ACLSプロバイダーコース受講予定の皆さん、あるいは急変対応に自信を持ちたい看護師・研修医の皆さん、こんにちは。
「心停止のアルゴリズム、覚えること多すぎて無理!」 そんな風に思っていませんか?
実は、心停止への対応はガイドラインが改訂されても「やるべきことの幹」は変わりません。 ただ、2025年に発表された最新ガイドライン(AHA G2025)で、いくつか「現場での振る舞い方」に関わる重要なアップデートがありました。
今回は、ACLSの心停止アルゴリズムを「ここだけ押さえればOK」というポイントに絞って、最新の2025年版の内容で解説します。事前学習や復習に活用してくださいね。
1. 心停止アルゴリズムは「2つの道」だけ覚えればいい
心停止(Cardiac Arrest)の対応は、モニター心電図の波形を見て、「電気ショックが必要か、不要か」の2つに分類することから始まります。
ここが全ての分岐点です。
- 左の道(ショック適応): VF(心室細動) / 無脈性VT(心室頻拍)
- 右の道(ショック適応外): PEA(無脈性電気活動) / 心静止(Asystole)
それぞれの道で「何が最優先か」が変わります。見ていきましょう。

2. 左の道:VF / 無脈性VT(ショックできる!)
心臓がブルブル震えている状態です。電気ショックでリセットしないと止まりません。
動き方のポイント
- 電気ショック(除細動)が最優先!
- 準備ができ次第、直ちにショックを行います。
- ショック後は直ちに胸骨圧迫を再開します(リズムチェックは2分後!)。
- 薬剤:アドレナリンと抗不整脈薬
- アドレナリン(1mg): 2回目のショック後から投与開始。以降3〜5分おき。
- 抗不整脈薬: 3回目のショック後から考慮。
- アミオダロン(初回300mg、2回目150mg)
- または リドカイン(初回1-1.5mg/kg)
【G2025の変更点】ルート確保は「IVファースト」
ここが重要です。以前は「IV(静脈路)がダメならすぐにIO(骨髄路)」と、IOがかなり推奨されていました。 しかし、2025ガイドラインでは「まずはIV(静脈路)を優先する」と明記されました。
- 理由: IOからの薬剤投与は、IVに比べて効果が劣る可能性が示唆されたため。
- 現場での動き: まずは腕などの静脈確保を試みる。それが「困難」と判断されたらIOへ。安易に最初からIOを選ばないようにしましょう。
3. 右の道:PEA / 心静止(電気ショックできない…)
心臓の電気的な活動はあるが拍出がない(PEA)、あるいは全く動いていない(心静止)状態です。電気ショックは効きません。
動き方のポイント
- 質の高いCPR(胸骨圧迫)が命綱
- 中断を最小限に。交代は素早く。
- アドレナリンは「可能な限り早く」
- VF/VTと違い、こちらは電気ショックという武器がありません。
- そのため、血管収縮薬であるアドレナリンを「ルートが取れ次第、秒で入れる」のが鉄則です。
- 原因検索(H's & T's)
- なぜ止まったのか?(低酸素? 低容量? カリウム? 気胸?)
- 原因を取り除かない限り、ROSC(自己心拍再開)は望めません。
【G2025の変更点】エコー(POCUS)は「邪魔しないなら」OK
心停止の原因検索に超音波(エコー)は有用ですが、G2025では釘が刺されました。
- 「熟練者が、胸骨圧迫を中断せずに行える場合に限り考慮可」
- エコーを見るために「ちょっと圧迫止めて!」はと中断時間が長過ぎるのは絶対にNGです。自信がないならエコーより圧迫を優先しましょう。
まとめ:看護師・研修医が現場で意識すること
アルゴリズム図を丸暗記するのも大事ですが、現場では以下の動きができれば100点です。
- 波形を見て「ショック!」か「すぐ圧迫&アドレナリン!」かを瞬時に判断する。
- 脈を触知(あるいは事前に触れておく)する習慣も身につけておく。ROSCorPEAの判断は脈を触知しないとわからない。
- ルート確保は、まず静脈(IV)を狙う。ダメならIO。
- PEA/心静止なら、アドレナリンの投与を遅らせない。
- エコーを当てるドクターがいたら、「圧迫は最低限しか止めませんよ」と心の中で念じる(あるいは声をかける)。