臨床に役立つ体験を提供

急変対応.net

急変対応マニュアル 新人看護師

【新人看護師向け】ドクターコールが怖いを卒業|タイミング・伝え方・伝わるコツ完全ガイド

投稿日:

夜勤中、患者さんのバイタルが少し気になる。先輩は仮眠中。当直医に電話するか、朝まで待つか――そのたびに胸が締めつけられる。「また怒られるかも」「過剰反応と思われたら」「何から話せばいいか分からない」。ドクターコールが怖いのは、あなたの能力不足ではありません。怖さの正体を言語化できていないだけです。
本記事は、SBAR記事の姉妹版として、ドクターコールに特化した実践ガイドです。怖さの根本原因を3つに分解し、コールするかの判断軸RSBAR(R→S→B→A→R)の報告構造伝わるシチュエーション別のコツまで、新人看護師が現場で迷わない判断軸を提示します。
30秒で結論
ドクターコールは「怖さの言語化+構造化された報告」で卒業できる
怖さの根本原因
過去の感情記憶
緊急度判断の不安
構造化の不在
RSBARで報告
R(用件)
S+B
A(評価)
R(依頼)
エスカレーション
先輩
→リーダー
→医師
3つの問い
誰のため?
いま必要か?
誰の責任?
急変が疑われるときは迷わず報告。怒られたら自分を責めるのではなく、構造で振り返る。

1. なぜドクターコールが「怖い」のか|根本原因3つ

「ドクターコールが怖い」を「自分のメンタルが弱いから」「経験が浅いから」と片付けてしまうと、いつまでも卒業できません。怖さには具体的な構造があります。多くの新人看護師に共通する根本原因を3つに分解します。
根本原因 1
過去に怒られた感情記憶
「夜中に起こすな」「それくらい自分で判断しろ」と言われた経験が、扁桃体に刻まれ、コール=恐怖と条件づけされる。次に電話を取るとき、内容より怒られた記憶が先に立ち上がる。
対策:感情と判断を分離する。怒られたのは「タイミング・伝え方」であって「あなたの存在」ではない。
根本原因 2
緊急度判断への不安
「これ、コールするほど?」と迷うのは、緊急度の判断軸を持っていないから。SpO2 88%、収縮期血圧85など明らかな低血圧、意識レベル低下――数字を見ても、何が「即報告ライン」なのか言語化できない。
対策:NEWS2や施設のRRT基準を判断軸として持つ。Part 2で具体化する。
根本原因 3
伝え方の構造の不在
頭の中で情報が整理されないまま電話をかけると、時系列で話してしまい「で、結論は?」と返される。RSBAR(R→S→B→A→R)という順序を持っていないと、医師の認知負荷を上げてしまい、結果として情報が伝わりにくい。
対策:結論ファースト。Part 3で例文を提示する。
重要|怒られた=あなたの責任、ではない
医師が不機嫌な対応をしたとき、それは医師側の事情(疲労・他患者対応中・自身のストレス)も大きく影響しています。怒られた事実をすべて自分の責任に変換しない。振り返るのは「タイミング」と「伝え方」の2点だけ。あなたの人格や能力ではありません。

2. 怖さを卒業する|3つのマインドセット

ドクターコールの前に、自分に問いかける3つの問いがあります。これが言語化できれば、迷いの大半は解消し、怒られたときも自分を責めずに済みます。
問い 1
このコールは「誰のため」か?
医師のためではない。自分の安心のためでもない。患者のためです。この軸が立っていれば、「怒られるかも」という自己保存の声に押し流されません。患者のバイタルが「即報告ライン」を超えていれば、医師の機嫌は判断材料に入りません。
実践のヒント:電話を取る前に、心の中で「これは○○さん(患者名)のためのコール」と一言唱える。主語が「私の不安」になっていないか確認する。
問い 2
いま「医師の判断」が必要か?
医師コールは「医師の判断・指示・処置」が必要なときに行います。不要な確認コールが重なると、現場全体の認知負荷が上がることがあります。ただし、急変が疑われる場合は迷わず報告。「念のため自分が安心したいだけ」のコールではないか、「指示が既に入っているのに確認したいだけ」ではないか――そこを一呼吸置いて確認するだけで、必要なコールに集中できます。
確認サイン:「念のため」「自分が安心したいから」「指示が既に入っているのに確認したい」――この3つが理由の中心なら、まず先輩相談で十分なケースが多い。急変が疑われる場合は迷わずコール。
問い 3
エスカレーションは「誰の責任」か?
新人看護師ひとりの責任ではありません。組織の責任です。だから「先輩→リーダー→医師」というエスカレーション順が制度として用意されている。自分一人で「医師に報告すべきか」を判断する必要はない。先に先輩・リーダーに相談する仕組みを使う。
例外:心停止・心停止前兆(意識消失+脈触れない、SpO2測定不能+意識低下や脈触知不良を伴う、呼吸停止様)は階層スキップしてコードコール+医師直通。Part 2で詳述する。

3. ドクターコール基本フロー|先輩→リーダー→医師

ドクターコールは、いきなり医師に電話するものではありません。段階的なエスカレーションが原則です。なぜこの順序が大事か、そしていつ階層をスキップしてよいか――この2点を押さえます。
エスカレーションの基本フロー
STEP 1
先輩看護師に相談
「○○さんのバイタル、収縮期85まで下がってます。一緒に見てもらえますか」
目的は緊急度の二段階確認。経験ある先輩の目で、コールラインかどうか判断してもらう。
STEP 2
リーダー看護師に報告
先輩相談の結果、医師コールが妥当そうならリーダーへ。リーダーは病棟全体の状況を把握しており、コールのタイミング・優先順位を判断できる。
STEP 3
医師にコール
RSBAR(冒頭R→S→B→A→末尾R)の順で報告。リーダーから医師に直接連絡することもあるが、報告者は担当看護師であることが多い。
なぜ「先輩→リーダー→医師」の順か
1. 緊急度の二段階確認:新人ひとりの判断ではなく、複数の目で過剰/過小判断を補正する。
2. 情報の整理:先輩・リーダーと話す過程で、報告すべき情報がRSBARの形に整理される。
3. 組織責任の分散:医師コールの判断責任を担当看護師ひとりに負わせない仕組み。
4. 医師の認知負荷低減:整理された情報がコールされるため、医師も対応しやすくなり、結果として伝わりやすい。
例外|階層をスキップする場面
以下の場面はコードコール+医師直通が原則です。先輩を探している間に介入が遅れると、患者の予後を直接悪化させる。
1. 心停止(意識消失+呼吸なし or 死戦期呼吸+脈触れない)
2. 心停止前兆(意識急速低下+SpO2測定不能+触知微弱)
3. 気道閉塞・窒息
4. 大量出血(目視で明らかな出血源)
5. アナフィラキシーショック(投与開始直後の急変)
上記は施設のコードコール基準・RRT(Rapid Response Team)起動基準に該当する場面。順序より速度を優先する。
先輩が捕まらないとき
夜勤帯・処置中・他患者対応中など、先輩がすぐに来られないことは日常的にあります。このとき新人がやるべきことは「待つ」ではなく「次の階層に上げる」

1〜2分待っても捕まらない場合は、リーダーに直接相談、またはバイタルが即報告ラインを超えていればリーダー判断で医師コール。「先輩がいないから動けない」が一番危ない判断です。

