臨床看護

【看護を読み解く】救急での看護はあるのか?診療の補助から考える看護師の役割

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救急で働いていると、こんな意見を聞くことがあります。

「救急にいると看護ができない」
「看護がよく分からない」

え、ちょっと待って!!
救急でやってる“診療の補助”ってめちゃくちゃ重要な役割であって専門性の高いスキルだと思ってたけど違うの?
そう思っている私にとっては、上記ジレンマとのギャップを感じることがありました。

そんな中、もしかして診療の補助に対する役割や価値に気づいてない人が多いのかな?と言う仮説が浮かんだんですね。

〇〇に対する価値って、人それぞれ違うことが多いものですが、看護資格の価値は診療の補助にあると思うのです。

そこをベースとして、病気だけでなく心理面や社会面からも評価してアプローチを繰り返すのが看護の面白さであり、可能性を秘めてる部分なのかなと。
でも、この役割を正しく認識していないと勿体ないと思い、今回まとめてみました。

救急における診療の補助とは

結論から言えば、救急にも看護はあります。
救急に来る患者は何らかの症状を抱えています。
患者にとっては診療を受けることがメインであり、そこから得られるものがニーズにもなります。

じゃあ、看護師の業として定められている”診療の補助”を整理しておきましょう。看護協会の資料では以下のように表現されていました。

診療の補助とは、医学的知識をもって対象者が安全かつ効果的に診断治療を受けることができるように、医師の指示に基づき、看護職が医療処置を実施することであり、同条の「診療の補助」に相当する。

https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/yougokaisetu.pdf

要するに診療を補助していくので処置など医行為も含まれますが、基本は診療自体をサポートします。

これを実施するには、診療の中身を理解していないと"補助"できないので、非常に高度なスキルが求められます。

また、看護師は対象者の身体的、心理的、社会的な面などあらゆる方面から支援を検討します。あらゆる支援が提供できるように診療の補助と療養上の世話という武器を駆使して実践されるわけです。

診療の補助は誰でもできるか?

でも、医学的知識を持って診療に関わるなら研修医とか医師で良くない?

確かに、これはよく言われます。

ちょっと待ってください。我々看護師はERから退院まで一貫して関わることができる職種(役割?ポジション?)なんですよ。

例えば、胸痛を主訴に歩いて来院した患者が居たとします。
看護師が包括指示に基づき、院内トリアージを実施して12誘導心電図を施行します。ST上昇を認め診察が開始されました。

その後、カテーテル治療に行き、集中治療、病棟、在宅(社会)に戻ります。

この一連の流れで関われるのが看護師なわけです。
もっと極端な例を言えば、私が初期対応から在宅まで一貫して看護することができるんです。

つまり何が言いたいかというと、看護は診療の補助と療養上の世話の二つを武器に戦います。その割合がシーンによって違うだけなんです。

ERでは診療がメインとなっているだけで、そこにいる人を対象として看護しています。これに対して診療が好きなら医師になれば良いなんていうのはナンセンスな意見です。

このシームレスさ&オールラウンダー的な役割をを画像にするとこんな感じです。

この汎用性って医師に匹敵するチート能力だと思うんですけどいかがですか?

※最後には性別が変わってしまってるのが詰めの甘さですが、ご理解ください。

でも、診療の補助に対しては、これまでの歴史として"医師の補助"という認識が浸透してしまい、そこでのジレンマもあったのは確かです。

なら、こう考えてみてください。

例えば、サッカーの試合に"手伝い"で出場して役に立ちますか??
ルールはなんとなく知ってるけど、練習しないで試合に出るようなもんです。
これではチームとして機能しないのは明白です。
得点できないならまだマシで、オウンゴールしたりするかもしれません。

こうした結果、臨床だと何が起こるかわかりますか?

心停止の時に"ノル"アドレナリンを投与したり
アナフィラキシーに対してアドレナリンを"静注"

このようなエラーが起こってしまいます。
※もちろん個人の能力だけの問題ではありません

改めて、診療の補助=医師の手伝いや補助というイメージを持つ方がいたら、はっきりと否定しておきます。

私は、看護師の立場から診療の質や対象者のアウトカム向上を図ることができると思っています。

さいごに

救急での看護の様子は、いかがだったでしょうか?

診療の補助の"価値"をあなたはどう捉えますか?

そもそも看護師の業務は保助看法で定められており“診療の補助“と療養上の世話に大別されます。基礎教育の段階から散々叩き込まれるわけですが、いまだに看護を複雑な概念にしているケースも存在しており、多くの人が迷宮入りします。

その代表的なのは“看護観”や心に寄り添う、温かみのある看護などの言葉です。このキャッチフレーズはすごいパワーワードかつ看護に対する思いの押しつけなので我々を非常に悩ませます。

もっとシンプルに原理原則の視点で考えようよ!

というメッセージになってれば幸いです。

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