「あれ、いつもより反応が鈍い」——病棟で看護師が最初に違和感を覚える典型例が意識障害です。意識障害は脳の異常とは限りません。低酸素・低血圧・低血糖・高CO2など、全身評価の入口として捉えるのが鉄則です。
本記事では、GCS/JCSの評価方法・4大原因の見抜き方・AIUEOTIPSによる鑑別・SBARテンプレ・ピットフォールを看護師向けに保存版でまとめました。報告3段階(緊急コール/早期報告/相談)で温度感まで伝える形式で、新人看護師がそのまま使える実践型です。
本記事は、症状別 急変対応マニュアル(8症状ハブ記事)の意識障害セクションを深掘りした個別記事です。新人看護師のスマホに保存して、夜勤前の確認ツールとして活用してください。
30秒で分かる意識障害対応
🚨 緊急コール(数分単位):意識消失/瞳孔不同・対光反射消失/痙攣を伴う/意識障害を伴う低血糖/麻痺・構音障害(脳卒中疑い)
⚡ 早期報告(15-30分以内):GCS-2点以上低下/JCS悪化/普段と比べ明らかな反応低下(でも会話可能)
📋 相談・経過報告:「いつもよりぼーっとしている」程度/不眠後の集中低下/反応がやや鈍い傾向
共通の3ステップ:① 4大原因(低酸素・低血圧・低血糖+対象患者で高CO2)を最初にチェック / ② 血糖測定は必須(分単位で介入可能) / ③ 瞳孔チェック(脳ヘルニア兆候)
⚡ 早期報告(15-30分以内):GCS-2点以上低下/JCS悪化/普段と比べ明らかな反応低下(でも会話可能)
📋 相談・経過報告:「いつもよりぼーっとしている」程度/不眠後の集中低下/反応がやや鈍い傾向
共通の3ステップ:① 4大原因(低酸素・低血圧・低血糖+対象患者で高CO2)を最初にチェック / ② 血糖測定は必須(分単位で介入可能) / ③ 瞳孔チェック(脳ヘルニア兆候)
📍 本記事の位置づけ|急変対応 4ステップとの関係
本記事は、急変対応マニュアル|4ステップで読み解く保存版ガイド(察知→情報統合→判断・報告→介入)のSTEP 2(情報統合)+STEP 3(判断・報告)を意識障害に特化した個別記事です。
全体像と型を学びたい方はbasics記事を、症状を横断して判断軸を引きたい方は症状別ハブを、と使い分けてください。
全体像と型を学びたい方はbasics記事を、症状を横断して判断軸を引きたい方は症状別ハブを、と使い分けてください。
目次
Contents
1. 意識障害とは|看護師が最初に押さえるべきこと
意識障害とは、覚醒(arousal)または認知(awareness)のいずれかが障害された状態を指します。看護師の現場では「呼びかけに対する反応の低下」「普段と比べて明らかにぼんやりしている」「意識消失」など、幅広い表現で出会う症状です。
ここで看護師が押さえるべき最重要ポイントは、「意識障害=脳の異常」と決めつけないことです。実際には、低酸素・低血圧・低血糖といった全身性の異常が原因のことが多く、これらは分単位で介入できる治療可能な原因です。さらに、慢性高CO2血症リスク患者ではCO2貯留(CO2ナルコーシス)も重要な原因となります。
なぜ意識障害が看護師にとって最重要か
3つの理由
理由①:全身評価の入口になる
→ 意識障害は気道閉塞・呼吸停止・循環崩壊のいずれにも繋がる症状。早期発見が予後を左右します。
→ 意識障害は気道閉塞・呼吸停止・循環崩壊のいずれにも繋がる症状。早期発見が予後を左右します。
理由②:看護師が最も早く気づける
→ 「いつもと違う」を最初に察知できるのは、日常的に患者を見ている看護師だけ。家族・医師より先に気づけます。
→ 「いつもと違う」を最初に察知できるのは、日常的に患者を見ている看護師だけ。家族・医師より先に気づけます。
理由③:治療可能な原因が多い
→ 低血糖はブドウ糖投与、低血圧は輸液、低酸素は酸素投与で分単位で改善できる原因。早期発見=即介入に直結します。
→ 低血糖はブドウ糖投与、低血圧は輸液、低酸素は酸素投与で分単位で改善できる原因。早期発見=即介入に直結します。
看護師がよく混乱するポイント
意識障害の評価で新人看護師がつまずく代表的なポイントを先に共有します。
「眠そう」と「意識障害」の区別
疲れて眠そう?疾患による傾眠?
→ 呼びかけ・痛み刺激への反応で評価
→ 呼びかけ・痛み刺激への反応で評価
「ぼーっとしている」の意味
普段と比べて反応が鈍い?
→ 普段の様子との比較が決定打
→ 普段の様子との比較が決定打
GCSとJCSの違い
どちらを使えばいい?
→ 施設の標準に従う(後述)
→ 施設の標準に従う(後述)
血糖測定のタイミング
いつ測ればいい?
