く保存版 ピラー記事
本記事の前提となるピラー記事。察知・情報統合・判断/報告・介入の4ステップで全体像を体系的に学べます。
症状別 急変対応マニュアル(ハブ) シリーズ
8症状の判断軸+報告3段階を保存版で。本記事は⑥腹痛の位置づけ。
① 意識障害対応
5 killer・「静かに死ぬ」の教育メッセージで気づきと初動を整理。
② 呼吸困難対応
5 killer・酸素管理・気道確保の判断軸を体系的に。
③ ショック対応
「血圧で気づくな、皮膚と尿で気づける」代償性ショックの早期発見。
④ 胸痛対応|5 killer chest pain
ACS・解離・肺塞栓・気胸・食道破裂(心窩部痛との鑑別)。
⑤ 心電図モニター・不整脈
心房細動の見極め(腸管虚血リスク評価)+心停止リズム4種。
OPQRST/SAMPLE完全ガイド
問診の枠組みを体系的に。腹痛・胸痛・呼吸困難すべての基本。
ABCDEアプローチ完全ガイド
腹痛疑い時の共通フローの土台。
ドクターコール完全ガイド
「報告は文章ではなく会話」の核心と入口フレーズ集。
敗血症編|NEWS2活用
急性胆管炎・腹膜炎進行で重要なNEWS2スコア。
急変対応マニュアル 全記事一覧
新人〜指導者まで目的別に厳選。
9. 腹痛対応を「動ける」にする|学習オプション
腹痛の「危険5パターンに気づく → 所見ベースで報告する → チームで動く」は、シミュレーションで繰り返し練習することで初めて身につきます。看護師特化のシナリオで腹痛事例を扱うNCLSが腹痛対応の中核学習。急変対応.netでは目的別に選べる4つの学習オプションを提供しています。
10. 著者紹介
万波 大悟(MANAMI DAIGO)
急変対応.net 監修者
資格 1
診療看護師(NP)
資格 2
元 救急看護認定看護師
活動 1
AHA-ACLSファカルティ
(提携ITC: JSISH-ITC)
(提携ITC: JSISH-ITC)
活動 2
日本救急看護学会 評議員
救急・急性期看護の現場経験を踏まえ、看護師の急変対応教育に従事。NCLSコースは累計1,041人以上が受講。AHA-ACLSプロバイダーコースのファカルティとして、医師・看護師・救急救命士向けに教育を継続。臨床と教育の両軸から、新人看護師が「現場で使える判断力」を身につけるためのコンテンツを発信しています。
11. 参考文献
1. 急性腹症診療ガイドライン作成委員会編. 急性腹症診療ガイドライン2015. 医学書院, 2015.
2. Cartwright SL, Knudson MP. Evaluation of acute abdominal pain in adults. Am Fam Physician. 2008;77(7):971-978.
3. Mokart D, Penalver M, Chow-Chine L, et al. Surgical complications in the critically ill: Diagnosis and management. Crit Care. 2011;15(3):209.
4. Tirumani SH, Fraser-Hill M, Auer R, et al. Mesenteric vasculitis: gastrointestinal and renal manifestations. RadioGraphics. 2013;33(4):963-981.
5. Bala M, Kashuk J, Moore EE, et al. Acute mesenteric ischemia: guidelines of the World Society of Emergency Surgery. World J Emerg Surg. 2017;12:38.
6. Kiriyama S, Kozaka K, Takada T, et al. Tokyo Guidelines 2018: diagnostic criteria and severity grading of acute cholangitis. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):17-30.
7. Yokoe M, Hata J, Takada T, et al. Tokyo Guidelines 2018: diagnostic criteria and severity grading of acute cholecystitis. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):41-54.
8. 厚生労働省研究班. 急性膵炎診療ガイドライン2021.
9. Boey J, Choi SK, Poon A, Alagaratnam TT. Risk stratification in perforated duodenal ulcers. A prospective validation of predictive factors. Ann Surg. 1987;205(1):22-26.
10. Evans L, Rhodes A, Alhazzani W, et al. Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2021. Crit Care Med. 2021;49(11):e1063-e1143.
11. Singer M, Deutschman CS, Seymour CW, et al. The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA. 2016;315(8):801-810.
12. Royal College of Physicians. National Early Warning Score 2 (NEWS2). 2017.
13. Cioffi J. Nurses' experiences of making decisions to call emergency assistance to their patients. J Adv Nurs. 2000;32(1):108-114.
14. Odell M, Victor C, Oliver D. Nurses' role in detecting deterioration in ward patients: systematic literature review. J Adv Nurs. 2009;65(10):1992-2006.
15. 日本医療機能評価機構. 医療安全情報.
16. 日本救急看護学会. 救急看護ガイドブック.
17. NCLS公式テキスト(コードブルー刊).
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7. Yokoe M, Hata J, Takada T, et al. Tokyo Guidelines 2018: diagnostic criteria and severity grading of acute cholecystitis. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):41-54.
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9. Boey J, Choi SK, Poon A, Alagaratnam TT. Risk stratification in perforated duodenal ulcers. A prospective validation of predictive factors. Ann Surg. 1987;205(1):22-26.
10. Evans L, Rhodes A, Alhazzani W, et al. Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2021. Crit Care Med. 2021;49(11):e1063-e1143.
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12. Royal College of Physicians. National Early Warning Score 2 (NEWS2). 2017.
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14. Odell M, Victor C, Oliver D. Nurses' role in detecting deterioration in ward patients: systematic literature review. J Adv Nurs. 2009;65(10):1992-2006.
15. 日本医療機能評価機構. 医療安全情報.
16. 日本救急看護学会. 救急看護ガイドブック.
17. NCLS公式テキスト(コードブルー刊).
総まとめ
腹痛は疾患を当てるな、症状で気づけ。
腹痛の疾患は数十あるが、看護師の役目は鑑別ではなく「危険を見抜いて動く」こと。5パターン(Sudden発症・腹痛+ショック・痛みと所見の乖離・腹膜刺激徴候・腹痛+黄疸/発熱)で気づく。「楽になっても致死的疾患は隠れる」のが腹痛の怖さ。
看護師の観察:OPQRST+SAMPLE+バイタル+腹部所見。「便かなぁ」で済ませない。
動き方:応援要請+ABCDE+ライン確保+絶飲食/体位調整を4ステップ同時並行。強い痛みは早めに医師に伝え、鎮痛指示を仰ぐ。
報告は診断名ではなく所見で。中核入口の例:「心房細動の方が突然の激痛で、押しても腹部所見が乏しいんです、すぐ来てほしいです」。
看護師の観察:OPQRST+SAMPLE+バイタル+腹部所見。「便かなぁ」で済ませない。
動き方:応援要請+ABCDE+ライン確保+絶飲食/体位調整を4ステップ同時並行。強い痛みは早めに医師に伝え、鎮痛指示を仰ぐ。
報告は診断名ではなく所見で。中核入口の例:「心房細動の方が突然の激痛で、押しても腹部所見が乏しいんです、すぐ来てほしいです」。
本記事は症状別 急変対応マニュアル⑥。①意識障害「静かに死ぬ」、②呼吸困難、③ショック「組織灌流不全」、④胸痛「5 killer chest pain」、⑤心電図モニター・不整脈に続くシリーズ第6回。次のシリーズ⑦発熱・敗血症・⑧痙攣も併せて。