急変対応マニュアル

<看護師向け>長いSBARはもう卒業|結論と要件から伝える急変時のドクターコール 実践ガイド|新人困りTOP5テンプレ付き|【急変対応マニュアル】

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「SBARで報告しなさい」と習ったのに、いざ医師に電話すると長くなって伝わらない
「で、結局何が言いたいの?」と聞き返される。怒られる。落ち込む。

この記事では、世の中にある「長ったらしいSBAR」を卒業し、結論と要件から伝える実戦型RSBARを徹底解説します。新人が困るTOP5のコピペテンプレ付き、スマホでスクショして明日から使える内容です。
【30秒でわかる】伝わるRSBARの鉄則
最初に"用件"から言う(相談・依頼・緊急報告)
・S→B→A→Rの順ではなく、R(用件)→要約したS+B→A→R(依頼)が実戦的
・R冒頭は3パターン(相談/依頼/緊急報告)|相手に何を求めるかで使い分け
相談=丸投げではなく擦り合わせ|自分の見立て・懸念をはっきり伝える
迷ったら①相談型でOK(新人の基本形)
・依頼(来てもらえる?・指示お願いします)は最後に置く
・長い背景説明は省略OK(聞かれたら答える)
A(アセスメント)がSBARの核|できていないと報告は成立しない
・バイタルは"数値の羅列"ではなく"経過と評価"で伝える
NEWS2・ABCDEで評価 → SBARで報告の3点セット
・復唱確認(closed-loop)で伝え忘れ・聞き忘れを防ぐ
この記事でわかること
・長いSBARが伝わらない理由
・結論ファーストのRSBAR(R→S+B→A→R型)
・R冒頭の3パターン(相談/依頼/緊急報告)使い分け
・相談=擦り合わせの考え方
・アセスメント力とSBARの関係
・新人が困るTOP5のコピペ例文

なぜ"習ったSBAR"は現場で伝わらないのか

教科書や研修で習うSBARは、「S → B → A → R」の順に全部伝えると教えます。でも現場で実際にやると、こうなります。
よくある"長いSBAR"
「夜勤の看護師の〇〇です。内科病棟の305号室の田中太郎さん、75歳男性糖尿病と高血圧、慢性腎不全の既往があり、5日前に肺炎で入院されていて、抗菌薬のセフトリアキソンが1日2回投与されていて、入院時は血圧130/80、脈拍80くらいだったんですけど、18時に測った時は…」
医師:「で、用件は何?
問題の本質
医師は「何が起きたか」より先に「自分が何をすべきか」を知りたい。

・今すぐ駆けつけるべき?
・電話で指示を出せばいい?
・カルテ確認で済む話?
・相談したいだけ?

これが分からないと、受け取り手の頭が整理できないので、何を聞いても情報が入ってきません。

結論ファースト|"用件 → 状況 → 評価 → 依頼"で伝える

教科書のS→B→A→R順ではなく、実戦では「用件冒頭(R) → 状況の要約(S+B) → 評価(A) → 依頼(R)」の順が伝わります。

ポイントは、Rを"冒頭の懸念"と"最後の依頼"の2つに分けること。冒頭で用件の入り口を示し、状況・評価を伝えたあと、最後に明確な依頼で締める――これが実際の電話のリアルな流れです。
良い例|30秒で伝わる(相談型)
相談なんですけど。肺炎で入院中の田中さん、状態悪化してそうで…」(R:用件・冒頭)

抗菌薬投与されてますがHRも増加傾向でMAPも改善しません」(S+B:要約)

敗血症性ショックの悪化を疑っています」(A:評価)

一度みてもらえないですか?」(R:依頼・最後)
この4行で伝わる理由
「相談なんですけど」で柔らかく入りつつ、「悪化してそう」で医師は瞬時に緊急コールだと察知できる
・冒頭で患者の背景(肺炎で入院中)もまとめて凝縮
・S+Bで具体的経過(HR増加・MAP上がらない)を続けて伝える
・A(敗血症性ショック疑い)で向かう心構えができる
・最後に「一度みてもらえないですか?」と明確な依頼で締めることで、医師は次に何をすべきか(来る)を確実に受け取れる

