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「救急・心電図シミュレーションアプリ徹底比較|看護師研修に使える5選【2026年版】」

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シミュレーション教育で高機能シミュレーターが必要かどうか、迷うことはありませんか?
数百万円の高機能シミュレーターがなくても、模擬患者+アプリでも十分に質の高いシミュレーション教育は可能です。むしろ、呼吸・声色・冷汗・チアノーゼなど表現しづらい要素は、模擬患者の方がリアリティがあります。
この記事では、ACLSファカルティ・NCLSインストラクターの経験から厳選した5つのシミュレーションアプリを徹底比較。各アプリの特徴・価格・推奨シーンまで網羅した指導者向け保存版ガイドです。
この記事の結論(30秒)
数百万円の高機能シミュレーターは必須ではない
模擬患者+アプリで質の高いシミュレーション教育は可能
5つのアプリを比較:DARTSIM・SimMon・ALSi・TruMonitor・救トレ
・価格帯は数千円〜10万円超まで幅広い
・アプリはツールにすぎない|コース設計とインストラクションが本質
購入判断のポイント:用途・予算・表現したい内容で選ぶ
この記事でわかること
・高機能シミュレーターの限界と、アプリの有効性
・5つのシミュレーションアプリ徹底比較(価格・機能・推奨シーン)
・用途別の使い分けマトリクス(BLS・ACLS・病棟急変)
・具体的な活用シナリオと導入のコツ
・購入判断のポイントと注意点
こんな経験ありませんか?|指導者・教育担当者の悩み
・高機能シミュレーター、1台数百万で予算が通らない
・高機能シミュレーターがあっても、呼吸数や様式の表現が難しい
・インストラクターが「呼吸は30回です」と数字だけ伝える教育になっている
勤務時間内に部署でシミュレーションしたいが機材がない
・模擬患者だとモニター心電図の演出ができない
これらの悩みは、「高機能シミュレーターありき」の教育設計から生まれています。
実は、模擬患者+アプリという選択肢を知ることで、多くの悩みが解決します。

高機能シミュレーターの限界|3つの課題

高機能シミュレーターは多機能で便利ですが、現場レベルのシミュレーション教育では3つの課題があります。
課題 01
高額で導入ハードル
高機能シミュレーターは数百万円。各部署に配置するのは現実的ではなく、台数も限定的です。
課題 02
呼吸・表情の表現が難しい
呼吸数や呼吸様式・チアノーゼ・冷汗・表情の変化は再現しづらく、インストラクターが口頭補足することで「評価(学習)の機会」が失われがちです。
課題 03
準備に時間がかかる
設置・起動・シナリオ設定に時間がかかり、勤務時間内の短時間シミュレーションには向きません。
解決策|「模擬患者 + アプリ」で十分
模擬患者が患者役を演じる → 呼吸・チアノーゼ・冷汗・表情をリアルに表現
アプリがモニター心電図・血圧・SpO2をデジタルで表示
・両者を組み合わせることで、数百万円の高機能シミュレーターに劣らない教育が実現
むしろ、模擬患者の表現力+適切なアプリの方が、臨床現場のリアリティに近いケースが多いのが現実です。
重症感や緊急度の認識には「五感の情報」が必要
重症感や緊急度を認識したりアセスメントしていくには、視覚・聴覚・触覚の情報をどう表現するかが鍵。
高機能シミュレーターは「数値は出せても人間らしさは出せない」という本質的な限界があります。

5つのシミュレーションアプリ徹底比較

ACLSファカルティ・NCLSインストラクターとして実際に使用した経験をもとに、5つのシミュレーションアプリを徹底比較します。価格・機能・長所短所・推奨シーンまで網羅しました。
5アプリ一覧|価格帯と特徴
DARTSIM
iPad/iPhone|¥8,000|急変対応.net採用
SimMon
iPad/iPhone|約¥3,000前後|シンプル操作
ALSi
海外製|高機能|除細動・ペーシング対応
TruMonitor
海外製|10万円超|最高機能・サウンド豊富
救トレ
日本製|開発継続中|国産の期待株