→ 意識障害なら必ず・先に測定
→ 意識障害なら必ず・先に測定
2. GCSとJCS|意識レベルの評価方法
意識レベルの評価にはGCS(Glasgow Coma Scale)とJCS(Japan Coma Scale)があります。施設・診療科によってどちらを使うかが異なるため、所属施設の標準を確認してください。
GCS|3項目の合計15点満点
GCSは世界標準の意識評価スケールで、開眼(E:Eye)・発語(V:Verbal)・運動(M:Motor)の3項目を合計します。満点15点・最低3点。
E:Eye(開眼)|4点満点
E4:自発的に開眼
E3:呼びかけで開眼
E2:痛み刺激で開眼
E1:開眼しない
E3:呼びかけで開眼
E2:痛み刺激で開眼
E1:開眼しない
V:Verbal(発語)|5点満点
V5:見当識あり(年月日・場所)
V4:会話混乱(会話可能だが不正確)
V3:単語のみ
V2:理解不能な発声
V1:発語なし
V4:会話混乱(会話可能だが不正確)
V3:単語のみ
V2:理解不能な発声
V1:発語なし
M:Motor(運動)|6点満点
M6:命令に従う
M5:痛み刺激の部位を払いのける
M4:痛み刺激から逃避
M3:異常屈曲(除皮質硬直)
M2:異常伸展(除脳硬直)
M1:反応なし
M5:痛み刺激の部位を払いのける
M4:痛み刺激から逃避
M3:異常屈曲(除皮質硬直)
M2:異常伸展(除脳硬直)
M1:反応なし
⚠️ GCS評価で重要な点
GCS-2点以上低下は重要な悪化のサインです。「E3V4M6=13」が「E2V3M5=10」になれば、3点低下=要注意。合計点だけでなく、E/V/Mの内訳もカルテ記載するのが原則です。
また、挿管中の場合はVが評価できないため「VT(VtubeまたはVT)」と記載します(例:E2VTM5)。
また、挿管中の場合はVが評価できないため「VT(VtubeまたはVT)」と記載します(例:E2VTM5)。
JCS|国内で広く使われる3-3-9度方式
JCSは日本独自の意識評価で、覚醒度を3階層×3段階の9段階で評価します。数字が大きいほど重症(GCSと逆)。脳卒中診療では国内標準として広く使われます。
JCS 3-3-9度方式
I群(意識清明とは言えない):刺激なしで覚醒
・JCS-1:見当識障害(時・場所・人)
・JCS-2:見当識あるが反応がやや遅い
・JCS-3:自分の名前・生年月日が言えない
II群(刺激で覚醒する状態):刺激を止めると眠る
・JCS-10:呼びかけで容易に開眼
・JCS-20:大声・体動で開眼
・JCS-30:痛み刺激で辛うじて開眼
III群(刺激しても覚醒しない状態):深昏睡
・JCS-100:痛み刺激に払いのける動作
・JCS-200:痛み刺激で手足を動かす・顔をしかめる
・JCS-300:痛み刺激に反応なし
・JCS-1:見当識障害(時・場所・人)
・JCS-2:見当識あるが反応がやや遅い
・JCS-3:自分の名前・生年月日が言えない
II群(刺激で覚醒する状態):刺激を止めると眠る
・JCS-10:呼びかけで容易に開眼
・JCS-20:大声・体動で開眼
・JCS-30:痛み刺激で辛うじて開眼
III群(刺激しても覚醒しない状態):深昏睡
・JCS-100:痛み刺激に払いのける動作
・JCS-200:痛み刺激で手足を動かす・顔をしかめる
・JCS-300:痛み刺激に反応なし
補足:R(不穏)・I(失禁)・A(無動)
JCSには付加情報としてR(restlessness:不穏)・I(incontinence:失禁)・A(akinetic mutism:無動性無言)を併記します(例:JCS-20-R)。
⚠️ 結論|何点下がったら報告すべき?
GCS:2点以上低下は早期報告を検討(例:E4V5M6=15 → E3V4M6=13)
JCS:I群→II群への移行は悪化サイン(覚醒維持→刺激で覚醒に変化したら要注意)
急変:GCS急激低下/JCS-100以上/瞳孔不同/痙攣を伴う場合は緊急コール
※ 数値が変わらなくても「普段と比べ明らかな反応低下」があれば、相談・経過報告レベルで動き出す。
JCS:I群→II群への移行は悪化サイン(覚醒維持→刺激で覚醒に変化したら要注意)
急変:GCS急激低下/JCS-100以上/瞳孔不同/痙攣を伴う場合は緊急コール
※ 数値が変わらなくても「普段と比べ明らかな反応低下」があれば、相談・経過報告レベルで動き出す。
数字に出ない変化|「普段と比べ明らかな反応低下」
GCSやJCSの数字が変わらなくても、普段と比べて反応が鈍い・会話が噛み合わないような変化があれば、それは看護師の重要な気づきです。
「いつもと違う」の言語化例
□ 朝の挨拶への反応が遅い
□ 内服を促しても無反応
□ 排泄の訴えが普段より少ない
□ 会話が噛み合わない・同じことを繰り返す
□ 視線が合いにくい
□ 表情が乏しい
□ 食事摂取に時間がかかる(嚥下と認知の両面)
□ 内服を促しても無反応
□ 排泄の訴えが普段より少ない
□ 会話が噛み合わない・同じことを繰り返す
□ 視線が合いにくい
□ 表情が乏しい
□ 食事摂取に時間がかかる(嚥下と認知の両面)
