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【2026年版】ROSC後ケア(PCAC)|AHA蘇生ガイドライン2025の変更点と看護師の役割

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投稿日:2025年11月21日/最終更新日:2026年3月25日
執筆・監修:急変対応.net 編集部(AHA ACLSファカルティ)
本記事はAHA CPR/ECCガイドライン2025に基づいて執筆しています。

【30秒でわかる】G2025 ROSC後ケアの変更ダイジェスト

  • 血圧目標:MAP ≥ 65 mmHg(SBP項目は削除、MAPのみに簡素化)
  • 診断検査:12誘導ECGに加え、頭部〜胸腹部CT・POCUS の実施が「検討」に追加
  • 体温管理(TTM):32-37.5℃を少なくとも36時間(冷却型/正常体温維持型どちらも可)
  • 神経予後予測:ROSC後または体温正常化後 72時間以上経過後に多変量で判断
  • 生存者・家族支援:退院前後の心理・認知・身体機能の構造的評価が推奨

看護師が現場でやること

  • MAP・SpO₂・ETCO₂・血糖の継続モニタリング
  • 体温管理プロトコルに沿った管理
  • 原因検索(5H5T / CT・POCUS)のサポート
  • 家族への早期説明・ICU移行準備

ROSC後ケアの重要性

心停止からの救命処置で自己心拍が再開した(ROSC)患者では、蘇生直後から「脳・心・全身の二次障害」を防ぎ、神経学的予後を改善し、生存率を上げるための迅速かつ統合的なケアが極めて重要です。
また、ROSC後は、蘇生直後からICU管理・神経予後予測・救命後回復・リハビリテーションまで、時間軸・多職種・システム連携が不可欠であると明記されていますので看護師であっても知っておきたいところです。

「ROSCが取得できた=治療終了」ではなく、

「ROSC後こそが治療のスタート」であるという認識が重要です。


AHA2025年版におけるPCACのアップデートのポイント

以下、ガイドラインで特に注目すべき更新点を整理します。

  • 成人において、ROSC直後の低血圧を回避するため 平均動脈圧(MAP)≥65 mm Hg を維持となっています。この部分はG2020から変更無いものの収縮期血圧の項目はなくなりました。
  • 診断検査として、頭部~胸腹部のCTや心エコー(POCUS)を「検討すべき(reasonable)」とした点が新たに追加されました。
  • 体温管理(Targeted Temperature Management:TTM)では、命令に従わない(意識障害が残る)成人患者に対して、32-37.5 ℃の範囲で、少なくとも36時間の維持が合理的とされました。
  • 神経予後予測において、72時間以上経過後(または体温正常化後)EEG等を用いるべきという明記がなされました
  • 生存者・家族への回復・支援にもフォーカスが強化され、退院前/退院後の心理・認知・身体機能評価およびケアが「合理的な」対応として推奨されました。

これらの更新を押さえた上で、ROSC後ケアのアルゴリズムをそのまま読み解き、看護師・臨床教育用に咀嚼していきます。

ひと目でわかる G2020 vs G2025 変更点

項目G2020G2025
血圧目標SBP ≥ 90 mmHg + MAP ≥ 65 mmHgMAP ≥ 65 mmHg のみ(SBP項目は削除)
診断検査12誘導ECG、心エコー12誘導ECG + 頭部〜胸腹部CT・POCUSを検討(新規追加)
体温管理(TTM)32-36℃が推奨32-37.5℃最低36時間(冷却型/正常体温維持型どちらも可)
神経予後予測多変量アプローチROSC後/体温正常化後 72時間以上経過後(EEG等を組み合わせ)
酸素化目標SpO₂ 92-98%SpO₂ 90-98%、PaO₂ 60-105 mmHg
換気目標PCO₂ 35-45 mmHgPCO₂ 35-45 mmHg(変更なし)
血糖管理低血糖回避低血糖(<70 mg/dL)と高血糖(>180 mg/dL)両方回避
生存者支援限定的記述退院前後の心理・認知・身体機能評価が「合理的」に

看護師が覚えるべき重要ポイント

  • G2020からの大きな変更は 「SBPの削除」+「CT/POCUSの追加」+「体温管理の柔軟化」
  • 「血圧はMAPで見る」「原因検索に画像診断を積極活用」「体温は36時間キープ」の3点を押さえる

アルゴリズム(ROSC取得後)