補足|ドクターコールの不安は「普段からの関係」で減らせる

ドクターコールの怖さは、コールの瞬間だけで決まるものではありません。普段からの医師とのコミュニケーション・信頼関係が、いざというときの心理的ハードルを大きく左右します。新人看護師が見落としがちな視点ですが、実は最も効くアプローチの一つです。
日常 1
回診時に積極的に話す
回診・カンファ・ラウンドは、医師との顔と名前を一致させる場。気になる所見・経過の変化を一言伝えるだけで、医師側の認識も「この看護師は患者を見ている人」に変わる。
日常 2
日勤帯の小さな質問
指示の意図、薬剤選択の理由、検査の見どころ――余裕のある時間に質問しておくと、夜間コールでも「この人は学ぶ姿勢がある」と認識され、対応が穏やかになる。
日常 3
フィードバックを返す
「あの指示で改善しました」「先日のアドバイスが役立ちました」――結果を返すと、医師は次のコールにも応じやすくなる。一方通行ではなく対話の関係を作る。
なぜ「普段の関係」がコールを楽にするのか
医師にとって「初対面の看護師からの夜間コール」と「普段から話している看護師からの夜間コール」は、心理的な距離が違います。顔の見える関係があれば、医師は「この人がコールしてきたなら理由がある」と前提を置いて聞ける。これだけで対応のトーンが変わります。

新人時代は特に、医師との接点を意識的に作る。挨拶、回診参加、質問、結果のフィードバック――小さな積み重ねが、夜間1本のコールの怖さを減らす最大の予防策になります。
チーム・組織レベルの取り組みもある
個人の努力だけに任せず、チーム全体で関係構築の仕組みを持つことも有効です。多職種カンファ、朝のショートミーティング、急変事例の振り返り(デブリーフィング)――こうした場が、看護師-医師間の心理的距離を縮め、結果として個々のコールを楽にします。

新人看護師の「ドクターコールが怖い」を、個人の問題として抱え込ませない。組織として関係構築の場を持つことが、医療安全の土台になります。
怖さは「言語化+構造+組織責任」で解体できる
ドクターコールが怖いのは、能力不足ではなく、怖さの正体が言語化されていないからです。感情記憶・緊急度判断・伝え方の構造――この3つに分解し、誰のため・いま必要か・誰の責任の3つの問いを持ち、先輩→リーダー→医師のエスカレーションを使う。さらに普段からの医師との関係構築がコール時の心理的ハードルを下げます。
Part 2では、「コールするか」の具体的な判断軸を扱います。「即コール対象 5場面」「先輩相談で対応できる例」「夜間・休日の特殊性」を、現場の事例ベースで言語化します。

4. コールするかの判断軸|3つの選択肢から考える

ドクターコールで一番迷うのが、「これ、医師に連絡するほど?」の判断です。Part 1で示したように、急変が疑われるときは迷わず報告が大原則。一方で、医師コール・先輩相談・経過観察という3つの選択肢があり、状況に応じて使い分けることで現場全体の認知負荷も整います。本パートでは、早めの医師連絡を検討する6場面・先輩相談で対応できる例・判断の3つの問い・夜間特有の注意点を、現場の事例ベースで言語化します。