これらは「GCSは変わらないが、何かが違う」状態です。看護師の直感は研究上も意味があり(Cioffi 2000など)、観察強化+早期報告検討の対象になります。
3. 報告3段階の判断軸|温度感で伝える
看護師が困るのは「報告するかどうか」ではなく、どの温度感で報告するかです。意識障害でも、3段階に分けて温度感を伝えるのがコツです。
🚨 緊急コール(数分単位)|「今すぐ来てください」
□ 意識消失・呼吸停止(脈触知不良含む)
□ 新規の意識消失(原因不明)
□ 瞳孔不同・対光反射消失(脳ヘルニア兆候)
□ 痙攣を伴う意識障害(てんかん重積)
□ 意識障害を伴う低血糖(BS低値+反応低下・治療可能・即介入)
□ 麻痺・構音障害を伴う(脳卒中疑い)
□ 抗凝固薬使用中の急激な意識障害(脳出血を強く疑う)
□ 新規の意識消失(原因不明)
□ 瞳孔不同・対光反射消失(脳ヘルニア兆候)
□ 痙攣を伴う意識障害(てんかん重積)
□ 意識障害を伴う低血糖(BS低値+反応低下・治療可能・即介入)
□ 麻痺・構音障害を伴う(脳卒中疑い)
□ 抗凝固薬使用中の急激な意識障害(脳出血を強く疑う)
⚡ 早期報告(15-30分以内)|「早めに診てください」
□ GCS-2点以上低下(でも会話可能)
□ JCS悪化(I群→II群、II群内での悪化など)
□ 普段と比べ明らかな反応低下(でも開眼・会話可能)
□ 軽度傾眠(呼びかけで容易に覚醒するが普段より眠そう)
□ 新規の見当識障害(時間・場所・人)
□ 持続する眠気・倦怠感(NEWS2上昇を伴う)
□ JCS悪化(I群→II群、II群内での悪化など)
□ 普段と比べ明らかな反応低下(でも開眼・会話可能)
□ 軽度傾眠(呼びかけで容易に覚醒するが普段より眠そう)
□ 新規の見当識障害(時間・場所・人)
□ 持続する眠気・倦怠感(NEWS2上昇を伴う)
📋 相談・経過報告|「相談・共有です」
□ 「いつもよりぼーっとしている」程度
□ 不眠後の集中低下(夜眠れていなかった)
□ 睡眠中の覚醒不良(深い眠りで起こしにくい)
□ バイタル安定だが反応がやや鈍い傾向
□ 食事摂取に時間がかかる(認知・嚥下の両面で)
□ 表情が乏しい・視線が合いにくい(数値正常だが)
□ 不眠後の集中低下(夜眠れていなかった)
□ 睡眠中の覚醒不良(深い眠りで起こしにくい)
□ バイタル安定だが反応がやや鈍い傾向
□ 食事摂取に時間がかかる(認知・嚥下の両面で)
□ 表情が乏しい・視線が合いにくい(数値正常だが)
⚠️ 重要|相談レベルで終わらせない
高齢者ではせん妄初期・敗血症初期・CO2ナルコーシス初期・脳梗塞初期がこの段階の所見で隠れていることがあります。持続する場合・進行する場合は「⚡ 早期報告」へ移行を検討してください。バイタルトレンド・尿量・血糖・体温の変化を1-2時間ごとに観察し、悪化傾向があれば再評価+先輩相談+医師報告に切り替えます。
高齢者ではせん妄初期・敗血症初期・CO2ナルコーシス初期・脳梗塞初期がこの段階の所見で隠れていることがあります。持続する場合・進行する場合は「⚡ 早期報告」へ移行を検討してください。バイタルトレンド・尿量・血糖・体温の変化を1-2時間ごとに観察し、悪化傾向があれば再評価+先輩相談+医師報告に切り替えます。
どの段階でも共通すること
新人ひとりの判断ではなく先輩・リーダーと評価を共有してから動くのが基本。報告では冒頭Rで温度感(緊急コール/早期報告/相談)を伝え、根拠(NEWS2・血糖値など)を簡潔に添えるのがコツです。「リーダーと評価して連絡しています」「○○のため早めに診ていただきたく」など、自分にとって自然な表現で構いません。
また、意識障害は時間との戦いです。「夜中だから」「明日でも」と判断を遅らせるのは避けたいところ。急変が疑われるときは迷わず報告してください。
また、意識障害は時間との戦いです。「夜中だから」「明日でも」と判断を遅らせるのは避けたいところ。急変が疑われるときは迷わず報告してください。
4. 4大原因(低酸素・低血圧・低血糖+対象患者で高CO2)
意識障害の原因は多岐にわたりますが、看護師として最初に潰すべき「治療可能な原因」があります。低酸素・低血圧・低血糖は病棟全体で頻度高く、分単位で介入できる共通原因です。高CO2(CO2ナルコーシス)は慢性高CO2血症リスク患者(COPD・肥満低換気・神経筋疾患など)で特に重要な原因となります。
4大原因|看護師が最初にチェックすべき
① 低酸素
SpO2低下・チアノーゼ → 即酸素投与+原因評価(肺塞栓・気胸・無気肺・心不全)
看護師チェック:SpO2・呼吸様式・チアノーゼ
看護師チェック:SpO2・呼吸様式・チアノーゼ
② 低血圧
脳灌流低下による意識障害 → SBP90未満+灌流不全徴候(冷汗・末梢冷感・尿量低下)ならショック評価
看護師チェック:血圧・脈拍・末梢冷感
看護師チェック:血圧・脈拍・末梢冷感
③ 低血糖
BS低値+意識障害=分単位で介入可能。糖尿病既往・インスリン使用中・絶食中・腎機能低下は要注意。BS<70の数値+意識・反応の変化をセットで評価
看護師チェック:血糖測定(必ず!)
看護師チェック:血糖測定(必ず!)