柔らかい入り口・鋭い結論・明確な依頼――最初の10秒で意図が伝わり、最後の一言で行動が決まるのがこの構造の強みです。

R冒頭の3パターン|相手に何を求めるかで使い分ける

Rの中身は、急変対応の現場では「相手に何を求めているか」で3つに分かれます。

相談型=自分の見立て・懸念を伝えて医師と擦り合わせる
依頼型=具体的なアクションを依頼する(〇〇してほしい)
緊急報告型=共通言語で緊急度を即伝達する(心停止です)

新人はまず①相談型を基本形として身につけ、必要に応じて②③を使い分けます。
① 相談型
自分の見立てを擦り合わせる
冒頭の入り方
相談なんですけど。
〇〇で入院中の△△さん、状態悪化してそうで…
※そのままS+Bに続く
中身=自分の懸念をはっきり
・「○○を疑っています
・「△△が気になっていて
・「□□が改善しなくて
締め(状況で選ぶ)
・「一度みてもらえないですか?」
・「このアセスメントで合ってますか?
・「どう思いますか?
・「カルテだけ確認できますか?」
自分の見立てを医師と擦り合わせる時
② 依頼型
○○してほしい
冒頭の入り方
指示をいただきたいんですけど
お願いしたいんですけど
締め(具体的なアクション)
・「採血の指示お願いできますか?」
・「輸液の指示お願いします」
・「抗菌薬の変更お願いできますか?」
・「家族に説明してもらえますか?」
アクションが明確な時
③ 緊急報告型
共通言語で緊急度を即伝達
冒頭=緊急共通言語
・「心停止です
・「呼吸停止です
・「ショックです
・「急変です
締め
・「すぐ来てください
・「応援要請お願いします
※速度優先・枕詞は省く
心停止・呼吸停止・ショック等
相談=丸投げではなく"擦り合わせ"
「相談する」=「考えを放棄する」ではありません。
自分なりの見立て・懸念・困っていることがあるからこそ、相談が成立します。

医師に「全部任せます、判断してください」ではなく、
「自分はこう見ているけど、どう思いますか?」と擦り合わせるのが相談型の本質です。

だからこそ相談型では、自分のアセスメント・懸念をはっきり言葉にすることが大事。「〇〇を疑っています」「△△が気になっていて」――この一言が入るだけで、医師は「この看護師は考えている」と認識し、対話の質が一段上がります。
③緊急報告型は"共通言語"が命
緊急時は、誰が聞いても同じ緊急度が伝わる単語を冒頭に置くのが鉄則です。「ちょっと様子がおかしいんですけど…」では医師の頭は緊急モードに切り替わりません。

「心停止です」「呼吸停止です」「ショックです」――これらは医療チーム全員が同じ意味で受け取れる標準化された言葉。新人がこれを口にできるようになると、コール品質が一段上がります。

※共通言語はNEWS2ABCDEで評価した所見を一語で表現したものとも言えます。
迷ったら①相談型でOK
新人のうちは「これは相談?依頼?緊急?」と判断に迷うのが当然です。そんなときは①相談型を基本形として使い、自分の見立て・懸念をはっきり伝えてA(評価)で温度感を出せば、医師側で「これは行く」「電話で済む」「指示出すだけでいい」を判断できます。
「自信がないから相談」ではなく「自分の見立てを擦り合わせるから相談」。この姿勢が、新人時代から身につけたい思考の型です。

②依頼型はアクションが明確な時のみ(例:採血・輸液・薬剤変更が必要と分かっている)。それ以外は①でいきましょう。各パターンの使いどころと例文はPart 2で詳しく解説します。
教科書型(長い)
S 状況
B 背景(長い!)
A アセスメント
R 推奨

聞き手が途中で離脱
実戦型RSBAR
R冒頭 相談/依頼/緊急
S+B 状況要約
A 評価(判断)
R依頼 来てもらえる?