4-1. 早めの医師連絡を検討する6場面|心停止・呼吸停止は階層スキップ

医師連絡を急ぐべき6場面です。心停止・呼吸停止だけは最優先・階層スキップでコードコール+医師直通。それ以外の4場面は、先輩・リーダーと共に判断するのが原則。バイタルの推移・他の所見・既存指示の範囲を確認しながら、悪化トレンドや指示の範囲を超えると判断したら、早めの医師連絡を検討します。
場面 1
心停止|有効な心拍出が消失
心停止は有効な心拍出が消失した状態。心筋の電気活動・機械的活動のいずれか(または両方)が停止し、脳・冠動脈を含む全身循環が止まります。発見から数分以内の介入が予後を決めるため、最優先・階層スキップでコードコール+医師直通。
心停止のサイン(or 心停止に近い前兆)
反応なし・意識消失
呼吸なし or 死戦期呼吸(顎を引くような呼吸・あえぎ呼吸)
頸動脈触知なし(10秒以内で確認)
※前兆として:意識急速低下(JCS 1桁→2桁・3桁)・SpO2測定不能+意識低下や脈触知不良を伴う・橈骨動脈触知不能・皮膚蒼白・チアノーゼ・冷汗
解剖生理ポイント
心臓のポンプ機能停止 → 大動脈圧低下 → 冠動脈・脳血流停止 → 約4〜6分で不可逆的脳損傷。
4つの波形:VF・pVT(電気的不安定で除細動適応)/PEA・Asystole(電気-機械乖離 or 電気活動停止で除細動非適応)。
PEAはQRSが見えても脈なし――波形+脈拍確認の両方が必須
想起される原因疾患・場面(可逆原因5H5T)
急性心筋梗塞・致死性不整脈(VF/pVT)
肺塞栓・緊張性気胸・心タンポナーデ
高K血症・低K血症・代謝異常
大量出血・敗血症性ショック末期
アナフィラキシーショック
低酸素・アシドーシス・低体温
アクション
1. 応援要請(コードコール)・記録係の確保
2. 胸骨圧迫が最優先(深さ5cm以上・テンポ100〜120/分・中断最小化)
3. BVM換気(1回約1秒、過換気回避)
4. AED/モニター除細動器装着 → 適応リズム(VF/pVT)なら除細動
5. 静脈路確保・薬剤投与(医師指示)
6. 可逆原因(5H5T)を並行で検索
※AED運用とモニター除細動器運用は手順が異なる――施設のプロトコル確認
場面 2
呼吸停止|脈はあるが自発呼吸なし
呼吸停止は自発呼吸が消失した状態。ただし循環(脈)はまだ存在する。放置すれば低酸素・高CO2が進行し、数分で心停止に進展するため、換気が最優先。応援要請+気道確保+BVM換気で時間を稼ぎ、原因検索と治療を進めます。心停止と並ぶ最優先・階層スキップ案件です。
呼吸停止のサイン
反応なし or 反応低下
胸郭の動きがない or 死戦期呼吸
頸動脈触知あり(脈は確認できる)
SpO2急激低下 → 測定不能
チアノーゼ進行
解剖生理ポイント
呼吸停止 → 肺胞換気停止 → PaCO2上昇・PaO2低下 → 全身低酸素 → 心筋・脳の機能不全 → 数分で心停止。
原因の場所別に2分類:中枢性(延髄呼吸中枢の障害)と末梢性(気道・呼吸筋・換気駆動の障害)。
想起される原因疾患・場面
オピオイド・鎮静薬過量(医原性が多い)
気道閉塞(誤嚥・喉頭浮腫・舌根沈下)
中枢神経障害(脳幹梗塞・脳出血・頭蓋内圧亢進)
神経筋疾患急性増悪(重症筋無力症クリーゼ・ギラン・バレー)
重症高CO2血症の進行(CO2ナルコーシス末期)
低酸素の進行
アクション
1. 応援要請(コードコール)
2. 気道確保(頭部後屈あご先挙上 or 下顎挙上)
3. BVM換気が最優先(10〜12回/分・1回約500〜600mL・過換気回避)
4. 脈確認を継続(心停止に進展しないかモニタ)
5. SpO2モニタリング・酸素投与
6. 原因検索:オピオイド使用?気道?神経?
7. 必要時の薬剤(ナロキソン等)・挿管準備
8. 心停止に進展したらCPRに切り替え
心停止 vs 呼吸停止|介入の重みが違う
心停止
状態:循環停止
確認:脈触知なし
最優先:胸骨圧迫
波形:VF/pVT/PEA/Asystole
時間軸:数分で不可逆的脳損傷
呼吸停止(脈あり)
状態:換気停止・循環あり
確認:脈触知あり・呼吸なし
最優先:換気(BVM)
原因:中枢性 or 末梢性
時間軸:放置で心停止に進展
判断のキー:意識・呼吸を確認した後、10秒以内に頸動脈で脈確認。脈なし=心停止(CPR)、脈あり=呼吸停止(換気)。BLSアルゴリズムの分岐点。
場面 3
敗血症悪化疑い|抗菌薬開始後も悪化が続く
抗菌薬が投与されているのに、循環・呼吸・意識・尿量のいずれかが進行性に悪化している――これは「感染治療中なのに反応していない」状態。敗血症悪化・敗血症性ショックへの進展を疑い、先輩・リーダー相談の上、早めの医師連絡を検討します。悪化トレンドなら判断を急ぐ。
敗血症悪化のサイン(qSOFA/NEWS2と併せて)
収縮期血圧 100未満(qSOFA陽性)
呼吸数 22以上
意識障害(JCS低下・落ち着きなさ)
尿量低下(0.5mL/kg/h未満が続く)
乳酸値上昇傾向(あれば)
抗菌薬投与済でも改善せず・悪化トレンド
報告の核:「感染治療中なのに循環・呼吸・意識・尿量が悪化している」という事実が、医師にとって最も重要な情報。これがアセスメント(A)の見本。Part 3で報告例を提示する。
場面 4
出血|術後・消化管・抗凝固薬使用中
目視で明らかな出血源、または循環動態の悪化を伴う出血疑いは先輩相談+早めの医師連絡を検討します。「量が少ない」と感覚で判断しない。ガーゼに染みた血液量は過小評価しがち。
医師連絡を検討する出血
術後創部・ドレーン排液量の急増
吐血・下血(鮮血・タール便)
抗凝固薬使用中で止血困難・出血量増加・血圧低下/頻脈・頭部打撲後を伴う出血
頻脈+血圧低下を伴う出血疑い
気道周囲の出血(誤嚥・気道閉塞リスク)
循環動態の指標:収縮期血圧低下より頻脈が先行することが多い。「血圧が下がってからコール」では遅い。HR 110超+冷汗+不安感は出血性ショック前兆として扱う。
場面 5
意識障害|JCS急変・GCSが2点以上低下or明らかな意識レベル低下
意識レベル低下の鑑別は広い。脳卒中・低血糖・低酸素・高CO2・敗血症・薬剤性――原因を絞る前に、まず報告。看護師が原因まで言い当てる必要はない。
D評価で押さえる4項目
低酸素(SpO2)
低血圧(収縮期90未満は要警戒)
低血糖(意識障害の鑑別必須・血糖測定)
高CO2(CO2ナルコーシス・特に酸素投与中の傾眠)
CO2ナルコーシスの罠
COPD・肥満低換気症候群・神経筋疾患・慢性II型呼吸不全などの患者では、SpO2を上げようと酸素流量を上げた結果、CO2貯留から傾眠が進行することがあります。COPDなら全員SpO2 88〜92%目標、ではなく「高CO2血症リスクのある患者」限定。意識障害+酸素投与中の傾眠は、必ず報告対象です。
動き方:血糖測定→バイタルフルセット→気道確認→コール。「先に検査」より「先に医師に共有」。
場面 6
SpO2低下|酸素投与で改善しない呼吸不全
既存の酸素指示で改善しない呼吸不全は、原因鑑別が広い(肺塞栓・気胸・心不全増悪・肺水腫・喀痰閉塞・アナフィラキシー)。看護師が鑑別を絞るのではなく、「指示の範囲を超えている」事実を先輩・リーダーと共有し、早めの医師連絡を検討します。
医師連絡を検討する呼吸不全
既存指示の酸素流量で目標SpO2に到達しない
呼吸数 25以上 or 8以下(NEWS2でも高スコア)
努力呼吸・補助筋使用・起座呼吸
泡沫様の喀痰(肺水腫を疑う)
胸痛+呼吸困難(肺塞栓・心筋梗塞鑑別)
報告の核:「指示は○ℓ/分のところ、現在○ℓ/分でもSpO2 ○%」。指示と現状のギャップを明確にすると、医師は介入判断がしやすい。
6場面の共通原理
どの場面も「看護師が原因を絞る前に、医師に共有する」が原則。鑑別を完璧にしてからコールしようとすると、必ず遅れる。「感染治療中なのに反応していない」「指示の範囲を超えている」「介入が必要そうだ」――この3つのいずれかが言えれば、コール理由として十分です。

4-2. 先輩相談で対応できる例|医師コール不要のパターン

急変が疑われるときは迷わず医師コールが大原則。一方で、医師判断が必要ない場面では先輩相談・経過観察で対応できることも多くあります。「医師コール不要」のパターンを言語化することは、必要なコールに集中するためにも大事です。
医師コール不要 1
指示が既に入っている確認
「熱発時アセリオ」「不眠時マイスリー」など、頓用指示が既にある場合は、看護師判断で実施。「念のため確認」は不要。
医師コール不要 2
明日の点滴・検査の確認
翌日の予定確認は主治医報告で十分。夜間に当直医にコールする必要なし。日勤帯に申し送り、または朝のカンファで処理。
医師コール不要 3
数値正常で他の所見もない場合
バイタルが基本値内で、いつもと違う点や悪化傾向もないなら先輩相談+経過観察で対応可能。ただし「いつもと違う」「尿量低下」「反応鈍麻」など他の所見があれば話は別(下の補足を参照)。
医師コール不要 4
自分が安心したいだけ
「コールしておけば責任は医師に移る」という自己防衛のコールは過剰報告。患者のためでなく自分のための電話になっていないか確認する。
医師コール不要 5
バイタル微小誤差
体温37.9と38.0、HR 88と91――この程度の差は誤差レベル。発熱時の頓用指示があれば実施で対応。迷うなら先輩相談で十分。
現場のリアル|「先輩からコールしてと言われたら」
バイタルが微妙だなと先輩相談したら「○○さん、コールしておいて」と言われた――現場でよくある場面です。先輩判断を信頼してコールしましょう。新人ひとりの判断ではなく、先輩の経験値を経由したコールは過剰報告にはなりません。

コールするときのコツは、冒頭のR(用件)で「○○先輩と相談した結果、医師に連絡しています」と一言添えること。先輩のバックアップを医師にも伝えると、報告の重みが整います。これだけで「なんでこれくらいでコール?」と返される可能性が大幅に下がります。
補足|「なんか変」を切り捨てない
バイタルが正常範囲でも、いつもと違う・悪化傾向・尿量低下・反応鈍麻・表情の変化・話し方の違いなどがあれば、急変前のサインの可能性があります。臨床経験に基づく早期警戒として、看護師の直感は研究上も意味があるとされています。

対応の基本は、先輩相談に加えて観察強化(頻回バイタル測定・SpO2連続モニタ・尿量チェック)。再評価で悪化トレンド・新たな所見の出現があれば、必要時は医師報告も検討します。「数値は正常だから様子見」で固定せず、所見を3つ書き出して評価し直すクセをつけると、急変の予兆を捉えやすくなる。これはNCLS-EPでも重視される視点です。