④ 高CO2(対象患者で重要)
慢性高CO2血症リスク患者(COPD・肥満低換気・神経筋疾患など)でCO2ナルコーシスを疑う。一般病棟全体での頻度は限定的
看護師チェック:酸素流量・呼吸様式・既往
看護師チェック:酸素流量・呼吸様式・既往
看護師の評価フロー|4大原因を最初に潰す
意識障害を発見
↓
STEP 1:SpO2測定 → 低酸素を除外(SpO2 90%未満ならまず酸素投与)
↓
STEP 2:血圧測定 → 低血圧を除外(SBP90未満なら灌流不全徴候を確認)
↓
STEP 3:血糖測定 → 低血糖を除外(BS<70+意識障害があれば50%ブドウ糖20-40mL IV指示の確認・実施)
↓
STEP 4:既往・酸素流量チェック → 高CO2リスクを評価(COPD・肥満低換気など)
↓
4大原因を除外できなければ、脳卒中・脳症・薬剤性・代謝異常などへ評価を広げる
↓
STEP 1:SpO2測定 → 低酸素を除外(SpO2 90%未満ならまず酸素投与)
↓
STEP 2:血圧測定 → 低血圧を除外(SBP90未満なら灌流不全徴候を確認)
↓
STEP 3:血糖測定 → 低血糖を除外(BS<70+意識障害があれば50%ブドウ糖20-40mL IV指示の確認・実施)
↓
STEP 4:既往・酸素流量チェック → 高CO2リスクを評価(COPD・肥満低換気など)
↓
4大原因を除外できなければ、脳卒中・脳症・薬剤性・代謝異常などへ評価を広げる
⚠️ 教育的に最重要|血糖測定の意味
意識障害患者で血糖未測定は、胸痛患者で心電図を取らないのに近い。
意識障害があったとき、血糖測定は数十秒で結果が出ます。低血糖が原因であれば、50%ブドウ糖20-40mL(=ブドウ糖10-20g)IVで多くの場合5-10分以内に意識が回復します。特に糖尿病・インスリン使用中・絶食中・腎機能低下患者では低血糖リスクが高いため、必ず測定してください。
低血糖は分単位で介入可能な治療可能原因です。施設の包括指示・事前指示・特定行為の範囲内で対応しつつ、並行して医師へ報告します。
SBAR冒頭で「低血糖です」と最初に伝えるのが効果的です。
低血糖は分単位で介入可能な治療可能原因です。施設の包括指示・事前指示・特定行為の範囲内で対応しつつ、並行して医師へ報告します。
SBAR冒頭で「低血糖です」と最初に伝えるのが効果的です。
5. AIUEOTIPSで鑑別を整理する
AIUEOTIPS(アイウエオチップス)は意識障害の鑑別を網羅的に整理する語呂合わせです。看護師がすべての鑑別を覚える必要はありませんが、「こんなに原因があるんだ」と全体像を知っておくと、医師への報告で抜けが減ります。
AIUEOTIPS|意識障害の鑑別フレームワーク
A:Alcohol(アルコール)
I:Insulin(低血糖)・Infection(感染症・髄膜炎)
U:Uremia(尿毒症)
E:Endocrine(内分泌:甲状腺・副腎)・Electrolyte(電解質異常)・Encephalopathy(脳症)
O:Opiate(麻薬)・Overdose(中毒)・Oxygen(低酸素・高CO2)
T:Trauma(外傷:頭部打撲)・Temperature(体温異常)
I:Infection(感染症・敗血症)
P:Psychiatric(精神疾患)・Porphyria
S:Stroke(脳卒中)・Seizure(痙攣)・Shock(ショック)・Syncope(失神)
I:Insulin(低血糖)・Infection(感染症・髄膜炎)
U:Uremia(尿毒症)
E:Endocrine(内分泌:甲状腺・副腎)・Electrolyte(電解質異常)・Encephalopathy(脳症)
O:Opiate(麻薬)・Overdose(中毒)・Oxygen(低酸素・高CO2)
T:Trauma(外傷:頭部打撲)・Temperature(体温異常)
I:Infection(感染症・敗血症)
P:Psychiatric(精神疾患)・Porphyria
S:Stroke(脳卒中)・Seizure(痙攣)・Shock(ショック)・Syncope(失神)
看護師として優先すべき鑑別TOP6
AIUEOTIPSの中でも、頻度・治療緊急性・看護師がベッドサイドで気づける可能性から、特に重要な6つを抜き出すとこうなります。
① 低血糖
糖尿病・インスリン・絶食 → 必ず血糖測定。BS低値+意識・反応の変化で緊急
② 脳卒中(脳出血/脳梗塞)
抗凝固薬+意識障害は脳出血を強く疑う・麻痺・構音障害
③ 敗血症/感染症
発熱+意識変容・NEWS2上昇・qSOFA補助評価
④ CO2ナルコーシス
COPD・肥満低換気・酸素過剰投与に注意
⑤ 薬剤性
睡眠薬・麻薬・抗精神病薬・腎機能低下時の蓄積
⑥ 痙攣後・てんかん重積
5分以上持続・意識回復が悪い・反復は緊急
6. ABCDE評価のポイント|意識障害特化
意識障害でも基本はABCDEアプローチ。ただし、意識障害特有の注意点を押さえておくと、評価の質が上がります。
A:Airway(気道)
意識低下→舌根沈下・誤嚥リスク。気道確保(下顎挙上・側臥位)、口腔内分泌物の吸引も検討。
B:Breathing(呼吸)
呼吸回数・SpO2・呼吸様式。SpO2測定不能+意識低下は要注意。COPD・肥満低換気など慢性高CO2血症リスク患者ではCO2貯留(CO2ナルコーシス)も考慮。