10秒で意図が伝わる

SBARの核はA(アセスメント)|できないと報告は成立しない

多くの新人看護師がSBARで詰まるのは、実は"話し方"の問題ではなく"アセスメント"の問題です。
アセスメントなしのSBARは成立しない
SBARのA(Assessment=評価)は「あなたがどう判断したか」。ここが空白だと、いくら数値や症状を並べても医師には伝わりません。

そして相談型を成立させるのもAです。「自分の見立てを擦り合わせる」には、まず自分の見立て=Aが必要だからです。
数値の羅列(伝わらない):
「血圧が100/60で、脈拍が110で、SpO2が93%で、熱が38.5度で…」

経過と評価(伝わる):
「抗菌薬投与されてますがHRも増加傾向でMAPも改善しません敗血症性ショックの悪化を疑います」
同じバイタル情報でも、"評価(A)を挟む"だけで報告の質が激変します。

報告に必要な"アセスメント3要素"

① 経過(Trend)|良くなってる?悪くなってる?
数値そのものより変化の方向が重要。
例:「HRが80→110に上昇」「MAPが65→55に低下」
→ "増加傾向""低下傾向""〇〇未満が持続""改善しない"などの言葉で評価する
② 文脈(Context)|治療への反応を評価
「何があって、今どうなっているか」+治療の効果
例:「抗菌薬投与中」なのに「HR増加・MAP上がらない」
→ これは"治療に反応していない"という重要な評価
③ 結論(Judgement)|自分の判断を言葉にする
「〇〇を疑っています」「〇〇の悪化だと思います」
・自信がなければ「〇〇の疑いがあるように見えます」でOK
・「わかりません」も正直に(ただし"何がわからないか"は伝える)
アセスメント力を鍛える3つのツール
ABCDEアプローチ:何から見るか迷わない
NEWS2(敗血症記事):点数化して客観評価
OPQRST/SAMPLE:問診で情報を集める

これらで評価 → SBARで報告という流れが、急変対応の3点セットです。

なぜRSBARが必要か|看護師と医師では"情報の構造"が違う

SBARの本質を理解するには、看護師と医師で情報の扱い方が違うという事実を知る必要があります。これは国際的な研究でも指摘されている事実で、単なる話し方の癖ではなく職種ごとの"情報構造"の違いです。
看護師の情報構造
Narrative型(物語型)
・患者の変化・生活背景を語る
時系列で出来事を追う
全体像を描写する
・「なんとなくいつもと違う」
・文脈(context)重視
医師の情報構造
Problem-oriented型(問題志向)
主訴・バイタル・検査異常へ圧縮
鑑別診断・次のアクションに収束
仮説駆動(何を除外したいか)
・SOAP・Problem Listが基礎
・意思決定の要点重視

看護師のNarrative型|"物語として"報告しやすい

看護師は患者と長時間一緒にいる職種です。その結果、報告も自然と経過・物語で構成されやすくなります。
看護師によくある報告の始まり
「朝から元気なくて…」
「なんとなくいつもと違って…」
「昨日の夜勤の引き継ぎで〇〇と言われてて、朝食は食べたんですけど、リハビリの途中で…」
Narrativeの強み
この語り方は決して間違いではありません。むしろ看護師の強みです:

・"いつもと違う"を最初に気づけるのは看護師だけ
・ベッドサイドで感じる微細な変化(pre-arrest signs)
・患者の生活背景や心理状態を含む全人的情報

問題は"強み"そのものではなく、医師に伝わる形式に変換できるかです。

医師のProblem-oriented型|"圧縮して"報告する

医師教育ではSOAP(Subjective/Objective/Assessment/Plan)Problem ListAssessment & Planが基本です。その結果、報告は自然と意思決定に必要な要点に収束します。
典型的な"医師的"報告例
「78歳男性、肺炎加療中。今朝38.9℃、HR120、BP92/58、SpO2 91%敗血症疑い。採血・培養提出済み、抗菌薬開始したいです」
→ 主訴 → バイタル → 評価 → 次のアクション が30秒で揃う

Hypothesis-driven communication|"仮説駆動"の会話

医師はしばしば「何が起きているか」より「何を除外したいか」で話します。これを仮説駆動コミュニケーションと呼びます。
例:胸痛の患者を診た医師同士の会話
「胸痛です。ACS first、PE low、解離所見なし
→ ストーリーではなく、診断推論の途中経過を共有している
注意:職種で単純化しないこと
ここまでの話は"傾向"であって、「医師=簡潔/看護師=冗長」という単純化は不正確です。

