この記事の結論(30秒)
・急変記録で最も重要なのは「いつ何をしたか」の時系列
・特に心停止・CPR開始・除細動・ROSCの時間は蘇生評価に直結
・誰が指示し・誰が実施したかを明確に記載する
・薬剤は必ず「量」と「経路」まで記録
・医師カルテとの整合性を取ることで振り返りが可能になる
この記事でわかること
・急変時に看護師が押さえる記録5つのポイント
・心停止対応の時系列記録の書き方
・薬剤投与記録の正しい書式
・医師記録との整合性の取り方
・蘇生評価・医療安全・法的記録に耐える記録法
・心停止対応の時系列記録の書き方
・薬剤投与記録の正しい書式
・医師記録との整合性の取り方
・蘇生評価・医療安全・法的記録に耐える記録法
こんな経験ありませんか?
・急変後、記録を見返したら時間が曖昧になっていた
・「誰が実施したか不明」で振り返りが難しい
・薬剤の「量」や「経路」が抜けていて医師記録とズレる
・心電図モニター・電子カルテ・自分の時計の時間がバラバラ
・カンファレンスで「この時間で合ってますか?」と突っ込まれた
・「誰が実施したか不明」で振り返りが難しい
・薬剤の「量」や「経路」が抜けていて医師記録とズレる
・心電図モニター・電子カルテ・自分の時計の時間がバラバラ
・カンファレンスで「この時間で合ってますか?」と突っ込まれた
病棟や外来で急変対応が発生したとき、看護師に求められるのは処置だけではありません。
急変時の記録の質も非常に重要です。特に心停止では、除細動までの時間・CPR開始時間・ROSC時間などが蘇生の評価に大きく関わります。
急変時の記録の質も非常に重要です。特に心停止では、除細動までの時間・CPR開始時間・ROSC時間などが蘇生の評価に大きく関わります。
この記事では、急変対応で看護師が押さえるべき記録の5つのポイントを、現役の診療看護師(NP)・元救急看護認定看護師の視点で解説します。
Contents
① 時間は必ず正確に記録する
急変記録で最も重要なのは「時間」です。
心停止で記録すべき重要時間
心停止発見
急変の起点となる時刻
CPR開始
発見から何秒で開始したか
除細動
発見から何分で実施か
ROSC
自己心拍再開時刻
なぜ時間がそこまで重要なのか
VFの除細動でも「数十秒で除細動」と「1分以上遅れて除細動」では、結果が大きく変わります。
時間の記録は蘇生評価そのものと言っても過言ではありません。
時間の記録は蘇生評価そのものと言っても過言ではありません。
日頃から「時計」を合わせておく
急変時にバラバラの時刻を見て記録していると、後から整合性が取れません。日頃から3つの時刻を合わせておきましょう。
電子カルテ
記録の大元となる時刻
心電図モニター
波形表示のタイムスタンプ
自分の時計
現場で見る時刻
急変対応の途中で時間がずれていることに気づくと、記録がかなり曖昧になります。平時のうちに時刻合わせをしておくことが、質の高い記録への第一歩です。
② 指示者と実施者を明確にする
急変時の記録では、誰が指示し、誰が実施したのかを明確にする必要があります。
※施設の規定・テンプレにもよります。
※施設の規定・テンプレにもよります。
悪い例 ✕
アドレナリン投与
→ 誰が指示?誰が投与?何mg?どのルートから?
情報が足りず、後から振り返れない
情報が足りず、後から振り返れない
良い例 ○
○○医師の指示で
看護師Aがアドレナリン
1mg 静注
看護師Aがアドレナリン
1mg 静注
→ 指示者・実施者・薬剤量・経路
すべて明確に記録
すべて明確に記録
余裕があればここまで記録したい
・投与部位(末梢静脈?中心静脈?)