4-3. コール判断の3つの問い

6場面・医師コール不要例のどちらにも該当しない、グレーゾーンの判断はどうするか。3つの問いを順番に自問することで、判断軸が明確になります。
問い 1
数値が「即報告ライン」を超えているか?
施設のRRT起動基準・NEWS2スコア・ABCDEに沿った異常値があるか確認する。「収縮期90未満」「SpO2 90%未満で酸素対応で改善せず」「呼吸数25以上」「意識レベル低下」――客観的指標で説明できるなら、コール根拠になる。
判断のヒント:バイタルアラーム閾値は施設・患者ごとの設定(例:HR 40〜150)。基本値からの乖離も含めて評価する。
問い 2
医師の介入(指示変更・処置)が必要か?
既存指示の範囲で対応できるなら、看護師判断で動く。指示の範囲を超えている、または新規指示・処置・薬剤変更が必要なら医師コール。「報告するだけ」のコールは過剰報告に近い。
判断のヒント:冒頭のR(用件)を一言で言えるか自問する。「指示が欲しい」「来てほしい」「○○を確認したい」――言えなければ、まず先輩相談で十分なケースの可能性が高い。
問い 3
待つことで予後が悪化するか?
朝の主治医報告まで待てるか、それとも1時間後には手遅れか。心筋梗塞・脳卒中・敗血症ショックは時間との勝負。「待ちで悪化」が予測されるなら、迷わずコール。
判断のヒント:バイタルが「悪化傾向」「安定」か。横ばいなら経過観察の余地、悪化トレンドなら早めの医師連絡を検討。
3つの問い|適用例
ケース:夜勤中、80歳男性。術後3日目。HR 105、収縮期108、SpO2 93%(室内気)、JCS 1。普段と比べてやや頻脈、SpO2もいつもより低い。

問い1:即報告ライン超えではない(NEWS2では中等度スコア)。 問い2:酸素指示は入っている。新規介入は判断微妙。 問い3:術後3日目、肺塞栓リスク・無気肺リスクあり、悪化傾向なら時間が大事。

判断:即医師コールではなく、先輩相談+頻回バイタル+酸素投与開始(指示があれば)。30分後再評価で悪化していればリーダー判断で医師コール。

4-4. 夜間・休日のドクターコール特殊性

夜間・休日のドクターコールは、日勤帯と判断軸が変わります。当直医の状況夜間特有の急変パターンを理解すると、適切なタイミングが見えてきます。
当直医の状況を理解する
当直医は複数科を兼務していることが多く、自分の専門外の患者も担当します。仮眠中・他患者対応中・緊急入院対応中など、状況は刻々と変わる。

だからこそ、冒頭にR(用件)を伝えることが医師への配慮になります。「○○病棟の××(患者名)、緊急で来ていただきたいです」と冒頭で伝われば、医師は移動しながら情報を整理できる。状況説明から始めると、医師は「で、何が必要?」と最後まで聞かなければ動けない。
夜間特有の急変パターン
夜間は急変の発見が遅れやすい時間帯です。観察人員が少なく、患者は睡眠中で訴えが少ない。だからこそ、以下のパターンには警戒が必要。
1. 早朝の心筋梗塞(交感神経活動の日内変動)
2. 夜間の脳卒中(発見時刻不明問題)
3. 敗血症の夜間悪化(熱発+血圧低下が同時進行)
4. 高齢者のせん妄からの転倒
5. COPD・肥満低換気症候群・慢性II型呼吸不全患者の酸素投与中CO2貯留
夜間判断軸|「朝まで待てるか」を自問する
夜間コールで迷ったら、「朝の主治医報告まで待てるか」を判断軸にする。

待てる例:バイタル安定、既存指示で対応可能、明日の予定確認。
待てない例:悪化トレンド、心筋梗塞・脳卒中・敗血症の鑑別が要、抗菌薬使用中の悪化。

待てない判断は当直医コール。判断に迷う段階(待てるか待てないか分からない)は先輩相談。これだけで夜間コールの判断は大幅に整理されます。

4-5. 不要な確認コールが現場に与える影響

急変が疑われるときは迷わず報告するのが大原則です。一方で、不要な確認コールが重なると、現場全体の認知負荷が上がることがあります。「報告しないより、しすぎる方がマシ」という考え方も一面では正しいのですが、長期的には患者全体への影響を考える必要があります。
確認コールが重なると起きること
1. 認知負荷の上昇
医師の集中力・判断リソースが消耗し、本当に判断が必要な場面の精度が下がりやすい。
2. 医師の疲労
睡眠分断・連続コールで判断力が低下。他の急変患者にも間接的に影響することがある。
3. 信頼関係への影響
看護師-医師の関係が緊張し、必要なコール時の対応にも影響しうる。
大原則|急変が疑われるときは迷わず報告
認知負荷の話は、あくまで「指示が既に入っている確認」「明日の予定確認」「自分が安心したいだけ」など、医師判断が不要な場面のことです。急変が疑われる場面では、過小報告のほうがはるかに大きなリスク。「報告すべきか迷う」段階なら、まず先輩相談、その先で医師コール。判断軸の優先順位は、患者安全>>>認知負荷の配慮、です。
不要なコールを減らすシンプルな方法
コール前に「先輩相談」を経由すること。これだけで、不要な確認コールの多くは整理されます。先輩経由で「これは医師コール案件」と判断されれば、現場全体の納得感も高まる。新人ひとりの判断でコールを増やさない仕組みは、組織全体で作るものです。
PART 2 まとめ
コール判断は「3つの問い」と「先輩相談」で迷わなくなる
早めの医師連絡を検討する6場面(心停止・呼吸停止・敗血症悪化・出血・意識障害・呼吸不全)は、心停止・呼吸停止だけ階層スキップ、それ以外は先輩・リーダーと共に判断。指示確認や明日の予定など医師判断が不要な内容は先輩相談で十分。グレーゾーンは「即報告ライン超え/介入要/待ちで悪化」の3つの問いで整理。夜間は「朝まで待てるか」を加える。急変が疑われるときは迷わず報告が最優先――不要な確認コールを減らす視点は、急変対応の優先度を下げません。
Part 3では、RSBAR(R→S→B→A→R)の伝え方を具体的な例文で示します。3用件パターン(緊急・相談・確認)・電話冒頭の定型文・良い例/悪い例の対比5組を扱います。

5. RSBARで伝える|R→S→B→A→R

コール判断ができたら、次は伝え方です。整理されていない報告は、医師の認知負荷を上げ、結果として「で、結論は?」と返される原因になります。RSBAR(R→S→B→A→R)は、看護師-医師間の報告フレームとして広く使われている構造。冒頭R(用件)で結論ファースト、末尾R(依頼)で具体的なアクションを引き出す――この順序を持つだけで、コールの怖さは大幅に減ります。
RSBAR の5要素
R (冒頭)
用件・なぜ電話したか
「来てほしい/指示が欲しい/相談したい」を一文で
S
現在の状況
患者基本情報+直近のバイタル+主訴
B
背景・経過
入院経過・既往・治療歴・アレルギー
A
評価・アセスメント
何を疑うか・どこに問題があるか
R (末尾)
依頼・提案
「来てください/○○の指示が欲しい」
冒頭Rと末尾Rが両端にあることで、医師は「なぜ電話か」と「何をすればよいか」を最短で把握できる。