個人差:物語で話す医師も、圧縮して話す看護師もいる
診療科差:救急・集中治療 vs 慢性期では文化が違う
経験年数差:新人医師も最初は長くなる
文化差:施設・国・チームの慣習

大切なのは「職種で決まる」のではなく「情報の渡し方の共通言語を持つ」ことで、それを担うのがRSBARです。

RSBARは"看護師の語り"を"医師の求める情報"に変換するツール

RSBARの本当の価値は、この職種ごとの情報構造の違いを埋めるところにあります。看護師のnarrativeを用件→状況→評価→依頼の4ステップに圧縮する翻訳ツール、それがRSBARです。
看護師の頭の中(Narrative)
「朝から元気がなかった。昼食は半分残した。昼寝の後、呼吸が少し速く感じた。声をかけると返事はするけど、ぼーっとしてる感じ。さっきバイタル測ったら、いつもと違って血圧が低めで…」
↓ RSBARで変換 ↓
医師に届く形(RSBAR変換後・相談型)
相談なんですけど。肺炎で入院中の田中さん、状態悪化してそうで…(R冒頭)
抗菌薬投与中ですがHRも増加傾向でMAPも改善しません(S+B要約)
敗血症性ショックの悪化を疑っています(A:評価)
一度みてもらえないですか?(R依頼)」
看護師が失ってはいけないもの
RSBARに変換する過程で、"なんとなく違う"という直感を捨てる必要はありません。むしろその直感をアセスメントの言葉に翻訳するのがRSBARの役割です。

・「元気ない」→「意識レベルが低下傾向
・「呼吸が速い」→「頻呼吸でNEWS2が上昇
・「いつもと違う」→「バイタル推移から〇〇を疑う

この翻訳の手助けが、ABCDE・NEWS2・OPQRSTといった評価ツールです。
RSBARは"擦り合わせ"の場をつくる
RSBARの3パターン(相談型/依頼型/緊急報告型)のうち、新人が最も多く使うのは①相談型です。

相談型の本質は「自分の見立てを医師と擦り合わせる」こと。看護師のnarrative(直感・観察)を、自分のアセスメント言葉に翻訳して医師に渡し、それを医師のproblem-oriented(鑑別・判断)で返してもらう――2つの情報構造が出会う場がRSBARです。

だからこそ、看護師はnarrativeを捨てる必要はなく、A(評価)で自分の見立てを言葉にする。これがチーム医療の対話の起点になります。
参考になる概念: AHRQ TeamSTEPPSのSBAR、Kaiser Permanenteで開発されたSBAR、Leonard M. et al. "The human factor: the critical importance of effective teamwork and communication in providing safe care." (Qual Saf Health Care, 2004) では、SBARが医師-看護師間の情報構造の違いを橋渡しするツールとして紹介されています。また、Hilligoss B. & Cohen M.D. (2013) は医師と看護師の情報のフレーミングの違い(narrative vs problem-oriented)を指摘しています。

新人看護師が困る TOP5|そのまま使えるコピペテンプレ

新人看護師がドクターコールで最も困る5場面のコピペテンプレです。スマホでスクショして明日から使ってください。全て本記事のRSBAR(R冒頭→S+B→A→R依頼)3パターン(相談/依頼/緊急報告)に沿っています。
① 相談型
見立てを擦り合わせる
② 依頼型
○○してほしい
③ 緊急報告型
共通言語で即伝達
TOP 01 ① 相談型 困った度 ★★★★★
「血圧低いんですけど…」の場面
シチュエーション
定期バイタル測定で、いつもより血圧が低い。本人の訴えはないが、なんとなく元気がない気もする。
コピペテンプレ|①相談型(RSBAR)
相談なんですけど。305号室の田中さん、血圧がいつもより低めで気になってて…」(R冒頭)

14時のバイタルで90/58、意識清明・冷感なし・脈整ですが、朝より元気がない印象です」(S+B)

ショックを否定したいんですが、判断つかなくて」(A:評価)