C:Circulation(循環)
血圧・脈拍・末梢冷感。SBP90未満+灌流不全徴候は脳灌流低下による意識障害を疑う。橈骨動脈の触知強度・尿量も重要。
D:Disability(意識・神経)
GCS・JCS・瞳孔(対光反射・大きさ・左右差)・麻痺・血糖測定(必須)・既往(糖尿病・てんかん・脳卒中)。痙攣の有無も確認。
E:Exposure(体表・体温)
体温(発熱・低体温)・外傷(転倒・頭部打撲)・服薬内容(睡眠薬・抗凝固薬・抗精神病薬)・薬疹。
意識低下→舌根沈下・誤嚥リスク。気道確保(下顎挙上・側臥位)、口腔内分泌物の吸引も検討。
B:Breathing(呼吸)
呼吸回数・SpO2・呼吸様式。SpO2測定不能+意識低下は要注意。COPD・肥満低換気など慢性高CO2血症リスク患者ではCO2貯留(CO2ナルコーシス)も考慮。
C:Circulation(循環)
血圧・脈拍・末梢冷感。SBP90未満+灌流不全徴候は脳灌流低下による意識障害を疑う。橈骨動脈の触知強度・尿量も重要。
D:Disability(意識・神経)
GCS・JCS・瞳孔(対光反射・大きさ・左右差)・麻痺・血糖測定(必須)・既往(糖尿病・てんかん・脳卒中)。痙攣の有無も確認。
E:Exposure(体表・体温)
体温(発熱・低体温)・外傷(転倒・頭部打撲)・服薬内容(睡眠薬・抗凝固薬・抗精神病薬)・薬疹。
瞳孔チェック|脳ヘルニア兆候を見逃さない
瞳孔不同・対光反射消失は脳ヘルニア兆候であり、緊急コール対象です。両眼で以下をチェックしてください。
瞳孔径
正常2-4mm
散瞳・縮瞳・左右差
散瞳・縮瞳・左右差
対光反射
迅速(直接・間接)
消失=重大
消失=重大
瞳孔不同
脳ヘルニア兆候
緊急コール対象
緊急コール対象
7. SBARテンプレ|報告3段階の文例
報告3段階それぞれのRSBARテンプレ例を示します。冒頭Rで温度感を伝えるのがコツです。
🚨 緊急コール型|低血糖による意識障害
📞 緊急コール型(低血糖疑い)
R(用件)「至急来てください、◯号室の◯◯さん、低血糖です(血糖48)。意識レベル低下しています」
S(状況)「30分前まで会話可能でしたが、現在GCS E2V2M4=8、呼びかけに反応しません。血糖48mg/dLです」
B(背景)「70歳、糖尿病・脳梗塞既往。インスリン使用中、午前中の食事摂取不良でした」
A(評価)「低血糖が原因と判断します。バイタルは血圧100/60、脈80、SpO2 95%、呼吸18回/分です」
R(依頼)「包括的指示で50%ブドウ糖20-40mL IVを実施してよいか、または至急来ていただけるか確認させてください」
S(状況)「30分前まで会話可能でしたが、現在GCS E2V2M4=8、呼びかけに反応しません。血糖48mg/dLです」
B(背景)「70歳、糖尿病・脳梗塞既往。インスリン使用中、午前中の食事摂取不良でした」
A(評価)「低血糖が原因と判断します。バイタルは血圧100/60、脈80、SpO2 95%、呼吸18回/分です」
R(依頼)「包括的指示で50%ブドウ糖20-40mL IVを実施してよいか、または至急来ていただけるか確認させてください」
💡 現場のリアル|低血糖はSBARの冒頭で最初に伝える
低血糖は分単位で介入可能な治療可能原因です。施設の包括指示・事前指示・特定行為の範囲内で対応しつつ、並行して医師へ報告します。
SBAR冒頭のRで「低血糖です」と最初に伝えると、医師が即座に状況を把握でき、判断が早まります。
低血糖は分単位で介入可能な治療可能原因です。施設の包括指示・事前指示・特定行為の範囲内で対応しつつ、並行して医師へ報告します。
SBAR冒頭のRで「低血糖です」と最初に伝えると、医師が即座に状況を把握でき、判断が早まります。
⚡ 早期報告型|GCS-2点低下
📞 早期報告型(GCS-2点低下)
R(用件)「早めに診ていただけますか、◯号室の◯◯さん、GCSが2点低下しています」
S(状況)「2時間前GCS E4V5M6=15でしたが、現在E3V4M6=13。会話は可能ですが、見当識がやや曖昧です」
B(背景)「75歳女性、肺炎で抗菌薬投与中3日目。本日は食事摂取が普段の半分でした」
A(評価)「血糖102、SpO2 94%、血圧118/72、体温38.2℃、NEWS2は5点。感染による全身状態悪化または脱水を疑います」
R(依頼)「リーダーと評価した上で連絡しています。早めに来ていただいて評価をお願いします」
S(状況)「2時間前GCS E4V5M6=15でしたが、現在E3V4M6=13。会話は可能ですが、見当識がやや曖昧です」
B(背景)「75歳女性、肺炎で抗菌薬投与中3日目。本日は食事摂取が普段の半分でした」
A(評価)「血糖102、SpO2 94%、血圧118/72、体温38.2℃、NEWS2は5点。感染による全身状態悪化または脱水を疑います」
R(依頼)「リーダーと評価した上で連絡しています。早めに来ていただいて評価をお願いします」
📋 相談・経過報告型|「いつもより反応が鈍い」
📞 相談・経過報告型(「なんか変」)
R(用件)「相談・共有です、◯号室の◯◯さん、GCSは15で変化ないのですが、いつもより反応が鈍い印象があります」
S(状況)「朝の挨拶への反応が遅く、内服を促しても反応が鈍い。会話は可能ですが、表情が乏しく視線が合いにくいです」