以下は、AHA2025年版の成人向け「Post–Cardiac Arrest Care Algorithm」から、ROSC取得直後~継続管理までを整理したものです。

ステップ1:ROSC取得後直後の初期安定化

  1. 気道管理(Airway)
    • 挿管後は波形(ウェーブフォーム)ETCO₂カプノメーターで、適切な位置・換気状態を確認。
  2. 酸素化・換気(Oxygenation & Ventilation)
    • 当初はFiO₂ 100%とし、SpO₂またはPaO₂が信頼できるまで維持。
    • SpO₂目標:90-98%、またはPaO₂ 60-105 mmHg。
    • PCO₂目標:35-45 mmHg(重度の酸血症がない限り)
    • 過換気・過酸素化を回避することが重要。
  3. 血行動態管理
    • MAP ≥ 65 mmHgを目標とし、必要であれば昇圧薬・輸液を開始/調整。
    • 血圧低下(特に低MAP)は神経学的転帰を悪化させうるため、速やかな対応が必要。
  4. 早期診断検査(Early diagnostic testing)
    • 12誘導心電図(12-lead ECG)を取得し、虚血性心停止/不整脈などの原因評価。
    • 必要に応じて頭部・胸部・腹部・骨盤のCT、超音波(POCUS)や心エコーも検討可。

看護師視点のポイント

  • 気道確保/換気管理は蘇生直後でも「継続すべき蘇生」の一部と考え、迅速に対応できるチームづくりが重要です。
  • SpO₂・ETCO₂・Arterial BPをモニタリングし、換気過多・低換気・低酸素を回避することが神経予後に影響する。
  • 血圧・昇圧薬管理はICU移行前からの準備が望まれ、看護師としては昇圧薬準備・輸液管理・MAP変動チェックを行いやすい環境整備が鍵です。
  • 診断検査の開始(12 ECG=即時、CT/POCUS=検討)にあたって、検査搬送・家族説明・リスク管理などを早めに協働体制で行うとスムーズです。

ステップ2:継続管理・二次ケア(Continued Management)

  1. 原因治療および合併症対応(Treat arrest etiologies and complications)
    • 心停止の原因(例:冠動脈病変、肺血栓塞栓、循環血液量減少、代謝異常、薬物中毒など)を継続して探査・対応します。
    • 心原性ショック、再発性・難治性心室性不整脈、重度の虚血を認めた場合は、緊急冠動脈造影(PCI)または機械的血行動態補助(MCS)を検討すべきとされます。
  2. 体温管理(Temperature control / TTM)
    • 意識がなく、命令に従わない患者/筋弛緩・鎮静中の患者に対して、32-37.5 ℃を目標として、少なくとも36時間の体温管理戦略を講じることが合理的とされました。
    • 冷却型(32-34℃)または正常体温維持型(36-37.5℃)いずれも適用可能。ただし、症例毎に選択する必要があります。
  3. 神経学的モニタリング・予後予測(Prognostication)
    • 臨床的予後を判断する際、単一指標ではなく多変量アプローチが推奨されており、例えばEEG、バイオマーカー、画像検査などを組み合わせます。
    • 予後予測のタイミングは、ROSC後または体温管理/正常化後 72時間以上経過後とするべきとされています。
  4. 継続的クリティカルケア(Ongoing critical care)
    • 酸素・換気目標:PaO₂ 60-105 mmHg、PCO₂ 35-45 mmHg。
    • グルコース管理:低血糖(<70 mg/dL)を避け、高血糖(>180 mg/dL)も回避。
    • 血圧管理:MAP ≥65 mmHg維持。
    • その他:必要に応じて抗菌薬使用、機械的循環補助を検討。
  5. サバイバーシップ/回復支援(Recovery & Survivorship)
    • 退院前・退院後に、身体・認知・感情面の評価・ケア/紹介を構造的に行うことが合理的とされました。


まとめ

ROSC後ケアも、急変対応の中で看護師の力量が問われる領域である。

AHAG2025アルゴリズムでは大きな変更点はありませんが、現場での判断を単純化しつつ、神経予後改善に直結する項目を明確に示しています。

・換気・酸素化の適正化
・MAP ≥ 65 mmHg の確保
・体温管理(36時間)
・12誘導心電図・CT・POCUSの早期実施
・予後評価

これらは、どれか1つが抜けてもアウトカムが悪化し得るため、看護師もこのアルゴリズムを理解し、チームの中心として“ROSC後ルーティン”を標準化することで、院内急変対応の質は一段上のレベルに到達する。
急変教育の現場では、ROSC後ケアを「蘇生後のチェックリスト」として体系化し、シミュレーションに組み込むといいかもしれない。

よくある質問(FAQ)

Q1. ROSC後のSpO₂・PaO₂目標は?