5-1. RSBAR各要素の中身と定型文

R(冒頭)|用件
最初の一文で「なぜ電話したか」を伝える
医師が電話を取った瞬間、最初に知りたいのは「来てほしいのか・指示が欲しいのか・相談か」。これが冒頭で伝われば、医師は移動しながら情報整理ができる。「○○病棟の××(患者名)、~~のため」と続ける形で、用件を一文に圧縮する。
冒頭Rの定型文
緊急:「○○病棟の××さん、急変対応中です。至急来てください
連絡:「○○病棟の××さん、バイタルが悪化しており、来ていただきたいのですが」
指示依頼:「○○病棟の××さん、~~のため指示をいただきたいです」
相談:「○○病棟の××さんのバイタルで判断をご相談したいです。みにこれませんか
S|現在の状況
患者基本情報+直近バイタル+主訴
S(Situation)は「いま何が起きているか」。患者を特定する基本情報、現時点のバイタル、観察された症状を、医師がイメージできる順序で伝える。だらだら話さず、3〜5要素に圧縮するのがコツ。
Sに含める要素
1. 患者基本情報:部屋番号・氏名・年齢・性別・主疾患
2. 直近バイタル:意識(JCS/GCS)・血圧・HR・RR・SpO2・体温
3. 主訴・症状:いつから・どんな症状(時系列を簡潔に)
4. 観察所見:皮膚色・冷感・呼吸様式・浮腫など重要なもの
Sの例文
「302号室の田中さん、80歳男性、肺炎で入院中です。30分前から呼吸数が28と頻呼吸で、SpO2は酸素3L/分で90%まで低下、HR 118、収縮期血圧95、意識JCS 1です。皮膚は冷感あり、努力呼吸が見られます」
B|背景・経過
入院経過・既往・治療歴で文脈を提供
B(Background)は、医師が判断するために必要な文脈情報。当直医は患者の経過を把握していないことが多いため、入院理由・直近の経過・現在の治療内容を伝える。「いま起きていること」と関連する背景に絞り、無関係な既往は省く。
Bに含める要素
1. 入院理由・入院日:診断名・経過日数
2. 関連する既往歴:糖尿病・心疾患・腎機能・抗凝固薬使用など
3. 現在の治療:抗菌薬・点滴・酸素・術後経過など
4. アレルギー・禁忌(必要時)
Bの例文
「肺炎で5日前入院、抗菌薬(セフトリアキソン)投与中で4日目です。糖尿病あり、抗凝固薬は使用していません。昨日まではバイタル安定していました」
A|評価・アセスメント
看護師として何を疑っているか
A(Assessment)は、看護師が観察した結果から「何を疑っているか・どこに問題があると考えるか」を伝える要素。鑑別を完璧にする必要はなく、「○○が心配です」「ABCDEの○に問題」「治療しているのに反応していない」と一言で表現する。
Aの言い方パターン
疾患疑い型:「敗血症悪化が心配です」「肺塞栓を疑っています」
ABCDE型:「Bに問題があり、呼吸状態が悪化しています」
治療反応型:「治療しているのに反応していません」
指示外型:「既存指示の範囲を超えています」
素直な不安型:「○○が悪化トレンドで心配です」(疑いがはっきりしない時)
Aの例文:「抗菌薬投与4日目ですが、バイタル悪化トレンドで、敗血症悪化を心配しています」
R(末尾)|依頼・提案
具体的に何をしてほしいかで締める
冒頭Rと呼応する形で、具体的な依頼を末尾に置く。「来ていただけますか」「○○の指示をいただけますか」「現状の指示で経過観察でよいでしょうか」――これが言えると、医師は次のアクションを判断しやすくなる。冒頭Rで「来てほしい」と言ったら、末尾Rで「来ていただけますか」と再度確認する。
末尾Rの定型文
緊急時:「至急来てください」
連絡時:「来ていただけますか」
相談時:「みにきていただけますか/みにこれませんか」
指示依頼:「採血・追加酸素・○○の指示をいただけますか」
判断依頼:「現状の指示で経過観察でよろしいでしょうか」
確認依頼:「○○の解釈で合っていますか」

5-2. 3用件パターン|緊急・連絡・相談

ドクターコールは用件の重みが3段階に分かれます。緊急・連絡・相談のどれに該当するかを意識すると、冒頭Rの定型文が変わり、医師の認知も整います。
用件 1
緊急|至急来てほしい・コードブルー
心停止・呼吸停止・敗血症性ショック進展・大量出血など、分単位で介入が必要な場面。冒頭Rで「至急」を明示し、Sは最重要バイタルのみ短く、Aは「○○を疑う」、末尾Rは「至急来てください」と短く強く。
定型文:「302号室の田中さん、CPR中です。至急来てください。経過は到着後にお伝えします」
用件 2
連絡|来てほしい or 指示依頼
バイタル悪化・症状進行・既存指示で対応できない場面など、医師の判断・指示・処置が必要な場面。RSBARをフルに使い、医師が判断材料を整理できるよう情報を提供する。最も使用頻度が高いパターン。
定型文:「302号室の田中さん、肺炎入院中ですが、抗菌薬投与4日目で呼吸状態が悪化しています。SpO2 90%、HR 118、収縮期95です。敗血症悪化を心配しており、来ていただいて指示もお願いしたいです」
用件 3
相談|判断・解釈の確認
バイタルが微妙だが介入が必要か迷う、指示の解釈に確信が持てない場面。「相談したい」と冒頭で明示することで、医師は「来てほしいわけではなく、判断だけ」と認識でき、対応しやすくなる。先輩相談を経由した上でのコールが多い。
定型文:「302号室の田中さんのバイタルで判断をご相談したいです。○○先輩と相談した結果、念のため連絡しています。SpO2は93%で安定していますが、HRが上昇傾向で、現状の指示で経過観察でよいかご判断いただけますか」
3用件の選び方
緊急:いま分単位で介入要 → 「至急来てください」
連絡:医師の判断・指示・診察が必要 → 「来てほしい・指示依頼」
相談:介入要否を判断したい → 「みにこれませんか・判断のご相談」

