いきなり質問ですが、目の前の患者さんが心停止かどうか判断するにはどうしますか?
そう、反応を確認してから呼吸と循環を確認します。
BLSなどの講習会でも、反応を確認して、その後は応援要請、または呼吸と脈拍の確認という流れで進んでいきます。
このようなアセスメントをAHAは体系的アプローチと言ってます。ACLSのテキストから引用しますので、思い出してください。
体系的なアプローチとは?
事例
では、もう一つ質問です。どこに改善点があるか考えてみてください。
胸痛を訴えてた入院患者さんがいます。
12誘導心電図は問題なさそうです。
経過観察していると突然けいれんしました。
モニターはついていたのでHR60bpmを示しています。
どうでしょう?
みなさんならこの後、どうしますか?
このケースはもちろん心停止(PEA)でした。
けいれん時に反応は確認しますので、呼吸と脈拍を確認していきます。
(けいれん中なので呼吸の評価難しいと思いますが・・・)
BLS講習会では当たり前のように心停止の発見から始まります。
しかし、このような最初から非心停止の場合、心停止かどうかの評価が遅れがちです。
後から考えれば当たり前なんですが、目の前で起きると、心電図は大丈夫なのになんでけいれん?
とか、いろいろな情報が邪魔します。
事例2
またよくあるのはHR0になってから心停止と判断するパターンです。
例えば、反応を確認するとJCS200で、呼吸は下顎様です。
モニターを付けるとSpO2は48%、HR85bpm、BP80/54mmHgだったとします。
マスクで酸素投与していますが改善せず、HRが徐々に80・・・→50・・・→30→0となりCPR開始となりました。
このケースは、SpO2は極度の低値ですし、意識障害も伴っています。
でも呼吸はこれだけじゃよくわからないですね。
また、呼吸があると判断しているので、脈拍は触知していないのでしょう。
脈拍の触知はしたほうが良いでしょうし、BVMで換気したり挿管の適応かと思いますので、心停止は回避できるかも知れません。
また、HRが下がりかけてる時点でPEAの可能性は高いですから、心停止かどうか判断する必要もあります。
体系的アプローチを活用した急変対応のポイント
すべてのケースに言えるのは、ABCの評価と安定化に向けた介入は欠かせませんので、患者の状態に合わせて、体系的アプローチを使い分けていく必要があります。
反応がなくなれば、反応の確認、呼吸と脈拍といったBLSのアルゴリズムに従っていきますし、急変時は特に繰り返し再評価が必要となります。
どのケースも冷静に考えれば当たり前かもしれませんが、実際の場面に遭遇したら色々な情報が邪魔をして行動に移せないということは、よくあるのではないでしょうか?
・本当にこのSpO2なの?
・さっきまで呼吸が苦しいって喋ってたからこんな悪くなるはずない
・けいれんしてるから頭が問題?
などなど
こういうときのエラーって、個人のスキルの問題というよりは、バイアスによる影響が大きいそうですが、その話はまた今度します。
じゃあ、どうすればいいのか?
いかなる状況下であっても、実践できるようになるには、シミュレーションが欠かせません。
しかし、よくあるBLS研修のようにお作法だけでは実践はできませんので、より実践的な訓練が必要と考えています。もちろん1月の急変対応セミナーもそこを目指して準備を進めています!
最後に
下顎呼吸はよくある表現ですが、死戦期呼吸との違いがよくわからなかったので調べたら、このBlogに詳しく書いてありましたが、死戦期呼吸と同じ扱いで良さそうですね。
死戦期呼吸についてはこの辺が有名ですので、わからない方は2:25あたりを御覧ください。