ストレッチャーで搬送中のCPR
質の高い胸骨圧迫を続けなければ、自己心拍再開に必要な冠動脈灌流圧の達成・維持ができません。
心停止時にストレッチャー(ベッド)で移動しなければならない状況では、胸骨圧迫は非常にやりにくくなります。
そもそも移動しなければいけない状況ってどんな時でしょう?
- 救急車から処置室に移動する時
- 検査・ICUなどに搬送中
- 病室から処置室に移動する時
頻度としては多くないけど、無くはないかなと言った感じです。
移動中の胸骨圧迫は
wakingCPR (歩きながら) vs StraddlingCPR(馬乗り)か?
そんな移動中の胸骨圧迫の方法を比較した研究が5月に公開されました。
Comparison of chest compression quality in walking versus straddling cardiopulmonary resuscitation during stretcher transportation: A prospective randomised crossover study using manikins
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0216739
移動中の医療従事者による胸骨圧迫の方法は大きく分けて
①wakingCPR (歩きながら)
②StraddlingCPR(馬乗り)
この2種類に対して、マネキンを用いた実験で検討されてます。
馬乗りはよくドラマで見るやつですね。
結論は?
胸骨圧迫のテンポ、位置、リコイルはどちらも影響ありませんでしたが、深さに関してはstraddling CPRで有意に改善されたと結論づけています。
また、女性では時間とともに深さが維持できなかったとされてます。
心停止中の搬送時間なんて限られたものかもしれませんが、女性が多い看護職としてはstraddlingCPRの方が効果的な可能性があることを押さえておくといいかもしれません。
実践に即したBLS訓練をしましょう
最後に、youtubeから転載です。
実はこのシミュレーション場面で処置室に移動する際にstraddling CPRがされてます。
実際にこの場面から処置室に移動すべき状況か?は置いといて、実際にありそうな状況下でシミュレーションしています。
こうして見ると院内の狭い廊下や焦っているスタッフの心理下では、straddlingCPRの方が安全に安定してできそうな気もします。
またこの動画、シミュレーション中のテンポ、深さなどがモニタリングされてるのも注目すべきポイントかと思います。
皆さんの施設ではどんなBLS研修をしていますか?
シチュエーションはマネキンをただ床に寝かせただけ
AEDをかければショック適応だけ
BVMなどの換気デバイスは最初から用意されている
なんてお作法だけのBLS研修なら役に立たないかもしれませんよ?