迷ったら「連絡」が無難。「相談」で始めて医師判断で「すぐ行く」となるのが望ましい流れ。

5-3. 良い例 vs 悪い例|対比5組

RSBARの構造を持つかどうかで、報告の通りやすさは大きく変わります。新人看護師が陥りがちな「悪い例」と、RSBARで整えた「良い例」を5組対比します。声に出して比べてみると、医師の認知負荷の違いが体感できます。
対比 1|血圧低下の相談
悪い例
「あの、田中さんなんですけど、さっきから血圧がちょっと下がってきていて、心配で…どうしたらいいですか?」
部屋・経過・数値・用件すべて不明。医師は「で、何をすれば?」と返すしかない。
良い例(RSBAR)
「302号室の田中さんで判断をご相談したいです。術後3日目で、収縮期が30分前98→いま88に低下、HR 105、意識清明です。出血源の所見はありませんが、悪化トレンドが心配です。みにこれませんか、または追加指示をご検討いただけますか
冒頭R+S+B+A+末尾Rが揃っている。医師は判断だけで対応できる。
対比 2|抗菌薬投与中の敗血症悪化
悪い例
「田中さん、熱がまだ下がらなくて、抗菌薬入っているはずなんですけど…呼吸も苦しそうで…解熱剤使っていいですか?」
敗血症悪化の本質(治療しているのに反応していない)が伝わらない。解熱剤の話に矮小化される。
良い例(RSBAR)
「302号室の田中さん、来ていただいて指示もお願いしたいです。肺炎で抗菌薬4日目ですが、呼吸数28・SpO2 90%・収縮期95・尿量低下傾向です。感染治療中なのに循環・呼吸が悪化しており、敗血症悪化を心配しています。来ていただけますか
「治療しているのに反応していない」がAの核。医師は敗血症悪化の枠で動ける。
対比 3|呼吸状態悪化(指示の範囲を超える)
悪い例
「田中さんのSpO2が低くて、酸素を増やしてみたんですけどあまり上がらなくて…苦しそうで」
既存指示・現在の流量・SpO2の具体値が不明。指示外の対応の判断ができない。
良い例(RSBAR)
「302号室の田中さん、呼吸の指示をお願いしたいです。指示は2L/分のところ、現在5L/分でもSpO2 88%、呼吸数26で努力呼吸です。心不全既往あり、肺水腫を心配しています。来ていただいて指示変更をお願いします
指示と現状のギャップが明確。医師は介入の判断材料が揃う。
対比 4|術後ドレーン排液量増加
悪い例
「田中さんのドレーンから血が結構出てきていて、心配なんですけど…」
排液量・色・経時変化・循環動態が不明。「結構」の主観で医師は動けない。
良い例(RSBAR)
「302号室の田中さん、来ていただきたいです。術後1日目、ドレーン排液が過去1時間で200mL、鮮血様です。HR 110で頻脈傾向、収縮期100で皮膚冷感あります。術後出血を心配しています。至急来てください
排液量・性状・循環動態の3点セット。医師は再開腹判断もできる情報量。
対比 5|意識障害(夜間)
悪い例
「田中さん、なんか反応が悪い感じで…せん妄かもしれないんですけど、どうしたらいいですか?」
意識レベル・血糖・SpO2・既往の確認が不明。せん妄断定で重大な鑑別を見逃すリスク。
良い例(RSBAR)
「302号室の田中さん、来ていただきたいです。30分前まで会話できていましたが、JCSが3桁まで低下、血糖測定済みで120、SpO2 92%(室内気)です。糖尿病・脳梗塞の既往あり、意識障害の鑑別が必要と考えています。来ていただいて指示もお願いします
D評価(低血糖除外済み)・既往・進行スピードが揃い、医師は鑑別を立てやすい。
良い例の共通構造
1. 部屋番号・氏名で患者特定
2. 冒頭Rで用件を一文に圧縮
3. 数値+経時変化(「30分前→いま」)で医師が変化を把握
4. 既存指示と現状のギャップを明示
5. Aで「○○を心配・疑う」と一言
6. 末尾Rで具体的な依頼

悪い例の多くは「主観形容詞(結構・なんか・心配)」で構成されており、客観情報が不足している。RSBARは主観を客観に翻訳するフレームでもあります。
PART 3 まとめ
RSBARは「主観を客観に翻訳する」フレーム
冒頭R(用件)で結論ファースト、S(状況)+B(背景)で文脈、A(評価)で看護師の判断、末尾R(依頼)で具体的アクション――この5要素を持つだけで、コールの怖さは大幅に減ります。3用件パターン(緊急・連絡・相談)で重みを意識し、良い例の共通構造(数値+経時変化+ギャップ+疑い+依頼)を実装すれば、医師の認知負荷も整います。
Part 4では、シチュエーション別・伝わるコツを扱います。術後・抗菌薬投与中・転倒・家族対応・指示確認・血圧低下の6シチュエーション別の実践と、過剰反応 vs 過小反応のバランス、デブリーフィング1分版を提示します。

6. シチュエーション別・伝わるコツ

コール判断もRSBAR構造もできた。それでも「うまく伝わらなかった」「叱責された」経験は積み重なります。そのときに自分を全否定するのではなく、構造で振り返ること。そして、相手目線のテクニックを持つこと。本パートでは、振り返り構造・過剰/過小バランス・相手目線5テクニック・シチュエーション別追加実践・デブリーフィング1分版を扱います。

6-1. うまく伝わらなかった時の振り返り構造|感情と判断を分離する

コールがうまく伝わらず叱責された瞬間は、感情が判断を覆い隠します。「自分はダメだ」「向いていない」「もうコールしたくない」――これらは怒られた事実から派生した感情で、振り返りの対象ではありません。振り返るべきは「タイミング」と「伝え方」の2点だけです。
振り返るべき2点
1. タイミング:このコールは「いま」必要だったか、朝まで待てたか

2. 伝え方:RSBARの構造があったか、冒頭Rで用件を圧縮できたか
この2点だけが、次回に活かせる学習対象。
振り返るべきでない3点
1. 自分の能力:「向いていない」は判断ではなく感情

2. 自分の人格:叱責されたのは行動であって人格ではない

3. 自分の存在価値:1回のコールで決まるものではない
この3点に振り返りが及ぶときは、感情が判断を侵食しているサイン。
振り返りシート|3つの問い
問い1:このコールは「タイミング」として妥当だったか?(過剰報告・過小報告・適切のどれか)
問い2:RSBARの5要素のうち、足りなかった要素はどれか?
問い3:次回、同じシチュエーションでどう変えるか?(具体的に1つだけ)

この3問を1分で書き出すだけで、振り返りは完了。長く悩むより、構造化して短く処理する。感情に巻き込まれるほど学習は遅くなります。
重要|医師側の事情も大きい
医師が不機嫌な対応をしたとき、それが100%あなたのコールのせいとは限りません。当直医の疲労・他患者の急変対応中・自身のストレス・性格――こうした医師側の事情も大きく影響します。叱責の事実をすべて自分の責任に変換しないこと。Part 1の「補足|普段からの関係」で扱ったように、関係性の積み重ねが対応のトーンを和らげます。

6-2. 過剰反応 vs 過小反応|自分のクセを知る

新人看護師は、過剰反応か過小反応のどちらかに偏りがちです。自分のクセを知ることが、バランスへの第一歩。両極端は両方ともリスクを生みます。
過剰反応タイプ
不安をすぐコールに変換
「念のため」コールが多い。不安を抱え続けるのが苦手で、医師に判断を投げて安心したくなる。自己防衛のコールになりがち。
対策:コール前に「先輩相談」を経由する。先輩の経験値を借りることで判断が整理される。
過小反応タイプ
叱責経験で報告を控える
過去に叱責された経験から、コールを避けるようになる。「迷うなら待つ」を選びやすく、結果として急変の発見が遅れるリスクが高まる。
対策:迷ったら必ず先輩相談。「先輩判断ならコール」のルールを自分に課す。
バランスポイント|「悪化トレンドか・安定か」を軸にする
過剰/過小の両極を避ける軸は、「いまの数値」より「経時変化」を見ること。バイタルが正常範囲でも悪化トレンドなら早めの相談、異常値でも安定なら経過観察――この判断が両極端を避けます。

自分のクセが分かったら、対策をルール化する。過剰反応タイプは「コール前に先輩相談を1ステップ加える」過小反応タイプは「迷ったら必ず先輩に判断を仰ぐ」。これだけで、バランスは大幅に改善します。

