当会では、主に看護師向けにACLSコースをこれまで幾度となく開催してきました。
しかし、必要なスキルは受講後数ヶ月で低下していくことが指摘されており、定期的なブラッシュアップ(再学習)が必要です。
コースを受講しただけでは効果は限定的で、蘇生スキルのブラッシュアップを図らないと臨床では恐らく活用できない。こんなギャップに悩んでいました。
これに対して、自ら更新される方もいますし当会では復習参加を推奨していました。
実際に復習参加された方に感想を聞くと
「結構忘れていることがあった」
というものが多かったので、受講時とは違う環境下で再び参加することの効果はあると考えています。
ただ、復習参加や更新はなかなかハードルが高いんです。
休みをとって、会場まで足を運ぶ必要があるから
そこで、現在進めているオンラインナーシングというプロジェクトの中で、ACLSの更新や復習参加に類似した効果が得られないかと考え、設計してみましたので紹介します。
特徴と期待する効果
まず、ACLSコースでは各アルゴリズムを修得します。
どのアルゴリズムを使用したらいいか、マネキンやモニターの情報、インストラクターの情報から判断していきますよね。
今回は、オンライン上でアルゴリズムに沿ったシミュレーションをしていくわけですが、当然CPRやBVMによる換気のスキルは修得(再学習)できません。
メインはインストラクターが提示する
"リアルタイムに変化する患者情報(言語情報)とモニターの資格情報"
ここから評価をして適切なアルゴリズムを判断していくことになります。
アルゴリズムの内容や各観察項目や治療の流れを知っていなければ答えられません。
そこを瞬時に判断していくわけです。
例えば、心停止中に気管挿管した患者のETCO2が
①「0でした」
②「8でした」
この2つの情報から想定される状態は異なります。
0のときは食道挿管
8のときはROSCする可能性が低い、CPRの質が不十分
となるわけです。
こうした知識やアルゴリズムを思い出すとともに判断していきましょうというのがシミュレーションのpointです。
もちろん同様の内容はテキストベースでもできますが、リアルタイムに評価し判断し、介入するという流れに最大の意味があると考えています。
ACLSコースの限界を補完
これから記載する内容はACLSコースでも扱いますが、そこに重点は置かれていませんし、ある意味曖昧でも合格します。
例えば、
安定した頻拍と不安定な頻拍では応援要請のタイミングが本来違います。
どちらのシナリオでも、第一印象から重症感を評価します。
また、意図的に問診をしたりバイタルサインや身体所見をとります。
そして、そこまでのアセスメントの結果、
応援に来た方へ報告や情報共有をしているわけですが、ここもアセスメントが曖昧で、練習をしていかないと、経過の羅列で非常にわかりにくい内容となります。
が、この項目を理解していなくても、アルゴリズムの判断はできるようになっていますし、報告は評価ポイントではありません。
ACLSオンラインSimでは、この初期評価に沿って、ACLSで十分に扱えない部分も補完して臨床に役立つスキルを身に着けようというのが趣旨になります。
とは言え、扱う範囲は『ACLSコースの内容』なので、実は幅広くありません。
そして治療としてはやることも決まっています。
ここが誰にでも参加しやすいポイントかな、と思っています。
後、本来はリーダーやメンバー役をやることでシミュレーションでの学習は成立すると思っていますが、そこも敷居が高いと思うので、まずはチャット参加してみることをおすすめします。
臨床から離れた心理的安全性の高い環境で、自分にとって必要な学習機会として活用してみてください。