プレテストの解説第2弾!!
>問2
急変セミナー プレテスト
>低酸素血症が原因でPEAになった場合は、"徐脈性PEA"が多い
これは正解です。
PEAとはどんな状態を表しているか分かりますか?
PEAとは何か?
心停止には4つの状態が含まれておりPEAはその一つです。
PEAとは「心電図上適切なリズムであっても脈拍を伴わない」ため心停止に含まれます。電気活動のみで有効な心拍出量はありませんので、脈拍も触れませんし当然血圧も測定できません。
こうやって心電図モニターがついている患者さんで、反応や呼吸もなく脈拍も触れない場合、PEAと判断してCPRしてなければなりません。
が!!!
医療従事者の間でも、PEAの認識や理解が十分に浸透していないせいか、血圧やSpO2を最優先で測定しようとする場面やCPRが開始できないという状況に遭遇します。
もう一度言いますが、反応もなく呼吸もしていない(または異常な呼吸:死戦期呼吸)状態で脈拍が触れなければ心停止です。
なぜPEAのような状態になるか?
院内心停止(IHCA)で起こるPEAの原因として多いのは循環血液量減少と低酸素血症と言われています。
循環血液量減少は脱水や出血など、何らかの原因によって循環血液量が不足して起こります。生体の代償反応として心拍数をあげることで循環の維持を図りますが、還流するもの(血液)が減少していけば、心臓や肺(呼吸)の機能に問題がなかったとしても、血圧が低下して最終的には測定できなくなります。この測定できないフェーズがPEAとして現れます。
心臓の電気活動はあっても拍出するものがないので"空打ち"のような状態だね
血圧も実際には40/20などあるのかもしれませんが、低すぎる状態なので有効な循環となっていません。これ故Aラインが入っていたり人工呼吸器が装着されていたりするとPEAかどうかの判断が鈍ります。
また、PEAの状態では心臓のエネルギーとなる酸素or血液、もしくは両方がうまく機能しないので、その状態は長く続きません。これはVFも一緒です。時間が経てば心静止(Asystole)に移行します。
PEAの状態は分かってきたかな?
一方、低酸素血症の場合を考えてみましょう。
低酸素血症の場合、身体の組織に酸素が十分に行き渡らない為、代償機能として心拍数や呼吸回数を増やします。代償機能が破綻すると心臓に達する酸素 = エネルギーがありませんので、心拍数は遅くなり心筋収縮力が低下します。
よって、低酸素血症は"徐脈性のPEA"として現れることが多いと言われています。
また、心停止に先行して呼吸が先に止まるパターンも想定しておきしょう。「脈は触れるが呼吸は停止している」という状態です。どちらにせよ、十分な酸素化や換気が必要となりますので、BLSで教わるハンズオンリーでは全く戦えないことは想像しやすいと思います。
PEAの原因検索
次は、臨床でのPEAとの戦い方を考えていきましょう。
まず、心停止になると時間経過とともに蘇生率が低下しますので、早急に原因検索をする必要があります。
痰による窒息などは急激に進行してPEAに至りますし、一方で循環血液量減少や敗血症、呼吸不全などは通常何らかの症状やバイタルサインの変化を伴うことが多いと思います。患者の現病歴や既往歴などを含めた背景から原因を検索したり情報共有したりする必要もあります。また、身体所見の観察や採血やエコーなどの検査も実施していきます。
ここでPEAにおける原因検索の手がかりとなるかも知れないポイントをお伝えします。
それは心電図です。
ACLS-EPのテキストから紹介します。
モニターされた心リズムを再評価し、心拍数とQRS群の幅の広さに注意する。狭いQRS幅のPEAには心臓以外に原因のある可能性が高い。このような場合、ただちに治療可能な原因を迅速に同定して、治療しなければ蘇生は望めない
つまり、モニターの心リズムやQRS幅が原因検索の手がかりになります。
表にまとめたので御覧ください。
PEAの原因を心拍数とQRS幅から考える
次回のACLSプロバイダーコースでは、この辺の作成した資料を用いながらシミュレーションで体験していただこうと思ってます。是非、臨床でもリズムチェックや換気の合間に心電図の心拍数やQRS幅にも着目してください。