B(背景)「80歳男性、心不全で入院中。昨日から食欲低下傾向、夜間も眠りが浅かったようです」
A(評価)「バイタル安定、血糖98、SpO2 96%、NEWS2は2点。数値上は問題ありませんが、『いつもと違う』感があります」
R(依頼)「観察を強化していますが、このまま様子を見るか、何か追加すべきか相談させてください」
S(状況)「朝の挨拶への反応が遅く、内服を促しても反応が鈍い。会話は可能ですが、表情が乏しく視線が合いにくいです」
B(背景)「80歳男性、心不全で入院中。昨日から食欲低下傾向、夜間も眠りが浅かったようです」
A(評価)「バイタル安定、血糖98、SpO2 96%、NEWS2は2点。数値上は問題ありませんが、『いつもと違う』感があります」
R(依頼)「観察を強化していますが、このまま様子を見るか、何か追加すべきか相談させてください」
8. ピットフォール|看護師がはまる罠
意識障害の評価で看護師がはまりやすい7つの罠を共有します。これを知っておくだけで、判断ミスを大幅に減らせます。
❌ 罠①:「眠そう」で済ませる
GCS低下を「眠気」と誤認すると致命的。呼びかけ・痛み刺激での反応を必ず評価し、普段との比較を意識する。
❌ 罠②:血糖測定を忘れる
低血糖は分単位で介入できる原因。意識障害なら必ず血糖チェックが反射的にできるように。
❌ 罠③:瞳孔チェックを省く
瞳孔不同・対光反射消失は脳ヘルニア兆候。両眼で瞳孔径・対光反射を確認する習慣を。
❌ 罠④:既往と内服を確認しない
抗凝固薬+意識障害は脳出血を強く疑う。背景情報がアセスメントを変えることを忘れない。
❌ 罠⑤:「夜中だから」と起こさない
意識障害は時間との戦い。先輩判断+早めの医師連絡を検討する。
❌ 罠⑥:GCSの数字だけで判断
GCSが変わらなくても、「普段と比べ明らかな反応低下」は重要なサイン。看護師の直感も判断材料に。
❌ 罠⑦:「ぼーっとしているだけ」と片づける
高齢者・夜間・術後はせん妄初期・敗血症初期・CO2ナルコーシス初期・脳梗塞初期が隠れていることがあります。「相談レベル」で観察開始しても、持続・進行する場合は「⚡ 早期報告」へ移行。原因(感染・電解質・薬剤・脱水・低酸素)を必ず評価する。
❌ 罠⑧:低血糖回復後に「もう大丈夫」と気を抜く
50%ブドウ糖IV後は意識回復しても低血糖が再発しやすい(特に長時間作用型インスリンやSU薬使用中)。経口糖質補充・血糖再測定・原因評価(食事摂取・薬剤量・腎機能)まで一連でフォローする。「ブドウ糖入れて終わり」ではない。
GCS低下を「眠気」と誤認すると致命的。呼びかけ・痛み刺激での反応を必ず評価し、普段との比較を意識する。
❌ 罠②:血糖測定を忘れる
低血糖は分単位で介入できる原因。意識障害なら必ず血糖チェックが反射的にできるように。
❌ 罠③:瞳孔チェックを省く
瞳孔不同・対光反射消失は脳ヘルニア兆候。両眼で瞳孔径・対光反射を確認する習慣を。
❌ 罠④:既往と内服を確認しない
抗凝固薬+意識障害は脳出血を強く疑う。背景情報がアセスメントを変えることを忘れない。
❌ 罠⑤:「夜中だから」と起こさない
意識障害は時間との戦い。先輩判断+早めの医師連絡を検討する。
❌ 罠⑥:GCSの数字だけで判断
GCSが変わらなくても、「普段と比べ明らかな反応低下」は重要なサイン。看護師の直感も判断材料に。
❌ 罠⑦:「ぼーっとしているだけ」と片づける
高齢者・夜間・術後はせん妄初期・敗血症初期・CO2ナルコーシス初期・脳梗塞初期が隠れていることがあります。「相談レベル」で観察開始しても、持続・進行する場合は「⚡ 早期報告」へ移行。原因(感染・電解質・薬剤・脱水・低酸素)を必ず評価する。
❌ 罠⑧:低血糖回復後に「もう大丈夫」と気を抜く
50%ブドウ糖IV後は意識回復しても低血糖が再発しやすい(特に長時間作用型インスリンやSU薬使用中)。経口糖質補充・血糖再測定・原因評価(食事摂取・薬剤量・腎機能)まで一連でフォローする。「ブドウ糖入れて終わり」ではない。
9. 症例パターン|3例で学ぶ
実際の臨床でよく出会う3つの症例パターンを紹介します。それぞれの気づきのポイント・評価・対応を学ぶことで、次回類似の場面に出会ったときに動けます。
症例1|食事摂取不良後の意識消失(低血糖)
患者背景:72歳女性、2型糖尿病(インスリン強化療法)、心不全で入院中。本日朝食を半分しか食べられなかった。
気づき:午前11時の検温時、声をかけても反応が鈍い。GCS E2V3M5=10。普段はE4V5M6=15。
評価:血圧112/68、脈82、SpO2 96%、呼吸16回。血糖測定 → 42mg/dL(低血糖)。
対応:院内の包括的指示(低血糖時の50%ブドウ糖IV)に従い、先輩看護師と共に50%ブドウ糖20mL(ブドウ糖10g)IVを即実施。並行して医師に緊急報告(「至急来てください」):「低血糖です。血糖42、50%ブドウ糖20mL IVしました」と冒頭で核心情報を伝達 → 5分後にGCS E4V5M6=15に回復 → 食事摂取・原因評価へ。
学びのポイント:食事摂取不良+インスリン使用中は低血糖リスク高。意識障害なら必ず血糖測定を最優先。低血糖時のブドウ糖IV指示が出ていれば、院内ルールに従って看護師判断で先行投与+並行して医師報告が現場のリアル。「指示を待つだけ」ではなく「動きながら報告する」流れを身につける。RSBARの3用件パターンでは「緊急報告」に該当します。