① DARTSIM|急変対応.net の採用アプリ

DARTSIM
iPad/iPhone対応|App Store・Google Play
急変対応.netが主催するACLSコースで実際に採用しているアプリ。iPadを患者側のモニター・iPhoneを遠隔操作リモコンとして使う設計で、Wi-Fi接続でワイヤレス運用ができます。

なお、導入当初(2017年)は数千円でしたが、2026年4月時点では日本のApp Storeで¥8,000と、年々価格が上がっています。機能改良やiPadスペック対応の影響と考えられます。
対応機能
心電図波形・血圧・SpO2・除細動・ペーシング
価格(2026年4月時点)
買い切り¥8,000(日本App Store)
対応OS
iOS / Android
こんなシーンに最適
・ACLS/NCLSなどのコース運営
・心停止アルゴリズムの実技訓練
・コスパ重視でまず1つ導入したい場合
・遠隔操作でリアルな演出をしたい
注意点
・Wi-Fi接続がたまに不安定
・UIがやや複雑(慣れが必要)

② SimMon|シンプル操作で研修向き

SimMon
iPad対応|App Store
DARTSIMと並んで定番のアプリ。よりシンプルなUIが特徴で、iPhoneをリモコンとして遠隔操作できます。BluetoothとWi-Fi両方に対応しているため、Wi-Fi環境がない場所でも使えるのが強みです。院内研修での初導入にも向いています。
対応機能
心電図波形・血圧・SpO2
シンプル表示
価格(2026年4月時点)
買い切り約¥3,000前後
※App Store要確認
対応OS
iOS / Android
こんなシーンに最適
・院内研修・部署単位のシミュレーション
・シンプルな操作を重視する場合
・BLS研修でのモニター演出
・初めてアプリ導入する施設

③ ALSi|海外製の高機能アプリ

ALSi (iSimulate)
海外製|高機能タイプ
海外製の高機能アプリ。除細動・ペーシングなどの機能が充実しており、モニター構成がシンプルでわかりやすい。試用期間があるので実際に使って判断できます。
対応機能
心電図・血圧・SpO2・除細動・ペーシング
価格帯
DARTSIM・SimMonより高額
※要見積もり
特徴
試用期間あり
こんなシーンに最適
・高機能を求める教育機関
・コース主催団体
・まず試してから判断したい
・シンプルなUIを好む

④ TruMonitor|最高機能・高価格

TruMonitor (Trucorp)
海外製|10万円超|最高機能
採血データ表示・任意画像取り込み・wheeze/嘔吐などのサウンドまで多彩な演出が可能。DARTSIMより機能豊富で、リアリティ重視ならベストの選択肢。ただし10万円超と高額です。
対応機能
心電図・採血データ・画像取込・サウンド豊富
価格帯
10万円超
※要見積もり
特徴
試用期間あり
こんなシーンに最適
・大学病院・教育機関
・コース主催団体で投資可能
・採血データや画像演出が必要
・wheeze・嘔吐音などリアル音声を使いたい
注意点
アプリに10万円超は躊躇する価格帯
・予算申請が通るか要検討

⑤ 救トレ|日本製の期待株

救トレ (Crit Care Training)
日本製|開発継続中
日本製のシミュレーター。改良を重ねており、新製品も検討中とのことで、日本の臨床現場に合わせた仕様に期待が高まります。
特徴
日本製・日本語対応
開発
継続中
期待
新製品予定あり
こんな方に
・日本製にこだわりたい
・国産メーカーを応援したい
・最新動向をチェックしたい
現状のシミュレーターは数百万円するものばかりで気軽に購入できないので、救トレのような手の届く価格帯の日本製の選択肢が増えることに期待しています。

使い分けマトリクス|用途別に最適なアプリを選ぶ

どのアプリを選ぶかは、用途と予算で決まります。3つの主要シーン別におすすめアプリを整理しました。
BLS研修
初期対応・胸骨圧迫中心
推奨: SimMon
シンプルなモニター表示で十分。
数千円で始めやすい。
ACLS/NCLS研修
心電図・除細動・薬剤
推奨: DARTSIM or ALSi
除細動・ペーシング機能が必須。
DARTSIMはコスパ◎。
ALSiは機能性◎。
病棟急変シミュレーション
フィジカル+情報収集
推奨: TruMonitor
採血データ・画像表示・サウンドで
リアリティ最大。予算が許せばベスト。