6-3. 伝わるコールの相手目線テクニック 5つ

RSBAR構造を持っていても、医師の状況や心理を想像できていないと、伝わり方は変わります。相手目線の5テクニックを意識すると、医師の認知負荷が下がり、対応がスムーズになります。
テクニック 1
医師の状況を想像してから電話する
当直医は仮眠中・他患者対応中・処置中のいずれかであることが多い。電話を取った瞬間、医師は「いま自分は何をしていたか」を中断する切り替えが必要です。冒頭で患者特定+用件を圧縮することで、医師の切り替えコストを下げる――これが相手目線の第一歩。
テクニック 2
冒頭Rで「用件」を結論ファースト
「○○病棟の××さん、来ていただきたいです」と最初に言うと、医師は移動の準備を始めながら情報を聞ける。状況説明から始めると、医師は最後まで聞いてから「で、何が必要?」と返す必要があり、認知負荷が増えます。結論ファーストは医師への配慮
テクニック 3
数値+経時変化で客観性を持つ
「血圧が下がってきていて」より「30分前98→いま88」の方が、医師には判断材料として届きます。主観形容詞(結構・なんか・ちょっと)を、数値と時間軸に翻訳する習慣をつける。これだけで医師の信頼度が変わります。
テクニック 4
「○○先輩と相談した結果」で組織判断を共有
新人ひとりの判断ではなく、先輩・リーダーの目を経由したことを冒頭で添えると、コールの重みが伝わります。「○○先輩と相談した結果、医師に連絡しています」――この一言で、医師の警戒も和らぎ、判断もしやすくなる。Part 2の「現場のリアル」で扱った重要テクニックです。
テクニック 5
末尾Rで医師の次のアクションを提示
「来ていただけますか」「○○の指示をいただけますか」「現状の指示で経過観察でよいでしょうか」――医師が選びやすい選択肢を末尾Rで提示する。「どうしましょうか」と漠然と聞くより、こちらが選択肢を出した方が、医師の判断は速くなります。

6-4. シチュエーション別追加実践

Part 2・Part 3で扱えなかったシチュエーションを補足します。術後・転倒・家族対応の3場面は、コール判断と伝え方の両方に独特のコツが要ります。
シチュエーション 1
術後の急変|出血・感染・無気肺・肺塞栓
術後は急変パターンが概ね予測できます。術後24時間=出血、3〜5日=感染・無気肺・肺塞栓。コール時には「術後○日目」を冒頭に添えると、医師は鑑別の枠を立てやすい。
術後コールのコツ
1. 「術後○日目」を冒頭で明示
2. ドレーン排液(量・色・性状)を3点セットで報告
3. 創部所見・発赤・浸出液
4. 鎮痛薬投与状況(術後痛 vs 病的疼痛の鑑別)
5. 離床状況(肺塞栓リスク評価に重要)
シチュエーション 2
転倒|頭部打撲・抗凝固薬使用中の特殊性
転倒は「打撲した?していない?」だけで判断しない。抗凝固薬使用中の頭部打撲は、無症状でも遅発性頭蓋内出血のリスクがあるため、コール対象です。意識レベル・神経所見・痛みの部位・抗凝固薬の有無を先に確認する。
転倒コールのコツ
1. 発見時の状況(目撃 or 発見・床の状態)
2. 意識レベル(JCS/GCS)+受傷直後と現在の比較
3. 頭部打撲の有無・部位
4. 抗凝固薬・抗血小板薬の使用状況
5. 痛みの部位・腫脹・変形(骨折鑑別)
6. 受傷前のADL・認知症の有無
シチュエーション 3
家族が怒っている|医師にどう伝えるか
家族からの強いクレームや感情的な要求は、看護師ひとりで抱え込まず早めに医師へ共有します。「家族が怒っている」と感情を伝えるだけでは医師は動けない。何に怒っているか・何を求めているかを構造化して伝える。
家族対応コールのコツ
1. 何に怒っているか(治療内容・説明不足・対応の遅れなど)
2. 何を求めているか(医師面談・治療方針説明・記録の開示など)
3. 患者本人の状態への影響(治療拒否・離院希望など)
4. 看護師の対応経過(これまで何を伝えたか)
5. 緊急性(いま医師面談が必要 or 翌日でよい)
SBAR記事との関連:家族対応コールはSBAR記事の新人困りTOP5のうちTOP3として詳細を解説しています。本記事と併せて参照してください。

6-5. デブリーフィング1分版|コール後の振り返り

コールを終えた後、振り返りなしで次の業務に戻ると、学習が積み上がりません。1分でできるデブリーフィングを習慣にすると、コールスキルは確実に伸びます。長く悩む必要はなく、構造化して短時間で処理する。
問い 1
何が起きたか
事実を1〜2文で言語化。「○時、××さんの呼吸状態悪化で当直医にコール、来棟と酸素指示変更で改善」のように。
問い 2
何が良かったか
継続すべき点を1つ。「冒頭Rで用件を圧縮できた」「数値+経時変化で伝えた」など、具体的に。
問い 3
何を変えるか
改善点を1つだけ。「次回はBで関連既往をもっと絞る」など、一度に変えるのは1点に絞ると定着しやすい。
チームレベルのデブリーフィング
急変対応・コードブルーなど大きな対応の後は、関係スタッフでの短いデブリーフィングを行うと、組織学習が進みます。「誰も責めない」「事実と判断を分ける」「次回どう変えるか」をルールに、5〜10分で実施。

新人看護師が個人で抱え込みがちな振り返りを、チーム全体で共有することで、心理的負荷が分散し、学習も深まります。Part 1で扱った「組織責任の分散」と同じ思想で、コール後の振り返りも個人ではなく組織で行う視点が大事です。
PART 4 まとめ
伝わるコールは「構造×相手目線×振り返り」で育つ
叱責された時は感情と判断を分離し、振り返りは「タイミング」と「伝え方」の2点だけ。過剰/過小のクセを知り、悪化トレンドを軸にバランスを取る。相手目線5テクニック(医師の状況想像・結論ファースト・数値+経時変化・先輩判断の共有・選択肢提示)で医師の認知負荷を下げる。術後・転倒・家族対応の特殊性を押さえ、コール後は1分デブリーフィング(何が起きたか・良かった点・変えること)で学習を積み上げる。
Part 5では、FAQ・関連記事・著者・参考文献を扱います。新人看護師から多い質問に答え、SBAR記事・心電図モニター記事への内部リンクを整理し、本記事を完結させます。

7. よくある質問(FAQ)

新人看護師から多い質問7つに、診療看護師(NP)の立場から答えます。
Q1. ドクターコールはどのタイミングが正解ですか?
正解のタイミングは患者の状態と施設の運用で決まります。心停止・呼吸停止は階層スキップで即コール、敗血症悪化・出血・意識障害・呼吸不全は先輩・リーダーと共に判断して早めの医師連絡を検討。グレーゾーンは「即報告ライン超え/介入要/待ちで悪化」の3つの問いで整理。夜間は「朝まで待てるか」を加える。急変が疑われるときは迷わず報告が大原則です。
Q2. 「念のため」コールは過剰報告ですか?
急変が疑われるときの「念のため」は過剰報告ではありません。一方で「指示が既に入っている確認」「明日の予定確認」「自分が安心したいだけ」が中心の場合は、まず先輩相談で十分なケースが多いです。不要な確認コールが重なると現場の認知負荷が上がる側面はありますが、患者安全が最優先。迷うなら先輩相談を経由して整理してください。
Q3. 先輩から「医師に連絡しておいて」と言われたら、本当にコールしていいですか?
コールしてください。先輩判断を信頼してOKです。新人ひとりの判断ではなく先輩の経験値を経由したコールは、過剰報告にはなりにくい。コール時は冒頭のRで「○○先輩と相談した結果、医師に連絡しています」と一言添えると、先輩のバックアップが医師にも伝わり、報告の重みが整います。
Q4. RSBARが覚えられない時はどうしたらいいですか?
最初は冒頭R(用件)と末尾R(依頼)の2つだけ意識してください。これだけで医師の認知負荷は大幅に下がります。SとBは「直近バイタル+入院理由+治療歴」を3要素に圧縮、Aは「○○を心配しています」と一言。完璧なRSBARを目指すより、両端のRが言えることが最優先です。慣れてくるとSBAも自然に整理されてきます。
Q5. 夜間コールで医師の機嫌が悪い時はどう対応しますか?
医師の機嫌は判断材料に入れず、患者にとって必要な情報を整理して伝えます。当直医は仮眠中・他患者対応中・自身のストレスなど、医師側の事情が大きく影響します。冒頭Rで結論ファースト、数値+経時変化で客観的に、末尾Rで具体的依頼――この構造を守れば、結果的に対応のトーンも改善します。怒られた事実をすべて自分の責任に変換しないことも大事です。
Q6. ドクターコール後の記録には何を書けばいいですか?
5W1Hで「何時に・誰が・誰に・何を報告し・どんな指示を受け・実施結果はどうだったか」を簡潔に。RSBARで報告した内容と、医師から受けた指示・処置・経過観察の方針を残します。看護記録は法的記録としても重要なので、客観的事実(数値・時刻・経時変化)を中心に、主観形容詞は避けるのが原則です。
Q7. 経験を積めばドクターコールは怖くなくなりますか?
経験で怖さは減りますが、ゼロにはなりません。むしろ経験のある看護師ほど「過剰報告も過小報告もリスク」を理解しているため、慎重に判断します。怖さの正体を言語化する・判断軸を持つ・RSBARで伝える・振り返りで学習を積む――この4つが揃うと、怖さの輪郭はクリアになります。怖さは敵ではなく、判断を慎重にするためのシグナルでもあります。