経過観察で良いか、再検査を検討するか、相談させてもらえないですか?」(R依頼)
③緊急報告型へ切り替え:冷感・意識低下・頻脈を伴うなら相談ではなく緊急報告型に切り替え。
ショックです。305号室の田中さん、すぐ来てください。冷感・意識低下・頻脈あります
TOP 02 ① 相談型 困った度 ★★★★★
「治療してるのにバイタルが悪いんですけど…」の場面
シチュエーション
肺炎で入院中の患者。抗菌薬投与4日目・アセリオも使用中だが、解熱せず、HR上昇・MAP低下傾向。治療効果が出ていない。
コピペテンプレ|①相談型(RSBAR)
相談なんですけど。肺炎で入院中の田中さん、状態悪化してそうで…」(R冒頭)

抗菌薬投与4日目でアセリオも使ってますが、HR増加傾向でMAP 65未満が持続しています」(S+B)

敗血症性ショックの悪化を疑っています」(A:評価)

一度みてもらえないですか?」(R依頼)
この報告の強み:「熱が下がりません」ではなく「治療しているのに反応していない」という評価がA(アセスメント)。単なる発熱報告から、病態悪化の報告に格上げされている。「自分はこう見ているけど、どう思いますか?」という擦り合わせの相談ができている。
③緊急報告型へ切り替え:MAP60を切る・意識朦朧・末梢冷感など明確なショック徴候があれば緊急報告型へ。
ショックです。305号室の田中さん、すぐ来てください。MAP55、意識朦朧、末梢冷感あります
軽症の場合|①相談型(微熱持続)
相談なんですけど。肺炎の田中さん、抗菌薬4日目ですが熱がまだ下がらなくて…」(R冒頭)

37.8℃の微熱が持続、バイタルは安定、意識清明です」(S+B)

治療効果が今ひとつな印象です」(A:評価)

治療方針の見直しが必要か、ご意見聞かせてもらえないですか?」(R依頼)
TOP 03 ② 依頼型 困った度 ★★★★☆
「患者さんが怒ってて…」の場面
シチュエーション
患者や家族が医師の説明・治療方針に納得しておらず、怒っている。看護師一人では対応しきれない。具体的なアクション(医師の説明)が必要な場面。
コピペテンプレ|②依頼型(RSBAR)
お願いしたいんですけど。305号室の田中さんご家族のことで…」(R冒頭)

昨日の説明に納得していない様子で、『〇〇の件で詳細を聞きたい』とおっしゃっています」(S+B)

看護師からの代替説明より、先生からの直接説明を希望されています」(A:評価)

次の回診時に説明の時間を追加してもらえないですか?」(R依頼)
コツ:感情(怒ってる)だけでなく、何に納得していないか(具体的内容)希望する対応(直接説明)を言語化して伝えると、医師側も準備しやすい。②依頼型はアクションが明確な時の型――今回は「医師の説明時間追加」がアクション。
TOP 04 ① 相談型 困った度 ★★★☆☆
「指示を確認したいんですけど…」の場面
シチュエーション
カルテの指示が不明確。用量・投与方法・タイミングなどで迷いがある。自分なりに2通り解釈できているが、どちらが正しいか医師と擦り合わせたい場面。
コピペテンプレ|①相談型(RSBAR・確認)
確認させてほしいんですけど。305号室の田中さんの〇〇の指示で…」(R冒頭)

〇〇(用量/方法/タイミング)の部分が解釈に迷っています」(S+B)

〇〇と〇〇の2通り解釈できると思っています」(A:評価)

どちらが正しいか教えてもらえないですか?」(R依頼)
コツ:「指示がわかりません」(=丸投げ)ではなく、「〇〇と〇〇で迷います」(=自分なりの2解釈を提示)と擦り合わせる形にすると、医師が答えやすい。これが相談=擦り合わせの本質です。安全のため、迷ったら必ず確認がルール。
TOP 05 パターン使い分け 困った度 ★★★★★
「夜中に医師を起こすべき…?」の場面
シチュエーション
深夜帯に患者の状態が気になる。医師は休憩中。起こして怒られないか不安。状況に応じて3パターンを使い分けるのがTOP5。
正しい判断の順序|一人で悩まない
STEP 1: まず先輩看護師・リーダーに相談する
STEP 2: 先輩と一緒に今すぐ医師コールが必要か判断
STEP 3: 必要なら医師コール / 不要なら観察継続と朝の申し送りに記録
先輩・リーダーへの相談|①相談型
相談いいですか?305号室の田中さんで判断に迷ってて…」(R冒頭)