  • SpO₂:90-98%
  • PaO₂:60-105 mmHg

蘇生直後はFiO₂ 100%で開始し、SpO₂またはPaO₂が信頼できる値で測定できるようになってから調整します。過酸素化(高すぎるSpO₂)も神経学的予後を悪化させるので、下げすぎない・上げすぎないの両方が大切です。

Q2. ROSC後のMAP(平均動脈圧)はどれくらいを目標にしますか?

MAP ≥ 65 mmHg が目標です。G2020では「SBP ≥ 90 mmHg かつ MAP ≥ 65 mmHg」でしたが、G2025ではSBPの項目が削除され、MAPのみに簡素化されました。

低血圧は脳灌流を低下させ神経学的予後を悪化させるため、昇圧薬・輸液で速やかに維持します。

Q3. 体温管理(TTM)は何度で何時間行いますか?

32-37.5℃の範囲で、少なくとも36時間維持することが合理的とされました。

  • 冷却型(32-34℃)
  • 正常体温維持型(36-37.5℃)

どちらも適用可能ですが、患者ごとに選択します。命令に従わない(意識障害が残る)成人患者が対象です。

Q4. 神経予後予測はいつから始めますか?

ROSC後または体温正常化後、72時間以上経過後から多変量アプローチで判断します。

単一の指標(瞳孔反射のみ、EEGのみ等)で判断せず、以下を組み合わせます:

  • 臨床所見
  • EEG
  • バイオマーカー(NSE等)
  • 画像検査(MRI、CT)

Q5. POCUS・CTは何のために使うの?

心停止の原因検索と合併症評価のために使います。G2025で新たに「検討すべき」として追加されました。

  • 12誘導ECG:虚血性心停止・不整脈の評価
  • 頭部CT:脳出血・脳梗塞の評価
  • 胸腹部CT:肺塞栓・大動脈解離・腹部出血の評価
  • 心エコー(POCUS):心機能・心嚢液・壁運動の評価

Q6. ROSC後の血糖管理はどうする?

低血糖(<70 mg/dL)と高血糖(>180 mg/dL)の両方を避けるのが原則です。

低血糖は脳障害を悪化させ、高血糖も予後を悪化させるため、適度な範囲(70-180 mg/dL)を目標に管理します。

Q7. 看護師はROSC後ケアで具体的に何をすべき?

看護師の役割は、ROSC後ケアの「質」を決めます。

  1. 継続モニタリング:MAP、SpO₂、ETCO₂、体温、血糖
  2. 昇圧薬・輸液管理:MAP維持のための準備と投与管理
  3. 原因検索サポート:12誘導ECG、CT・POCUSの搬送・準備
  4. 体温管理の実施:冷却プロトコルに沿った管理と記録
  5. 家族対応:早期の情報共有、ICU移行の準備
  6. 記録・報告:ISBARでの情報伝達、時系列記録

「ROSCが取れた=終わり」ではなく、「ここからが治療のスタート」という意識でチームの中心として動くことが重要です。

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ROSC後ケアを理解するには、ACLSアルゴリズム全体の流れを押さえておくと理解が深まります。

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参考文献

  • American Heart Association. 2025 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care.
  • American Heart Association. Highlights of the 2025 Focused Updates.
    PDF: Highlights of the 2025 ECC Guidelines(AHA公式)
  • JRC蘇生ガイドライン2025(日本蘇生協議会)
  • 日本救急医学会 用語集「自己心拍再開(ROSC)」「心拍再開後症候群(PCAS)」

執筆・監修

急変対応.net 編集部
AHA公式 ACLSファカルティ/診療看護師(NP)監修
提携:JSISH-ITC(AHA公式ACLS/BLS/AED/FA講習)

本記事は2025年10月公表のAHA CPR/ECCガイドライン2025、およびJRC蘇生ガイドライン2025に準拠しています。臨床判断にあたっては各施設のプロトコルに従ってください。

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