具体的活用シナリオ3選

実際にアプリを使ってどうシミュレーションをするのか、3つの具体例で解説します。
シナリオ1|夜勤中の急変シミュレーション
部署単位の短時間研修で、夜勤中の急変対応をシミュレーション。
準備物
・模擬患者(スタッフが演じる)
・iPadとアプリ(DARTSIM or SimMon)
・ベッド・布団・院内着
流れ
1. 模擬患者が「呼吸困難」を演じる(努力呼吸・冷汗)
2. アプリで「SpO2 85%・血圧80/50」を表示
3. 受講者がABCDE評価・応援要請・SBAR報告
4. 振り返りディスカッション
シナリオ2|新人研修のフィジカルアセスメント
新人看護師のフィジカルアセスメント訓練。第一印象の重要性を体感してもらう。
準備物
・模擬患者(演技重視)
・SimMon or 救トレ
・霧吹き(冷汗演出)・チアノーゼ描写用メイク
流れ
1. 模擬患者が「なんとなく元気がない」を演じる
2. 新人が3-5秒で第一印象を評価
3. アプリで「血圧90/60・脈拍110」を表示
4. 重症感の判定・ABCDE評価
5. 振り返りで「気づけたサイン」を共有
シナリオ3|ACLS/NCLSコースの心停止訓練
ACLS/NCLSコースでの心停止アルゴリズム訓練。除細動・薬剤投与までトレーニング。
準備物
・上半身リトルアン(BLSマネキン)
・DARTSIM or ALSi(除細動機能)
・模擬除細動器・救急カート
流れ
1. マネキンに服を着せて寝かせる
2. アプリでVF波形を表示
3. 受講者がCPR・除細動・薬剤投与
4. アプリ側で波形をリアルタイム変更
5. ROSC確認・振り返り

導入のコツ|失敗しない5つのポイント

アプリを導入するときに失敗しないための5つのポイントを整理しました。
1
試用期間を活用する
ALSi・TruMonitorには試用期間があります。必ず実際の研修で試してから購入判断を。
2
対応機材を用意する
iPadで表示・iPhoneでリモコン操作が基本。Wi-Fi環境も事前に確認。
3
模擬患者の演技指導
模擬患者の演技が教育の質を左右します。呼吸様式・表情・声色の演じ方を指導者が事前にブリーフィング。
4
ツール以上にシナリオ設計が重要
アプリはあくまでツール。対象者に何を学ばせたいかの目的設計と現場再現が本質です。
5
自己満足で終わらせない
「勉強会をやった」という主催者の自己満足で終わらせず、受講生(対象者)にとって満足度の高い教育を設計することが重要。
本質|ツールは手段、教育の目的が主役
高機能シミュレーター・アプリ・模擬患者...これらは全て学習を支援する「ツール」にすぎません。

対象者にシミュレーションで何を学んでほしいのか?目的は何なのか?
そのデザインをもとに状況設定や現場を再現することこそが本質です。
臨床への還元に繋がるシミュレーション教育が、一人でも多くの指導者から生まれることを願っています。

実際のアプリ画面

こんな感じで、心電図波形、血圧、SpO2が表示されます。また、除細動器やペーシングの機能もついています。

そして、こちらはリモート操作用のIPHONEの画面です。

IpadとIphoneをWifiで接続し、遠隔操作できるので便利!