8. 関連記事|併せて読みたい

9. RSBARを「動ける」にする|学習オプション

RSBARはシミュレーションで繰り返し使うことでしか本当には身につきません。急変対応.netでは、目的別に選べる4つの学習オプションを提供しています。
NCLSコース
RSBAR実技の最短ルート
・RSBARをシミュレーションで反復
・看護師特化シナリオ
・ABCDE・NEWS2も連動
・1,041人以上が受講
ACLS 1日コース
AHA公式プロバイダー認定
・BLS資格不要で受講可能
・1日完結で認定取得
・closed-loop通信訓練
・全国8地域で開催
NCLS-EP
急変の「予防」に特化
・心停止「前」の早期発見
・RSBAR+NEWS2+ABCDE
・NCLS修了者向け
エマナス™
急変対応のデジタル総合学習
・過去勉強会含む35時間超
勉強会への無料参加
・買い切り型
もっと急変対応を学びたい方へ
急変対応.netでは、新人看護師〜指導者まで目的別に厳選した43記事以上を「急変対応マニュアル」として整理しています。

10. 著者紹介

万波 大悟(MANAMI DAIGO)
急変対応.net 監修者
資格 1
診療看護師(NP)
資格 2
元 救急看護認定看護師
活動 1
AHA-ACLSファカルティ
(提携ITC: JSISH-ITC)
活動 2
日本救急看護学会 評議員
救急・急性期看護の現場経験を踏まえ、看護師の急変対応教育に従事。NCLSコースは累計1,041人以上が受講。AHA-ACLSプロバイダーコースのファカルティとして、医師・看護師・救急救命士向けに教育を継続。臨床と教育の両軸から、新人看護師が「現場で使える判断力」を身につけるためのコンテンツを発信しています。

11. 参考文献

1. Del Rios M, Bartos JA, Panchal AR, et al. Part 1: Executive Summary: 2025 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care. Circulation. 2025;152(16_suppl_2):S284-S312.
2. 日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本感染症学会. 日本版敗血症診療ガイドライン2024 (J-SSCG2024).
3. Evans L, Rhodes A, Alhazzani W, et al. Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2021. Crit Care Med. 2021;49(11):e1063-e1143.
4. Singer M, Deutschman CS, Seymour CW, et al. The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA. 2016;315(8):801-810.
5. Royal College of Physicians. National Early Warning Score 2 (NEWS2): Standardising the assessment of acute illness severity in the NHS. Updated 2017.
6. AHRQ. TeamSTEPPS Pocket Guide: Strategies & Tools to Enhance Performance and Patient Safety.
7. Leonard M, Graham S, Bonacum D. The human factor: the critical importance of effective teamwork and communication in providing safe care. Qual Saf Health Care. 2004;13(Suppl 1):i85-i90. (Kaiser Permanente発のSBAR理論的基礎)
8. Haig KM, Sutton S, Whittington J. SBAR: A shared mental model for improving communication between clinicians. Jt Comm J Qual Patient Saf. 2006;32(3):167-175.
9. Müller M, et al. Impact of the communication and patient hand-off tool SBAR on patient safety: a systematic review. BMJ Open. 2018;8(8):e022202.
10. WHO. Communication During Patient Hand-Overs: Patient Safety Solutions. 2007.
11. Hilligoss B, Cohen MD. The unappreciated challenges of between-unit handoffs: negotiating and coordinating across boundaries. Ann Emerg Med. 2013;61(2):155-160.
12. Devita MA, Bellomo R, Hillman K, et al. Findings of the First Consensus Conference on Medical Emergency Teams. Crit Care Med. 2006;34(9):2463-2478. (RRT/RRSの基礎)
13. Jones D, et al. Effectiveness of the Medical Emergency Team: the importance of dose. Crit Care. 2009;13(5):313.
14. Massey D, Aitken LM, Chaboyer W. The impact of a nurse led rapid response system on adverse, major adverse events and activation of the medical emergency team. Intensive Crit Care Nurs. 2015;31(2):83-90.
15. Odell M, Victor C, Oliver D. Nurses' role in detecting deterioration in ward patients: systematic literature review. J Adv Nurs. 2009;65(10):1992-2006.
16. Cioffi J. Nurses' experiences of making decisions to call emergency assistance to their patients. J Adv Nurs. 2000;32(1):108-114. (看護師の「なんか変」研究)
17. Schein RM, Hazday N, Pena M, et al. Clinical antecedents to in-hospital cardiopulmonary arrest. Chest. 1990;98(6):1388-1392. (急変前兆の古典的研究)
18. 日本医療機能評価機構. 医療安全情報.
19. 日本救急看護学会. 救急看護ガイドブック.
20. NCLS公式テキスト(コードブルー刊).
全PART 総まとめ
ドクターコールの怖さは「言語化×判断軸×構造×振り返り」で卒業できる
Part 1:怖さの根本原因(感情記憶・緊急度判断・構造の不在)を言語化し、3つのマインドセット(誰のため・いま必要か・誰の責任)で整理。基本フロー(先輩→リーダー→医師)と普段からの関係構築を土台にする。

Part 2:コール判断は3つの選択肢(医師コール・先輩相談・経過観察)から。早めの医師連絡を検討する6場面(心停止・呼吸停止・敗血症悪化・出血・意識障害・呼吸不全)、医師コール不要5パターン、3つの問い、夜間特殊性を押さえる。

Part 3:RSBAR(冒頭R→S→B→A→末尾R)で主観を客観に翻訳。3用件パターン(緊急・連絡・相談)と良い例/悪い例5組で実装力を上げる。

Part 4:振り返りは「タイミング」と「伝え方」の2点だけ。過剰/過小のクセを知り、相手目線5テクニックで医師の認知負荷を下げる。1分デブリーフィングで学習を積む。
新人看護師の「ドクターコールが怖い」を、構造で解体し、判断軸で整え、RSBARで伝え、振り返りで育てる。本記事が、現場のあなたの一歩目を支える保存版になれば幸いです。

-急変対応マニュアル, 新人看護師
-

Copyright© 急変対応.net , 2026 All Rights Reserved Powered by STINGER.