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【看護師向け】OPQRSTとSAMPLE|急変時の問診ツール完全ガイド【覚え方・使い方・実例付き】

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投稿日:2020年7月14日/最終更新日:2026年3月15日
執筆・監修:急変対応.net 編集部(AHA ACLSファカルティ/診療看護師)

【30秒でわかる】SAMPLEとOPQRSTの違い

  • SAMPLE:患者の基本情報を短時間で網羅的に聞き出すツール(6項目)
    → 救急搬送時・初期評価・術前問診で使う
  • OPQRST症状(特に痛み)を詳しく評価するツール(6項目)
    → 胸痛・腹痛・頭痛など主訴の詳細評価で使う
  • 使い分け:SAMPLEで全体像を掴み、OPQRSTで主訴を深掘り
  • 覚え方:それぞれ英単語の頭文字。暗記カードを作るのもおすすめ

本記事では、それぞれの項目の意味・質問例・臨床での使い方を看護師向けに解説します。

SAMPLEとは|患者の基本情報を網羅するツール

SAMPLE(サンプル) は、急変時や救急現場で患者の基本情報を素早く・漏れなく聞き出すためのフレームワークです。AHA(アメリカ心臓協会)や救急看護の教育で広く使われています。

SAMPLEの6項目

文字英語日本語聞く内容
SSigns / Symptoms症状・徴候今どんな症状が出ていますか?
AAllergiesアレルギー薬・食物・造影剤のアレルギーはありますか?
MMedications内服薬普段飲んでいる薬はありますか?
PPast medical history既往歴これまでに大きな病気やケガはありましたか?
LLast oral intake最終飲食最後に食べた・飲んだのはいつですか?
EEvents発症の経緯今回の症状はどのように始まりましたか?

SAMPLEの実際の使い方

胸痛で救急搬送された60代男性

  • S:胸が痛い、圧迫感。冷や汗あり
  • A:なし(造影剤含む)
  • M:降圧薬(ARB)、スタチン
  • P:高血圧、脂質異常症、2型糖尿病
  • L:朝食7時に摂取、現在10時
  • E:朝食後に散歩中、急に胸痛出現

→ たった2〜3分で、ACS疑いに必要な重要情報が揃います。緊急カテ検討の材料になり、医師への報告(ISBAR)にも直結します。

SAMPLE使用時の看護師のコツ

  • 一問一答ではなく、流れるように聞く(病歴のストーリーを作る)
  • L(最終飲食)は挿管・手術判断に直結するので必ず確認
  • 既往歴は薬剤アレルギーより先に聞くと自然な流れになる
  • 患者本人が話せない場合は家族・搬送スタッフから収集する

OPQRSTとは|症状(主訴)を深掘りするツール

OPQRST(オーピーキューアールエスティー) は、患者の症状(特に痛み・不快感)を多角的に評価するためのツールです。SAMPLEで全体像を掴んだ後、主訴を詳しく掘り下げるときに使います。

OPQRSTの6項目

文字英語日本語聞く内容
OOnset発症様式いつから?何をしていたとき?突然か徐々にか?
PProvocation / Palliation増悪・寛解因子何をすると悪くなる?楽になる?
QQuality性質どんな痛み?(ズキズキ・締め付け・焼ける等)
RRegion / Radiation部位・放散どこが痛い?他に広がる?
SSeverity重症度これまでで最も強い痛みを10として、今は?
TTime course時間経過持続時間は?頻度は?今までに似た症状は?

OPQRSTの実際の使い方

胸痛を訴える患者に OPQRST で深掘り

  • O:1時間前、階段を上っていた時に突然
  • P:動くと悪化、安静にすると少し楽
  • Q:「ゾウに踏まれたみたい」な締め付け感
  • R:胸の中央、左腕まで放散
  • S:NRS 8/10
  • T:持続30分、以前はなかった症状

→ この情報から 「典型的な ACS(急性冠症候群)」を強く疑える
早期の12誘導ECG・バイオマーカー測定の根拠になります。

OPQRST使用時の看護師のコツ

  • Q(性質):患者の「自分の言葉」を大切に。看護師が言葉を誘導しない
  • R(部位・放散):指で実際にどこが痛いか指してもらうと正確
  • S(重症度):NRS・VAS・フェイススケールを使うと客観的
  • T(時間経過):「突然か、徐々にか」は血管イベント(ACS・PE・解離) を疑う鍵

