今回は看護師のシミュレーション教育に最適なアプリを紹介します。
一般的には救急領域のシミュレーション教育で使う資機材といえば、高機能シミュレーターのイメージが強いと思います。
高機能シミュレーターは物凄く高価ですから、色々再現できます。
でも、本当に高機能シミュレーターが必要なシミュレーションなのか?は常に考えておきたいところです。
例えば、急変対応のシミュレーション場面をイメージしてください。
高機能シミュレーターを使った場合、モニター心電図や波形、血圧は表示されますが、呼吸数や様式の表現が難しいことがあります。そのような場合にインストラクターが数字だけ口頭で言うなんてことありませんか?
呼吸と血圧教えてください
呼吸は32回
血圧は80/56です
これだと呼吸を評価(学習)する機会が失われています。
呼吸が重要なサインだということは多くの論文や書籍に書かれています。
結論から言うと呼吸の評価はインストラクターや模擬患者が演じるべきでしょう。
高機能シミュレーターありきではなく、表現しづらい重症感や緊急度を認識したりアセスメントしていくには、重要な視覚、または聴覚や触覚情報をどう表現するか考えてみましょう
高機能シミュレーターの限界を知る
高機能シミュレーターは準備にも時間がかかりますし、設置場所や台数が限られていたりするため、開催する際のハードルはやや上がります。
そうなると勤務時間中に部署でシミュレーションしたりする場合は、模擬患者を交代でやったり、BLSのマネキンも候補に入れた方がハードルは下がります。
実際に問診をしながら評価したり、第一印象やプライマリーサーベイをしていくような時も、模擬患者の方がリアリティがあって良い場合もあります。
更にリアリティ感を出すためにチアノーゼや出血などを表現したり、霧吹きで冷汗をだしたりできるのも模擬患者ならではだったりします。
模擬患者だと緊張するしリアリティがね
あと血圧とかモニター心電図ないじゃん
たしかに緊張するとリアリティは下がるので、指導者が演じたり配慮が必要だよね。
モニターに関してはおすすめアプリがあるので紹介するよ
心電図モニターのアプリ
急変対応.netで主催しているACLSコースではIpadのアプリであるDARTSIMを活用しています。
APPLE版を使っていますが、ANDROID版もあります。
こんな感じで、心電図波形、血圧、SpO2が表示されます。また、除細動器やペーシングの機能もついています。
そして、こちらはリモート操作用のIPHONEの画面です。
IpadとIphoneをWifiで接続し、遠隔操作できるので便利!
実際にこれらのモニターと上半身だけのリトルアンに洋服を着せてこんな感じでACLSコースを開催しています。
アプリなのでたまに接続が解除されたりなどのトラブルはありますが…
2次救命処置シミュレーションを開催する上でのハードルはぐっと下がります。
モニターアプリその2SimMon
次に、ACLSコースでは使ってませんが、研修で使えそうなSimMonという心電図アプリの紹介です。
画面はこんな感じ。
こちらもiphoneをリモコンとして遠隔操作できます。
模擬患者とモニターを使うことで大体の急変シミュレーションには対応できますし、バイタルサインという数字を「天の声」で言われたり、人形を相手に話しかけるよりはリアリティがあっていいと思います。
どちらも有料ですが3000円程度なので導入はしやすいと思いますので、組織で検討してみてください。
ただ、あくまでツールです。
高機能シミュレーター然り、アプリ然り。
使用して満足せず、対象者にシミュレーションでどこを学んでほしいのか?目的は何なのか?
そうしたデザインをもとにシミュレーションの状況設定や現場を再現したりすることが重要だと考えます。
また、模擬患者の演技力もある程度は大切ですよね。
ただ勉強会や研修をやってみたという教育係や主催者側の自己満足で終わらず、受講生(対象者)にとって満足度の高い教育と臨床への還元に繋がるようなシミュレーション教育が増えることを願っています。