気づき:午前11時の検温時、声をかけても反応が鈍い。GCS E2V3M5=10。普段はE4V5M6=15。
評価:血圧112/68、脈82、SpO2 96%、呼吸16回。血糖測定 → 42mg/dL(低血糖)。
対応:院内の包括的指示(低血糖時の50%ブドウ糖IV)に従い、先輩看護師と共に50%ブドウ糖20mL(ブドウ糖10g)IVを即実施。並行して医師に緊急報告(「至急来てください」):「低血糖です。血糖42、50%ブドウ糖20mL IVしました」と冒頭で核心情報を伝達 → 5分後にGCS E4V5M6=15に回復 → 食事摂取・原因評価へ。
学びのポイント:食事摂取不良+インスリン使用中は低血糖リスク高。意識障害なら必ず血糖測定を最優先。低血糖時のブドウ糖IV指示が出ていれば、院内ルールに従って看護師判断で先行投与+並行して医師報告が現場のリアル。「指示を待つだけ」ではなく「動きながら報告する」流れを身につける。RSBARの3用件パターンでは「緊急報告」に該当します。
症例2|抗凝固薬使用中の急激な意識障害(脳出血)
患者背景:78歳男性、心房細動でワーファリン服用中。本日朝から頭痛訴えあり、夕方に意識消失。
気づき:18時の巡視時、ベッド上で呼吸はあるが反応なし。GCS E1V2M4=7。左半身に麻痺あり、瞳孔は右3mm/左5mmで不同。
評価:血圧188/108、脈68、SpO2 94%、呼吸20回、体温36.8℃、血糖105mg/dL。頭痛先行+抗凝固薬使用中+麻痺+瞳孔不同 → 脳出血を強く疑う。
対応:即医師に緊急報告(「至急来てください」):「意識消失と瞳孔不同です。脳出血を強く疑います」と冒頭で核心情報を伝達 → 頭部CT緊急実施 → 大量脳出血+脳ヘルニア兆候 → 緊急手術へ。
学びのポイント:抗凝固薬+頭痛先行+新規意識障害は脳出血を疑う。瞳孔不同は脳ヘルニア兆候=緊急。RSBARの3用件パターンでは「緊急報告」に該当。冒頭Rで温度感+核心所見を即伝えることで医師の判断・対応が早まる。
気づき:18時の巡視時、ベッド上で呼吸はあるが反応なし。GCS E1V2M4=7。左半身に麻痺あり、瞳孔は右3mm/左5mmで不同。
評価:血圧188/108、脈68、SpO2 94%、呼吸20回、体温36.8℃、血糖105mg/dL。頭痛先行+抗凝固薬使用中+麻痺+瞳孔不同 → 脳出血を強く疑う。
対応:即医師に緊急報告(「至急来てください」):「意識消失と瞳孔不同です。脳出血を強く疑います」と冒頭で核心情報を伝達 → 頭部CT緊急実施 → 大量脳出血+脳ヘルニア兆候 → 緊急手術へ。
学びのポイント:抗凝固薬+頭痛先行+新規意識障害は脳出血を疑う。瞳孔不同は脳ヘルニア兆候=緊急。RSBARの3用件パターンでは「緊急報告」に該当。冒頭Rで温度感+核心所見を即伝えることで医師の判断・対応が早まる。
症例3|「いつもと違う」気づきから敗血症発見
患者背景:85歳男性、尿路感染で抗菌薬投与中3日目。本日は朝の挨拶への反応が遅く、表情が乏しい印象。
気づき:GCS E4V5M6=15で「数字上は変化なし」。しかし、普段の元気さがなく、視線が合いにくい・食事摂取に時間がかかる。
評価:血圧98/58(普段130/80)、脈108、SpO2 95%、呼吸24回、体温38.5℃、血糖98、NEWS2合計7点。
対応(温度感の段階的アップ):
STEP1:📋 相談・経過報告「数値は安定していますが、いつもと違う感があります」→ 先輩看護師と一緒に評価 → 「感染治療中なのに循環・呼吸・意識・尿量が悪化」していると判断
STEP2:🚨 緊急報告「NEWS2が7点まで上昇しました。敗血症の悪化を疑います」と冒頭で核心情報を医師へ伝達 → 敗血症性ショックの診断 → 輸液負荷+抗菌薬調整。
学びのポイント:「いつもと違う」感は重要なサイン。GCSが正常でもNEWS2上昇+「なんか変」があれば敗血症を疑う。RSBARの3用件パターンでは「相談→緊急報告」へと温度感が段階的にアップした好例。最初は「相談・経過報告」レベルでも、評価で悪化が確定したら「緊急報告」へ即移行する判断が患者を救う。
気づき:GCS E4V5M6=15で「数字上は変化なし」。しかし、普段の元気さがなく、視線が合いにくい・食事摂取に時間がかかる。
評価:血圧98/58(普段130/80)、脈108、SpO2 95%、呼吸24回、体温38.5℃、血糖98、NEWS2合計7点。
対応(温度感の段階的アップ):
STEP1:📋 相談・経過報告「数値は安定していますが、いつもと違う感があります」→ 先輩看護師と一緒に評価 → 「感染治療中なのに循環・呼吸・意識・尿量が悪化」していると判断
STEP2:🚨 緊急報告「NEWS2が7点まで上昇しました。敗血症の悪化を疑います」と冒頭で核心情報を医師へ伝達 → 敗血症性ショックの診断 → 輸液負荷+抗菌薬調整。
学びのポイント:「いつもと違う」感は重要なサイン。GCSが正常でもNEWS2上昇+「なんか変」があれば敗血症を疑う。RSBARの3用件パターンでは「相談→緊急報告」へと温度感が段階的にアップした好例。最初は「相談・経過報告」レベルでも、評価で悪化が確定したら「緊急報告」へ即移行する判断が患者を救う。
よくある質問(FAQ)
Q1. 意識障害でまず確認すべきことは何ですか?