・使用したライン(右前腕CVか、末梢A-lineか)
・留置物(何G、何cm挿入)
ここまで記録できれば、法的記録・医療安全的にも完璧です。
・使用したライン(右前腕CVか、末梢A-lineか)
・留置物(何G、何cm挿入)
ここまで記録できれば、法的記録・医療安全的にも完璧です。
③ 心停止では時系列を明確にする
心停止では、時系列の記録が特に重要です。時刻とともに流れが見える記録にすることで、あとから振り返りやすくなります。
時系列記録のサンプル
21:02
心電図モニターでVF確認
21:03
除細動 200J 実施
21:05
リズムチェック
PEAと判断しCPR再開
○○医師の指示でアドレナリン1mg IV
PEAと判断しCPR再開
○○医師の指示でアドレナリン1mg IV
21:07
ROSC確認
このように時系列で並べるだけで、急変の流れが一目で分かる記録になります。
カンファレンスや医療安全の振り返りでも、この記録があると質の高い議論ができます。
カンファレンスや医療安全の振り返りでも、この記録があると質の高い議論ができます。
④ 薬剤は「量」と「経路」を明確に
急変時の記録では、薬剤の詳細も重要です。特に抜けやすいのが投与量と投与経路です。
悪い例 ✕
アドレナリン投与
→ 何mg?どの経路?
あとから投与間隔の確認ができない
あとから投与間隔の確認ができない
良い例 ○
アドレナリン 1mg IV
→ 薬剤名・用量・経路が明確
3-5分後の追加投与の判断ができる
3-5分後の追加投与の判断ができる
急変でよく使う薬剤|記録必須
アドレナリン
1mg IV
3-5分ごとに追加投与
3-5分ごとに追加投与
アミオダロン
初回300mg IV
VF/pVT難治時
VF/pVT難治時
マグネシウム
2g IV
TdP(多形性VT)
TdP(多形性VT)
これらの薬剤は投与のタイミングと回数が転帰を左右するため、投与量の記録は必須です。
⑤ 医師カルテとの整合性を取る
急変後には、医師の記録と整合性をとることが非常に重要です。
必ず整合性を取る3つの時間
除細動時間
CPR開始から何分で実施
CPR開始時間
蘇生評価の起点
ROSC時間
低酸素脳症評価の基準
時間がずれていると後から困る
これらが医師記録とズレていると、後から振り返りが困難になります。
特に医療事故・裁判・死亡例の検証では、看護記録と医師記録の整合性が重大な意味を持ちます。
特に医療事故・裁判・死亡例の検証では、看護記録と医師記録の整合性が重大な意味を持ちます。
急変後30秒でできる整合性確認
急変対応が一段落したら、医師に一言声をかけるだけです。
「この時間で合っていますか?」
これだけで、後日のカンファレンスや医療安全委員会での議論が格段にスムーズになります。
急変記録で最も重要なこと
急変対応の記録では、「何をしたか」よりも、
「いつ何をしたか」が重要
これは蘇生評価・医療安全・法的記録のすべてに関わる重要なポイントです。
蘇生評価
除細動までの時間・ROSCまでの時間で医療の質を評価
医療安全
カンファレンス・振り返りで次の急変に活かす
法的記録
医療事故・裁判時の証拠として機能
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執筆・監修
万波 大悟
MANAMI DAIGO
急変対応.net 代表
経歴・資格
現職
診療看護師(NP)
専門資格
元 救急看護認定看護師
インストラクター
AHA-ACLSファカルティ
(提携ITC: JSISH-ITC)
(提携ITC: JSISH-ITC)
学会活動
救急看護学会 評議員
参考文献
・American Heart Association. 2025 Guidelines for CPR and ECC
・日本蘇生協議会. JRC蘇生ガイドライン2025
・日本看護協会. 看護記録に関する指針
・日本医療機能評価機構. 医療安全情報
・日本蘇生協議会. JRC蘇生ガイドライン2025
・日本看護協会. 看護記録に関する指針
・日本医療機能評価機構. 医療安全情報