〇〇(状況・経過)で、バイタルは〇〇です」(S+B)

〇〇を疑ってるんですが、確信が持てません」(A:評価)

医師コールすべきか、一緒に見てもらえないですか?」(R依頼)
先輩判断後の医師コール|①相談型
夜分申し訳ありません、相談なんですけど。305号室の田中さん、状態気になってて…」(R冒頭)

〇〇(状況・バイタル)です。リーダーの〇〇とも一緒に見ました」(S+B)

〇〇を疑っています」(A:評価)

方針について指示いただけないですか?」(R依頼)
絶対に医師を起こすパターン|③緊急報告型(先輩相談スキップ可)
心停止・心停止疑い(反応なし・呼吸なし)
呼吸停止
急激なバイタル悪化(血圧急低下・意識レベル急低下)
NEWS2 7点以上(赤信号)
新規のショック徴候(冷汗・末梢冷感・チアノーゼ)
新規の胸痛・呼吸困難
テンプレ(緊急共通言語):
心停止です。305号室、すぐ来てください
ショックです。305号室の田中さん、すぐ来てください
呼吸停止です。305号室、応援要請お願いします
急変です。305号室、すぐ来てください
応援(コードブルー等)と医師コールを同時進行
コツ:「一人で抱え込まない」が鉄則。緊急報告型(共通言語)が出る場面以外は、まず先輩と一緒に判断するのがベストです。新人のうちは「相談する勇気」が一番のスキル。

逆に|夜中に起こさなくていい例(不要な確認報告)

「報告しすぎ」も、実は医師の時間と判断力を削る医療安全リスクになります。夜中に起こす必要がない典型例を2つ紹介します。
起こさなくていい例 01
「指示入ってるけど、使って良いか確認です…」
こういうコールはNG
「〇〇先生、夜分すみません。田中さんの屯用カロナールの指示が入ってるんですが、使っても大丈夫ですか?」
正しい判断
指示はすでに出ている=使っていい状態で処方されているということです。

・指示書の条件(発熱時/疼痛時等)を満たせば使用OK
・投与後に記録を残し、翌朝の申し送りで共有
医師に確認する必要はない(例外:指示書が曖昧で解釈に迷う場合→TOP4「指示確認」)

「万が一のために確認」という心理は理解できますが、指示書を信じて運用するのがルール。迷ったら先輩看護師に相談しましょう。
起こさなくていい例 02
「明日の点滴が入ってないので入れてください…」
こういうコールはNG
「〇〇先生、夜分すみません。田中さんの明日朝の点滴指示が入ってないので、今入れてもらえますか?」
正しい判断
朝の点滴=朝の実施時間まで数時間あるということ。夜中に医師を起こして入力する必要はありません

朝の日勤帯で担当医(または当番医)に依頼すれば間に合う
夜勤リーダーに引き継ぎ、朝の申し送りで確実に対応
深夜の指示入力は、医師にも看護師にもミスが起きやすい時間帯

例外:夜中のうちに開始が必要な輸液(脱水・急性期・持続投与等)が抜けている場合は、すぐ医師コール。
コツ:"いつまでに必要か"を考える。時間の余裕があるなら朝まで待つ・日勤に引き継ぐが正しい判断。これは医師のためだけでなく、夜勤のあなた自身の業務負荷を減らすためでもあります。
「起こす / 起こさない」を分ける3つの問い
自分にこの3つの問いを投げてみてください。
Q1: 朝まで待つと患者の状態が悪化する可能性があるか?
→ YESなら起こす
Q2: 今すぐ医師の判断・指示が必要か?
→ YESなら起こす
Q3: 既存の指示・カルテ・先輩の助言で解決しないか?
→ NOなら起こす(YES=起こさない)
3つとも「起こさなくていい」方に傾くなら、朝の申し送りで対応が正解です。

