臨床看護

ミニドクターは悪いことなのか?

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今回は ミニドクターという言葉について考えてみたいと思います。

ミニドクターとは?

みなさんはミニドクターという言葉を耳にしたことがありますか?最近でも時々耳にすることがありますが、どういった看護師のことを指すのでしょう?

”診断や治療など医学的知識ばかりを追求する看護師”

わたしのイメージだとこんな感じです。捉え方はいろいろですが、おそらく一般的に連想されるものと近いのではないでしょうか。あまり好感の持たれない言葉だと思いますが、何故でしょう?

ミニドクター的要素は必要ないのか?

医学的知識の追求に夢中になり、看護実践が行えていなければそれは良くありません。しかし、医学的知識は必要ないわけではないですよね。

看護師が診療の補助を生業としている以上むしろ必須だと思いますし、ともすれば看護師はミニドクターの要素を持ち合わせているべきだとわたしは考えてます。

看護理論家のパトリシア・ベナーをご存知でしょうか。彼女の著書である 

ベナー看護論 −初心者から達人へ−  には、

患者の容態悪化の徴候に最初に気付くのは看護師なので、医師が到着するまで急激に変化する状況を管理しなければならないのもたいてい看護師である(一部抜粋)

ベナー看護論 −初心者から達人へ−  

ここで述べられている急激に変化する状況の管理には、

1.問題を素早く把握する

2.緊急事態において必要な資源の供給を素早く手配する

3.医師の援助が得られるまで、患者の危機の本質を見きわめ、管理する

が挙げられ、このような看護実践を行うためには、医学的知識が必要であることは言うまでもありません。

また、2016年に改定された看護業務基準(公益社団法人日本看護協会)では下記のように記されています。

看護職は、保健師助産師看護師法第37条が定めるところに基づき主治の医師の指示のもとに医療行為を行う。人の生命、人としての尊厳及び権利に反する場合は疑義を申し立てる。

疑義とは「疑問に思われること」です。医師の診療に疑問を抱いた経験はありませんか?「え、今CT行くの?危なくないかな!?」といった場面とか、結構遭遇しますよね。そんな時に根拠に基づいて提言を行うのも看護師の役割であり、それにもまた医学的知識が必要となるはずです。

話が少しそれましたので、ミニドクターの話に戻ります。

個人的な見解ですが、医学的知識ばかりを追求するのがミニドクターだと言いました。しかし、医学的知識を看護師が持ち合わせる必要性はさきほど述べた通りです。では何故ミニドクターが否定的なイメージを持たれるのか、それはおそらく看護に繋げらていないからだと思います。

大切なのは医学的知識を追求する目的だと思います。「なんのためにその知識と技術を使うのか」です。

この目的を間違えると、一般的に言われる(もしくは揶揄られる)ミニドクターになってしまうのかもしれません。実践に繋げられなければ何も意味はありませんよね。つまり、なぜ看護師に医学的知識が必要なのか、なんのために必要なのかを念頭に置いてあれば、ミニドクター結構だと思うのです。

さいごに

今回この話題を取り上げたのは、「ミニドクターの否定=看護師には医学的知識は必要ない」という解釈になっていないかと少し不安を感じたからです。

全て個人的な意見ではありますが、みなさんはどう考えますか?

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