低酸素・低血圧・低血糖・高CO2の4大原因を最初にチェックします。特に血糖測定は分単位で介入できる原因なので必ず測定してください。COPDなど慢性高CO2血症リスク患者ではCO2貯留(CO2ナルコーシス)にも注意。GCS-2点以上低下、JCS悪化、または普段と比べ明らかな反応低下があれば至急報告を検討します。
Q2. GCSとJCSはどちらを使えばいいですか?
施設・診療科の標準に従ってください。一般的に救急・集中治療領域ではGCS、脳卒中診療など国内ではJCSが広く使われます。両方使える施設もあり、その場合はGCSが世界標準である一方、JCSは日本の脳卒中診療で標準的という使い分けです。所属施設の方針確認が大切です。
Q3. GCSが変わらないのに「いつもと違う」感じる場合はどうすればいいですか?
数値が正常でも、看護師の直感は研究上も意味があります(Cioffi 2000)。「朝の挨拶への反応が遅い」「表情が乏しい」「視線が合いにくい」など普段との違いは観察強化+先輩相談+早期報告検討の対象です。冒頭Rで「相談・共有です」と温度感を伝え、医師に経過報告するのが望まれます。
Q4. 血糖測定はいつ・どんな場面で必ず行いますか?
意識障害があれば必ず・先に血糖測定を行います。低血糖は分単位で介入可能な治療可能原因です。施設の包括指示・事前指示・特定行為の範囲内で対応しつつ、並行して医師へ報告します。50%ブドウ糖20-40mL IVで多くの場合5-10分以内に意識回復します。糖尿病・インスリン使用中・絶食中・腎機能低下患者では特にリスク高。SBAR冒頭で「低血糖です」と最初に伝えるのが効果的です。
Q5. 瞳孔チェックは必ず両眼ですか?
必ず両眼で瞳孔径・対光反射を確認します。瞳孔不同(左右差)・対光反射消失は脳ヘルニア兆候であり、緊急コール対象です。瞳孔径は2-4mmが正常、ペンライトで対光反射を確認(直接・間接両方)。意識障害があれば瞳孔チェックは必ず行うべきセットの観察項目です。
Q6. 夜間の意識障害は朝まで様子見でいいですか?
意識障害は時間との戦いで、夜間でも至急判断が必要です。「夜中だから」と判断を遅らせると治療可能な原因(低血糖・脳出血・敗血症)を見逃す可能性があります。先輩・リーダーと評価を共有し、必要なら早めの医師コールを。報告では冒頭Rで温度感と根拠を簡潔に伝えるのがコツです(例:「リーダーと評価した上で連絡しています」)。
Q7. せん妄と意識障害はどう区別しますか?
せん妄も意識障害の一形態(注意障害+認知変動)で、原因(感染・電解質異常・薬剤・脱水・低酸素)が必ずあります。「ぼーっとしているだけ」と片づけず、原因を必ず評価することが重要です。高齢者・夜間・術後はせん妄リスクが高く、ABCDE評価+血糖+体温+服薬+電解質チェックが基本です。さらに、せん妄初期・敗血症初期・CO2ナルコーシス初期・脳梗塞初期がこの段階の所見で隠れていることがあるため、持続・進行する場合は「⚡ 早期報告」へ移行を検討してください。
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この記事を書いた人
万波 大悟(MANAMI DAIGO)
急変対応.net 代表
現職
診療看護師(NP)
専門資格
元 救急看護認定看護師
インストラクター
AHA-ACLSファカルティ
(提携ITC: JSISH-ITC)
(提携ITC: JSISH-ITC)
学会活動
日本救急看護学会 評議員
参考文献
1. Teasdale G, Jennett B. Assessment of coma and impaired consciousness. A practical scale. Lancet. 1974;2(7872):81-84. |GCSの原典
2. 太田富雄, 和賀志郎ほか. 急性期意識障害の新しいGrading とその表現法(いわゆる3-3-9 度方式). 第3回脳卒中の外科研究会講演集. 1975. |JCS(3-3-9度方式)の原典
3. American Heart Association. 2025 Guidelines for CPR and Emergency Cardiovascular Care. Circulation. 2025;152(suppl 2). |心停止アルゴリズム
4. Resuscitation Council UK. The ABCDE Approach. |ABCDEアプローチ公式ガイダンス
5. Royal College of Physicians. National Early Warning Score (NEWS) 2. RCP London, 2017. |NEWS2公式ガイダンス
6. O'Driscoll BR, Howard LS, Earis J, Mak V. BTS guideline for oxygen use in adults in healthcare and emergency settings. British Thoracic Society. Thorax. 2017;72(Suppl 1):ii1-ii90. |成人の酸素療法ガイドライン
7. Cioffi J. Recognition of patients who require emergency assistance: a descriptive study. Heart Lung. 2000;29(4):262-268. |看護師の「なんか変」研究の古典
8. Odell M, Victor C, Oliver D. Nurses' role in detecting deterioration in ward patients: systematic literature review. J Adv Nurs. 2009;65(10):1992-2006. |看護師による急変認識
9. 日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023). |国内脳卒中診療標準
10. 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024. |低血糖の診断・対応
11. 日本蘇生協議会(JRC). JRC蘇生ガイドライン2025. |国内BLS・ACLSガイドライン
12. 日本救急看護学会編. 救急看護ガイドブック. へるす出版. |国内の標準的ガイド
意識障害を見たら、まず「4大原因」と「血糖測定」。
本記事のスマホスクショを病棟のロッカーに保存して、夜勤前の確認ツールとして活用してください。
他の7症状(呼吸困難・ショック・胸痛・頻脈/徐脈・発熱/敗血症・痙攣・腹痛)については、症状別 急変対応マニュアルから個別記事へ進めます。
他の7症状(呼吸困難・ショック・胸痛・頻脈/徐脈・発熱/敗血症・痙攣・腹痛)については、症状別 急変対応マニュアルから個別記事へ進めます。