SAMPLEとOPQRSTの使い分け

両ツールは「対立するもの」ではなく、組み合わせて使うのがベストです。

臨床シーン別の使い分け

シーン主に使うツール理由
救急外来の初期評価SAMPLE優先全体像を短時間で把握
入院患者の急変OPQRST重視主訴の変化を詳しく評価
術前問診SAMPLE既往・薬剤・最終飲食確認
痛み・症状の変化評価OPQRST性質や時間経過の変化を追う
意識レベル低下SAMPLE(家族から聴取)経緯・内服情報の収集

実践例:腹痛患者への SAMPLE + OPQRST

患者:70代女性、夜間に腹痛で救急搬送

SAMPLEで全体像

  • S:右下腹部痛、発熱37.8℃、嘔吐あり
  • A:なし
  • M:降圧薬のみ
  • P:胆石症で10年前に手術
  • L:18時に夕食
  • E:22時頃から腹痛出現、悪化して搬送

OPQRSTで主訴(腹痛)を深掘り

  • O:22時、夕食後安静にしていた時に徐々に
  • P:動くと悪化、体を丸めると少し楽
  • Q:鈍い痛み→時間とともに鋭くなる
  • R:最初は心窩部 → 現在は右下腹部に移動
  • S:NRS 7/10
  • T:持続4時間、増悪傾向

→ この情報で 「急性虫垂炎」を強く疑える。「心窩部→右下腹部への疼痛移動」は虫垂炎の古典的パターンです。CT検査や外科コンサルトの根拠になります。

動画教材

よくある質問(FAQ)

Q1. SAMPLEとOPQRST、どっちから使うべき?

まずSAMPLEで全体像を掴み、気になる主訴をOPQRSTで深掘りするのが基本です。ただし、明らかに特定の症状(胸痛・腹痛・頭痛)が主訴として判明している場合は、先にOPQRSTから入ってもOKです。

Q2. SAMPLEの覚え方のコツは?

英単語の頭文字で覚えましょう:

  • Signs/Symptoms(症状)
  • Allergies(アレルギー)
  • Medications(内服薬)
  • Past history(既往歴)
  • Last meal(最終飲食)
  • Events(経緯)

「サンプル=見本」として、患者の情報サンプルを集めるイメージで覚えると印象に残ります。

Q3. OPQRSTの覚え方のコツは?

6つの頭文字を「OPQRST」と発音しながら覚えます:

  • Onset(発症)
  • Provocation(誘発)
  • Quality(性質)
  • Region(部位)
  • Severity(重症度)
  • Time(時間経過)

特にOとTは時間軸PQRSは症状の詳細と分けて覚えると整理しやすいです。

Q4. 新人看護師でも使いこなせますか?

はい、最初は手元にチェックリストを持ちながら質問するのがおすすめです。NCLSコースなどのシミュレーショントレーニングで繰り返し練習すると、1ヶ月程度で自然に使えるようになります。

Q5. 患者が意識混濁・会話困難な場合は?

本人から聴取できない場合は、家族・付き添い・搬送スタッフから情報収集します。特に以下を優先:

  • 既往歴・内服薬(お薬手帳の確認)
  • 発症の経緯(誰が・いつ・どんな状況で発見したか)
  • 最終飲食時間(挿管・手術判断に必要)

Q6. ABCDEアプローチとの関係は?

ABCDEは生理的評価(気道・呼吸・循環・意識・体温/暴露)を行うフレームワーク、SAMPLEとOPQRSTは問診ツールです。

臨床では、ABCDEで生命徴候を安定化させながら、並行してSAMPLEとOPQRSTで情報収集します。両者は並行して動く車輪のような関係です。

Q7. 看護師がSAMPLE・OPQRSTを学ぶのにおすすめの研修は?

NCLS(Nursing Cardiac Life Support)コースでは、初期評価のパートで SAMPLE と OPQRST をシミュレーションで繰り返し練習できます。知識として知るだけでなく、「使える」ようになるのが目標です。

参考文献

  • American Heart Association. ACLS Provider Manual.
  • 日本救急医学会 編. 救急診療指針.
  • 山勢博彰 編. 救急看護学. 日本救急看護学会 監修.
  • NCLS公式テキスト(コードブルー刊)

執筆・監修

急変対応.net 編集部
AHA公式 ACLSファカルティ/診療看護師(NP)監修
提携:JSISH-ITC(AHA公式ACLS/BLS/AED/FA講習)

本記事は看護師・看護学生・医療従事者が臨床で活用できるよう執筆しています。個別の臨床判断にあたっては、各施設のプロトコルおよび主治医の指示に従ってください。

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