実際にこれらのモニターと上半身だけのリトルアンに洋服を着せてこんな感じでACLSコースを開催しています。

DARTSIMでの二次救命処置シミュレーション

アプリなのでたまに接続が解除されたりなどのトラブルはありますが…

2次救命処置シミュレーションを開催する上でのハードルはぐっと下がります。

次に、ACLSコースでは使ってませんが、研修で使えそうなSimMonという心電図アプリの紹介です。

画面はこんな感じ。

看護師のシミュレーション教育に最適なアプリの紹介【急変対応/BLS/ACLS/多重課題】

よくある質問(FAQ)

Q1. 高機能シミュレーターがあればアプリは不要ですか?
高機能シミュレーターは高価で設置場所・台数も限定的です。勤務時間内の短時間シミュレーション部署単位の研修では、模擬患者+アプリの方が機動力があります。また、呼吸様式・チアノーゼ・冷汗・表情などはアプリや高機能シミュレーターより模擬患者の方がリアルに表現できます。
Q2. 無料の心電図・シミュレーションアプリはありますか?
完全無料で医療者向けの本格的なシミュレーションアプリはほとんどありません
無料アプリは広告表示機能制限があるケースが多く、研修用途には向かないことが多いです。

一方、有料アプリでもDARTSIMは¥8,000・SimMonは¥3,000前後の買い切りで、1台あれば複数回の研修で繰り返し使えます。継続的に使うなら、むしろ有料アプリの方がコスパは良いです。

「まず試してみたい」なら、ALSi・TruMonitorの試用期間から始めるのがおすすめです。
Q3. どのアプリから始めるのがおすすめですか?
予算と用途で選びます。

最初の1本なら:SimMon or DARTSIM(数千円〜¥8,000・買い切り)
・コース主催レベル:ALSi or TruMonitor
・国産にこだわる:救トレ

急変対応.netではDARTSIMを採用しており、ACLS/NCLSコースで活用しています。
Q4. 心電図シミュレーターアプリだけで十分ですか?
心電図単体なら、DARTSIM・SimMonで十分です。
ただし、シミュレーション教育全体として考えると:
模擬患者による呼吸・表情・声色の演技
BLSマネキン(胸骨圧迫・気道確保の練習)
救急カートの物品配置
これらを組み合わせることで、アプリ単体では作れない臨床に近いリアリティが生まれます。
Q5. 院内研修でアプリを導入する際、予算申請のコツは?
以下の3点を組織に説明すると通りやすいです。

コスパ:高機能シミュレーター数百万円 vs アプリ数千円〜¥8,000(100分の1以下)
利用頻度:持ち運び可能で部署ごとに活用可能
効果:回数を重ねてシミュレーション教育を定着させられる

iPad・iPhoneを施設で既に所有しているなら、アプリ代だけで始められます。
Q6. アプリだけ揃えれば良いシミュレーション教育ができますか?
いいえ、アプリはあくまでツールです。
質の高いシミュレーション教育には、コース設計・シナリオ作成・インストラクション技術が不可欠です。

・何を学んでほしいのか(学習目標)
・どんな状況を再現するか(シナリオ設計)
・どう振り返るか(デブリーフィング)

これらを現場で学ぶにはNCLSアシスタント参加(無料)がおすすめ。さらに正式な指導者を目指すならNCLSインストラクターコースへ進みます。

まとめ|アプリは手段、教育の目的が主役

高機能シミュレーターが数百万円という現実の中、模擬患者+アプリの組み合わせは、コスパと臨床リアリティの両方を高いレベルで実現する選択肢です。
5つのアプリから用途と予算に合わせて選び、模擬患者の演技とBLSマネキンなども組み合わせれば、数百万円の機材に負けないシミュレーション教育が可能です。
ただし、アプリはあくまでツール。対象者にシミュレーションで何を学んでほしいのか、目的とコース設計こそが本質です。臨床への還元に繋がるシミュレーション教育が広がることを願っています。

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執筆・監修

万波 大悟
MANAMI DAIGO
急変対応.net 代表
経歴・資格
現職
診療看護師(NP)
専門資格
元 救急看護認定看護師
インストラクター
AHA-ACLSファカルティ
(提携ITC: JSISH-ITC)
学会活動
救急看護学会 評議員
「ACLSコース・NCLSコースの運営で、実際に5つのアプリを使い比較してきた経験をもとにこの記事を執筆しました。高機能シミュレーターにこだわらず、模擬患者+アプリで質の高いシミュレーション教育を実現することは、現場レベルで十分可能です」

参考リンク

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