TOP5に共通する原則|あなたを助ける3つのルール

ルール1|R冒頭で3パターンのどれかを示す
①相談型:「相談なんですけど。〇〇で…」
②依頼型:「お願いしたいんですけど」
③緊急報告型:「心停止です」「ショックです」「呼吸停止です」「急変です」
→ この一言で医師の頭が整理される
ルール2|"評価(A)"を必ず入れる
「〇〇を疑っています」「〇〇だと思います」「判断つかなくて」でもOK。
あなたの見立てが、医師との擦り合わせの起点になる。
→ 相談型は特に、A=自分の見立てがあるからこそ成立する。
ルール3|迷ったら一人で抱え込まない(先輩→医師の順)
心停止・呼吸停止・ショック・急変などの緊急時は即医師コール(③緊急報告型)。それ以外で迷ったらまず先輩・リーダーに相談
・「報告しすぎ」も医師の時間を削る
・「報告しなさすぎ」で患者が悪化する
先輩と一緒に判断するのがベストな中間解

よくある質問(FAQ)

Q1. SBARとISBARの違いは何ですか?
SBARはSituation(状況)・Background(背景)・Assessment(評価)・Recommendation(依頼)の4要素のフレームワーク。ISBARはこれにIdentification(自己紹介・患者識別)を加えた5要素で、グローバル標準として広く使われています。本サイトで推奨するRSBARは、ISBARの自己紹介を簡略化しつつ、R(用件)を冒頭と最後に置く実戦型です。
Q2. RSBARはなぜR(用件)を冒頭と最後の2つに分けるのですか?
電話の自然な流れに沿うためです。冒頭で「相談・依頼・緊急報告」のうちどれかを示すことで、医師が瞬時に頭を切り替えられます。最後のRで具体的な依頼を明示することで、医師が次に何をすべきか確実に受け取れます。冒頭=用件、最後=依頼の2段階で、双方の認知負荷を下げる設計です。
Q3. 新人ですが、いきなり相談型を使うのは怖いです。どうすればいいですか?
新人のうちは「先輩・リーダーと一緒に判断してから医師コール」が基本です。冒頭で「○○先輩と相談した結果、医師に連絡しています」と添えると、医師の警戒も和らぎます。一人で判断する必要はありません
Q4. ABCDE・NEWS2・OPQRSTとSBARはどう連動させますか?
基本フローは「NEWS2で気づく → ABCDEで評価 → RSBARで報告」です。NEWS2は悪化の早期察知(トリガー)、ABCDEは初期評価(アクション)、RSBARは医師への報告(コミュニケーション)を担います。OPQRSTは問診で情報を集めるツールとして、SBARのS(状況)とB(背景)に組み込みます。
Q5. アセスメントに自信がない時、何と言えばいいですか?
「○○の疑いがあるように見えます」「判断つかなくて」でも構いません。完璧なアセスメントよりも、自分の見立てを言葉にすることが重要です。「わからないこと自体」を伝えるのもアセスメントです。
例:「何が起きているか判断つかないので、一緒にみてもらえますか?
Q6. 報告が長くなりすぎる癖を直すコツは?
コール前に「今、何を医師に求めるか」を一言で書き出してから電話します。冒頭の用件(相談/依頼/緊急報告)が明確になれば、自然と本文も整理されます。最初は紙に書いてから電話するのも有効です。スマホのメモ帳に下書きしてから読み上げる新人もいます。
Q7. 復唱(closed-loop)って何ですか?
指示を受けたら「○○、了解しました」と復唱して確認することです。聞き間違い・伝え忘れを防ぐ標準的なコミュニケーション技法で、AHRQ TeamSTEPPSやAHA-ACLSでも推奨されています。
例:医師「生食500ml全開で」 看護師「生食500ml全開、了解しました

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この記事を書いた人

万波 大悟(MANAMI DAIGO)
急変対応.net 代表
現職
診療看護師(NP)
専門資格
元 救急看護認定看護師
インストラクター
AHA-ACLSファカルティ
(提携ITC: JSISH-ITC)
学会活動
日本救急看護学会 評議員

参考文献

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